まさかこんなことになるとは
まさか北朝鮮とアメリカが首脳会談を行うなんて思いませんでしたね。トランプさんがアメリカ大統領になっただけでも世界仰天ニュースだったのに、トランプ大統領と金正恩委員長が顔を合わせて話をするなんて、太陽が西から昇るような天変地異レベルの出来事です。今年(2018年)4月には南北会談が開かれ、互いの首脳が南北の国境を超えました。もしかしたら今後、北朝鮮と韓国が超仲良しになり、南北が統一されるところまでは行かないものの、38度線を自由に行き来できる世界になるかも知れません。
今日は、そんな夢物語では語れなくなった情勢の中で、日本における各国の軍用機の乗り入れがどうなるかについてお話したいと思います。
日経新聞の記事でハッと気が付いた
そもそも今回の話題を考えるきっかけになったのは、2018年6月8日(金)の日経新聞朝刊の記事でした。↑これです。
「そうだよなぁ」と納得したのがこの部分。
全文記事はこちらをご覧下さい。
以降、理解を優先するため、正確性に欠ける表現をしている箇所があるかも知れません。予めご了承下さい。また、もし内容が間違っていたらコッソリ教えて下さい(笑)。
朝鮮戦争が終結するとどうなるか
朝鮮戦争って知ってますよね。あ、詳細は知らなくてもいいんです。名前を知っている程度でいいです。詳しくはこちらをご覧下さい。実は朝鮮戦争はまだ終わっていないんですよ。「終戦」ではなく「停戦中」なんです。
ということで、横田基地には未だに朝鮮国連軍後方司令部という組織が置かれています。韓国には朝鮮国連軍本体がいて、日本には後方司令部があるという構図です。だから朝鮮戦争で何かあったら、朝鮮国連軍が出動して戦争みたいなことができるようになっているんです。
朝鮮国連軍に参加している国は以下の通り。そして「国連軍地位協定」というお約束があり、特に地位協定を締結している12か国には特別な権利が与えられています。以下は外務省のHPからの引用です。
朝鮮国連軍参加国:(18か国):オーストラリア,ベルギー,カナダ,コロンビア,デンマーク,フランス,ギリシャ,イタリア,オランダ,ニュージーランド,ノルウェー,フィリピン,韓国,南アフリカ,タイ,トルコ,イギリス,アメリカ
国連軍地位協定締約国(12か国):日,オーストラリア,カナダ,フランス,イタリア,ニュージーランド,フィリピン,南アフリカ,タイ,トルコ,イギリス,アメリカ
国連軍地位協定第5条(抄)
国際連合の軍隊は,日本国における施設(当該施設の運営のため必要な現存の設備,備品及び定着物を含む。)で,合同会議を通じて合意されるものを使用することができる。国際連合の軍隊は,合同会議を通じ日本国政府の同意を得て,日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約に基づいてアメリカ合衆国の使用に供せられている施設及び区域を使用することができる。
「国連軍地位協定第5条」から読み取れる通り、朝鮮国連軍(以降、主要国と称する)の軍用機は米軍基地を使用することができるんです。この地位協定に基づき、上記主要国の軍用機は横田などの基地に飛んでくることができるんです。
それで重要なのが、この朝鮮国連軍が存続できる条件と言うのが、朝鮮戦争が継続しているということなんです。朝鮮戦争が終戦したら、韓国から朝鮮国連軍本体が撤退する可能性が高いです。仮に撤退すれば横田にある後方司令部も90日以内に撤退しなければいけないことになっているのです。
つまり朝鮮戦争が終結してしまったら、上記主要国(米国除く)の軍用機が日本に来ることができなくなる、までは行かないでしょうが、非常に来にくくなります。これまでは(朝鮮)国連軍地位協定を名目に簡単に来ることができたのですが、後方司令部がなくなり、(朝鮮)国連軍地位協定も無効になってしまえば、来る名目がなくなってしまうわけですから。(後述しますが、米軍機に限り日米地位協定と言う別の協定があるためこれまでと変わりません。)
朝鮮半島に平和が訪れるのは良いことなんですが、軍用機マニアの人達にとっては、ちょっと頭の痛い問題なんですよね。横田基地を初め日本各地の米軍基地で各国(米国除く)の軍用機を撮影している方々にとっては、そのチャンスが減るということにもなりかねないわけです。
もちろん軍用機マニアの人達という狭い範囲だけではなく、日本という国全体にとっても、お友達の軍隊が来にくくなり、これまで通りの軍事活動が続けられなくなるなどのマイナスの影響が考えられます。要するに日本の安全保障に影響する問題です。
スポンサードリンク
自衛隊機も米軍機も国連軍機も航空法の適用除外
最後に航空法についてお話ししておきたいと思います。航空機が日本の空を飛ぶためには、日本の航空法を守らねばなりません。
まず気になるのが、自衛機は航空法を守っているのかということですが、自衛隊は航空法を一部守ってはいません。航空法では耐空証明がないと空を飛べないことになっていますが、自衛隊機に耐空証明はありません。そもそも耐空証明は国土交通省が発行するもの。自衛隊は防衛省の管轄なので、航空法の一部適用除外を受けています。自衛隊機は耐空証明がなくても日本の空を飛べるのです。
じゃあ米軍機はというと、これも日米地位協定という取り決めによって航空法の一部適用除外を受けています。「米軍機は日本の空を自由に飛んでいい」ということになっているわけです。米軍機は日本では特別扱いを受けているんですね。
そしてもう一つ、朝鮮国連軍についても(朝鮮)国連軍地位協定によって、航空法の一部適用除外を受けています。耐空証明がなくても日本の空を飛べるようになっているのです。
米軍を初め主要国の軍用機が比較的自由に日本に乗り入れることができるのは、日米地位協定、(朝鮮)国連軍地位協定のおかげなんですね。
耐空証明についてはこちらの記事も参考になりますのでご覧下さい。
風が止めば桶屋が儲からなくなる?
北朝鮮と韓国が仲良くなったら地域の安定という良いことも起こりますが、それに伴い思わぬところに余波が来るということですね。「風が吹けば桶屋が儲かる」的なというか、その逆で「風が止めば桶屋が儲からなくなる」的なことが起こりそうな予感がします。軍用機マニアの方々、今後の北朝鮮情勢、特に朝鮮戦争の終結については関心を持ってウォッチしていく必要があると思います。
スポンサードリンク