ユナイテッド航空の件はホント酷い話です
米ユナイテッド航空で発生した乗客引きずり下ろし問題。オーバーブッキングが起こり、降りてくれる人を募ったものの、誰も降りてくれなかったため、最終的に引きずり下おろしたという説明なんですが、それにしてもあれはヒド過ぎますよね。実はオーバーブッキングではなくて、非番の(目的地から搭乗する)乗務員4名を乗せたため、乗客4名が溢れてしまったという話もあり、酷さ加減に拍車がかかっている感じがします。
僕が最初、不思議に思ったのは800ドルも払うと言ったのに何故誰も降りてくれなかったかってことです。日本人の感覚では、10万円近くももらえれば、むしろ降りたい人が殺到すると思うのに、現実にはそうはならなかったんですよ。それはどうやら、もらえるのがユナイテッドで使えるバウチャーだったからということらしいんです。それならば僕も考えます。やはり嬉しいのは現金、バウチャーじゃ全然魅力に欠けますね。
それでも引きずり降ろすなんて、にわかには信じがたい事件ですよね。
僕が聞いたことのある噂によると、日本ではまず従業員またはその家族が乗客としていたら、その人達を降ろし、それでも足りない場合は、アナウンスを行い、それでもダメな場合は、機内で学生や老人を狙って交渉するらしいです。学生や老人は翌日でもOKな確率が高いですからね。
だからなおさらユナイテッドのやり方は理解できません。
国内のフレックストラベラー制度
さて。日本の航空会社でオーバーブッキングが発生したらどうなるかご存知でしょうか?色々なところでニュース記事になっていますので、もうご存知の方がほとんどだと思いますが一応説明しておきますね。そもそもオーバーブッキングが何故起こるかってことですけど、それは予約を持っていても乗らない客がいるので、本当の座席数よりも多く予約を取っているからなんですよ。乗らない見込み数の乗客が本当に乗らなくて、ちょうど満席になるように調節しているんですね。それゆえ、時々は当てが外れて、本当に座席が不足してしまうんです。そして溢れた客には何らかの対価を払って降りてもらうわけです。
ANAやJALはフレックストラベラー制度と銘打って堂々とやっています。
こちらがANAの当該ページです。
JALのHPはこちら。
簡単に言うと、降りてくれる客には、
当日便に振替:10,000円または7,500マイル
翌日便に振替:20,000円または15,000マイル
を支払うことになっています。そして翌日便に振り替えられる場合、上記に加えて、宿泊費や宿泊場所への交通費が支払われます。
僕自身、値段も妥当で素晴らしい制度だと思っています。これのおかげで気持ちよく降りてくれるお客さんがいるわけですから。
僕も降りた経験があります
実は僕もオーバーブッキングに遭遇して、自ら「降ります」と名乗り出たことがあります。かれこれ10年くらい前。お盆のJALの札幌(新千歳)→名古屋でした。お盆の札幌の帰り便、しかも最終便とあって満席でした。僕は空港に着くと同時にチェックインカウンターで「もしオーバーブッキングになったら僕、降りますから」と告げておきました。
実は初めからフレックストラベラーを狙っていたんですよ。今日は絶対に誰かが「降ろされる」に違いない、と。それまでにも頻繁に「降りてくれる客を募る」場面に遭遇していたので、お盆の新千歳からの最終便は可能性が高いと思っていたんです。つまり狙い通りのことが起きたわけです。
案の定、搭乗時刻になるとアナウンスが入り、僕はダッシュで搭乗口に行き、「降ります」と宣言しました。その後、マイルをもらうために何やら紙を書いて、搭乗口付近で待機をさせられました。
そしたら偉い人がやってきて僕を保安検査場にいざないました。しかも「お荷物をお持ちします。」と僕のキャリーケースを持ってくれました。
なんという好待遇!!!
そしてそのまま新千歳空港内のホテルまでご案内です。あまりに申し訳なさ過ぎたので、「あの、もうここからはわかりますので一人で行きます」と付き添いをご丁重にお断りしました。
あの時の対応は見事でしたね。引きずり下ろすなんてホントあり得ないです。
フレックストラベラーで成功するコツ
せっかくなんでもう少し詳細をお話しします。結局、この方法でマイルを貯めることができるんですよ。もちろんお金をもらうのもアリですけど、マイラーならば15,000マイルと2万円のどちらが価値があるかなんて脊髄反射レベルですので「マイルをもらう」ことを前提としておきましょう。お盆の札幌からの最終便。「これは絶対に来る!」と思った僕は搭乗口付近に立って待機をしました。チェックインの時に言っておいたところで、引き継がれているなんて保証はありませんので、とにかくアナウンスが入ったら3秒で搭乗口に行ける場所にいないといけません。
なにせ先着順ですからね。
ですから、どうしても降りたかったら、搭乗口の真ん前にいて下さい。もし降りる数が1名だったら他人を蹴とばしてでも先に搭乗口に行きましょう。負けそうな場合、「降りまーす」と大声を出すのも最終手段としてアリかと思います。
募る人数が2~3名いると安心ですね。ゆっくり歩いて行ってガツガツ感を見せないってことも可能になります。とはいうもの確実にゲットするならば、やはり急いだほうが良さそうです。
あと便の選び方ですが、搭乗直前に満席の便じゃないと起こり得ません。そして圧倒的に有利なのは最終便です。最終便ではないと宿泊が伴いませんので7,500マイル止まりになります。
しかも最終便ではなく、後便に空席がある場合、チェックインに遅れた人から切ってしまう場合もあるらしいのです。搭乗口前で募るのではなく、チェックインしていない人で、ギリギリに来た人を断わって空席のある次の便に振り替えるわけです。その場合は、見かけ上、オーバーブッキングが発生しないことになります。
ですので、やはり狙い目は満席の最終便ですね。
あと、これは情報提供を頂いたのですが、手荷物を預けない方が良いらしいです。「手荷物を預けると優先順位が下がる」と言われたことがあるとのことです。定時出発を考えると手荷物を預けていない、つまり機内持ち込みの手荷物だけの人が優先されるのは理にかなってますね。
さらにもう一つ。プレミアムクラスでは降りたくても降りられないという体験談も聞かせてもらいました。自分がプレミアムクラスの予約を持っていて、「降ります」と言うとプレミアムクラスに空席ができ、乗りたいお客さんがアップグレード料金を払わないといけなくなるわけですよ。それはお客さんとしても納得できないと思われますので、いくら降りたくても降ろしてもらえないということが起きるわけです。フレックストラベラーを狙うなら上級クラスを避けるのが鉄則のようです。
つまり、フレックストラベラーで成功するコツは、
・満席の便を選ぶ
・搭乗口の前で待つ
・手荷物は預けない
・上級クラスは無理
ということになります。
皆さんも間違っても無理矢理引きずり降ろされることのないよう、上記テクニックを使いつつ協力的な態度でオーバーブッキングに対応しましょうね。