急成長中のアフリカの翼
今回はアフリカの翼、エチオピア航空787の搭乗記をお送りします。ルートは香港=仁川、ET608便です。エチオピア航空は成田にも乗り入れており、成田便も仁川経由でエチオピアのアディスアベバまで飛んでいます。アフリカの翼というと日本ではかなりレアな部類に入りますよね。日本でも馴染みのあるエジプト航空は一応アフリカの翼ですが、どちらかと言うと中東エアラインのイメージですよね。アフリカと言ったらサブサハラと呼ばれるサハラ以南のイメージが僕にはあります。そこから飛んで来ているエアラインはなかなかいません。サブサハラで一番メジャーなエアラインは南アフリカ航空かと思いますが、日本には乗り入れていません。その次にメジャーなのがエチオピア航空あたりでしょう。
さて、香港チェクラプコク空港のすごくいい場所に停まっていたのが、これから乗るエチオピア航空の787-8。
エチオピア航空は実は世界で3番目に787-8を受領した航空会社なんです。ANA、JALの次なんです。アフリカの中でもすごい速度で成長しているのがエチオピア航空なんですよ。
787-8ってこんなに短かったっけ?
この時見た787-8がなんだか小さく感じてしまいました。どうですか?今さら787-8を見るとえらく小さく見えませんか?特にそう感じた理由はこの数時間前にSQでデビューした787-10に乗ったからです。
767がANAにデビューした時も最初に200が入り、その後300が入ったわけですけれども、300を見た後に200を見るとメチャクチャ小さく見えたのを思い出しました。その時と同じ感覚、いやもっと大きな違和感を覚えました。
787-10と-8の長さの違いは顕著です。間に-9という派生型がいるので、当然と言えば当然かも知れませんが、同じ飛行機とは思えないくらい-10と-8の違いは大きく見えます。
同じような角度から見たSQの787-10はこちら。
どうです?差がすごいでしょ。-8と-9の胴体長の差は11.6m。別の飛行機に見えてしまうのも何だか納得できます。
香港=仁川で乗る乗客は極めて少ない
いまいち何時に搭乗開始かわからず、ラウンジにも行かずゲート前のベンチで待っていたところ、特に搭乗アナウンスもなく搭乗が始まりました。ゲート前に数人来て何やらゴタゴタ始めたので、僕がゲートのお姉さんを見ると、目で「どうぞ(搭乗できますよ)」と訴えてくるんです。僕も指で飛行機を差して「OK?」というニュアンスを出し、そのまま搭乗することになりました。元々香港から仁川まで乗る乗客ってすごく少ないんです。アディスアベバ=香港、アディスアベバ=仁川で乗る人はいても、その間の香港=仁川線で乗る人って「その航空券どこで探したの?」的な人じゃないですか。検索で出てきたとしても、「何でエチオピア航空が香港=仁川に?」と思って積極的に乗ろうとは思いませんよね。
この便は乗客数が搭乗のアナウンスをするような規模じゃないんですよ。ゲート前にも乗客の姿はまばら、実際は全く見つけられず。僕が確認できたのは、ゲート前でゴタゴタやり始めた韓国人と思われる女性2人だけでした。
ちなみにアディスアベバから仁川まで通しで乗る乗客は機内で待機させられるため、香港チェクラプコク空港から乗り込むのは香港=仁川の乗客だけです。
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うそ?めっちゃ適当じゃない?
搭乗すると、誰か迎えてくれると思いきや、誰もいない…。なんか隅っこの方で立っているクルーなのか乗客か入るんですが、全くウェルカムって感じがない。ん?何この適当感?
と思いながら着席しました。
ビジネスクラスのシート配置は2-2-2。若干前後にずれている隣同士タイプです。同じシートコンフィギュレーションはタイ航空の787やロイヤルヨルダン航空の787で見たことがあります。
真っ赤なシートがアフリカらしいですよね。
他の乗客が既に座っているのでなるべく避けるように機内の写真を撮ります。
僕の席は4A。一番後ろの窓側です。ここ窓が真横にないんですよ。少し身を乗り出さないと外が見えません。そう言えば最後列に窓がないことはロイヤルヨルダン航空の787で学習済だったような気がします。
さっそく座席をフラットにしてみます。
ピローはグレー。ビジネスクラスは赤とグレーのツートンカラーでまとめられています。決してオシャレとは思わないものの、異国情緒が溢れていていいですね。日本とはかけ離れた世界感がいい感じです。エチオピア航空の機内には、「あぁここは僕の住む世界じゃない」という非日常感がありました。
この座席丸くてとてもカワイイです。
仁川までは約4時間のフライトですが、アメニティキットも付いていました。恐らくアディスアベバから香港に飛んできたときに置いてあったやつが置きっぱなしになっているんだと思います。どことなくダサい感がある意味旅情をそそります。
Yクラスには行っていませんが、ちらりと見える座席の色がまたダサくて、「エチオピオアのゴーイングマイウェイな感じがいいなぁ」と思ってしまうのです。
そう言えばパキスタン航空に乗ったときも同じようなゴーイングマイウェイ感を感じたような気がします。
そんなテキトー感の漂うエチオピア航空ですが、一人だけお節介なオバちゃんクルーが乗っており、そのクルーの接客はフレンドリーでとても良かったです。カメラを見るなり、
「あたしの旦那がさぁ、写真好きでさぁ、こんなカメラ持ってんのよぉ。あら?これ、随分いいカメラねぇ?メーカーどこ?」
「Nikonって知ってます?日本のメーカー。旦那さんのはどこのメーカーですか?」
「え~っと、確かね。日本じゃなかった気がするわ。ん~忘れた。ゲラゲラゲラ(笑)。」
ってな感じで色々絡んでくるんです。
その他のクルーは若くて背の高いエチオピア人クルー達。しかし全く愛想がありません。超ヤル気のない態度で仕事をしていました。まぁそれも文化の違いですかね?本当はユニフォームの写真を撮りたくて、チャンスを狙っていたんですが、あまりにヤル気のない態度だったので諦めました。声を掛けられるような雰囲気ではなかったのです。
エチオピアの文字がカワイすぎる件
エチオピア航空の機内に入って感じたことは、目に入る文字がとてもカワイイこと。丸くて人の形にも見えるこの文字はアムハラ語のゲエズ文字というらしいです。
ウェルカムドリンクの下に敷かれた紙ナプキンの文字もカワイイです。
そしてセーフティビデオのコメディー化はアフリカにも及んでいました。非常に面白いセーフティビデオです。
機内食は中華をオーダー
この日、SQ787-10初便でシンガポールからバンコクに飛び、その後香港までやってきました。昨晩から2時間くらいのトランジットで4便目。さすがに体も疲れてきました。そして午後5時前からこの日4食目の食事が始まります。前菜が出てきました。野菜サラダ+野菜サラダ。ハムはオマケ的な感じです。いやーいいですね。同じような食べ物が2皿出てくる感じ。ゴーイングマイウェイ、エチオピア航空です。
メインコースは中華をチョイス。メニューブックはクルーが持って来てくれて、手元にはありません。「アフリカンフードはないですか?」と聞くと、「香港発の便だからない」とのこと。そうですよねぇ。ないですよねぇ。エチオピア航空に乗ればまだ見ぬアフリカの食事が食べられると思っていたんですけど…。と言うことで以遠ルートでエチオピア航空に乗る場合は、アフリカンフードの機内食は期待できないことがわかりました。
味はかなり濃い目。くどくて全部食べられませんでした。半分くらい食べて片づけてもらいました。
続いてデザートの時間。チーズかフルーツかケーキがあるけどと聞かれて、フルーツと言って出てきたのがこれ。
頼むから剥いてくれ。
僕自分で剥くの苦手なんですよ。全然関係ないですけど、例えばカニとか嫌いです。あとエビもカラが付いているヤツも嫌いです。殻を剥くのが面倒なんですよ。とにかくすぐ食べられる状態で出して欲しいんです。わがままでスイマセン…。
そしたらチーズをくれました。
で、ケーキ(タピオカゼリー)も持って来てくれました。
結局、全種類がテーブルの上に!
エチオピア航空、侮れません。デザート全部くれるとは…。結局フルーツは食べず、チーズは半分くらい、タピオカゼリーは全部食べました。愛想は良くないですけど、サービスの柔軟性、言い換えればテキトーなだけなんですけど、その辺の加減が日本人的じゃなくて素晴らしいです。
最後に感想
エチオピア航空、とてもテキトーで良かったです。クルーにやる気がないから、こちらとしてもとても気楽です。人間、サービスが悪いと多くを求めようとしなくなりますよね。「まぁそれでいいのかもな?」なんてことを思いました。日本のエアラインとかアジアのエアラインはちょっとサービス過剰な気がします。クルーに気付いてもらおうとかあまり思わず、して欲しいことがあったらクルーボタンで呼ぶ、くらいの感じでいいのかも知れません。クルーが忙しくしている日本のエアラインとかは呼ぶのを躊躇ってしまうことが多いですが、逆にサービスしてくれないのなら「じゃんじゃん呼べばいいんじゃないの?」って思えてきます。
あと、機内のカラーリングと言い、可愛い文字と言い、クルーを含めキャビン全体の雰囲気と言い、異国情緒が溢れていましたね。乗り込んだ瞬間からわかる「これ、今までと違うぞ」的な雰囲気。これまで同じような経験があるのは、パキスタン航空とロイヤルヨルダン航空。どちらも機内に入った瞬間から空気が違いました。それと同じです。
良くも悪くも面白いエアラインです。成田から仁川の区間でも乗れますので是非ともお試し下さい。(マイルで乗ればビジネスクラスが2万マイルと非常にお得です。)