北京首都空港ターミナル2
深夜1時過ぎに北京に到着し、翌朝(当日朝)の5時台には僕は再び空港に来ていました。これまでで一番キツいトランジットですね。眠れたのか眠れなかったのかよくわからない状態でのスタートは、さすがに堪えます。今いるのはターミナル2です。ターミナル3が中心の北京空港ですがターミナル2から出発する便も結構あるんです。
北京首都国際空港ターミナル2は、中国の首都らしからぬ地方空港のような狭さでした。相当古い建物です。ターミナル3の近代的な感じと比べると、こちらのターミナルは中国4千年の香りがします。
これから乗るのはパキスタン航空PK852便、東京成田行き。左側の下から4番目です。他のメジャーなエアラインとしてはガルーダや、エールフランス、デルタ、大韓航空が見えます。あ、なるほど、スカイチーム系はターミナル2なんですね。
パキスタン航空のカウンターは一番端っこのAカウンター。
ビジネスクラスとエコノミークラスのチェックインカウンターは分かれていますが、何故かエコノミークラスの乗客からチェックイン。聞いてみると、端末が立ち上がるのが遅いとのこと。カウンターのお姉さんに不満を表明すると、「こちらへどうぞ」とエコノミークラスのカウンターに優先的に案内してくれました。
中国では自己主張は非常に大事です。黙って待っていたら何も起こりません。
で、なんでパキスタン航空?
はい、一番の疑問は中国なのに何故パキスタン航空なのかというところだと思います。北京から成田に飛ぶのにパキスタン航空って変な感じがしますよね。この便は先に書いた記事「名古屋-北京-アブダビ」と飛ぶエティハド航空と同じで、「イスラマバード-北京-成田」と飛ぶ便なんです。北京から以遠ルートとして成田まで足を伸ばしているんです。月と金のみの運航で、金曜はイスラマバードから飛んで来て、月曜日はラホールから飛んできます。
ちなみに運賃は、北京-成田のビジネスクラスが片道5万円強。往復で乗ると8万円強です。結構安くないですか?今回はその安さと、以前からの憧れというものもあったので、5万3千円で片道のビジネスクラスを買いました。
1時間遅れて搭乗開始
この日の北京国際空港は前日夜からかなりの遅れが発生しており、朝になってもフローコントロールから抜け出せない様子でした。僕の乗るパキスタン航空852便も例に漏れず待機。搭乗は1時間遅れました。8時ボーディング予定が9時。やっと呼ばれてゲートに向かいました。ラウンジでは「Boarding Start」と言われたのですが、搭乗口はソウル行きの表示が…。「わけわかんないなぁ」と思ってとりあえず待っていたら、「トーキョー?」と声を掛けられそのままゲートを通らせてくれました。遅れで大混乱してるんですね。
バスに乗せられて沖止めスポットまで運ばれます。
パキスタン航空が見えてきました。機材は777-200。つい最近まで成田にはA310で乗り入れたていたことが思い出されます。そう考えると機材が大きくなりましたね。ただ運航はデイリーではなく、週2便の運航。それを考えると、777であってもそんなに週間の乗客数は多くないと思えます。
パキスタン航空って何だかとてもミステリアス。イスラム国家の証である三日月と星がそう思わせるのでしょう。
沖止めのいい所は、機体を間近で見られること。ガラス越しではないクリアな状態で撮影できます。
PIAのロゴってデカいんです。下にはPakistan Internationalと書かれています。
パキスタン航空777のキャビンはベトナム航空だ
乗り込みました。ビジネスクラスの乗客数は何と僕を含めて4人。ジャジャーン。豪華、、、いやちょっとショボ目のビジネスクラスですね。ソロシートが主流となっている昨今、2-3-2の並びは「一昔前のコンフィギュレーション」と言わざるを得ません。
この座席、見たことありませんか?乗った経験のある人は気付かれるかもしれませんが、ベトナム航空の座席なんですよ。リースしているのか中古機を買ったのかわかりませんが、内装はベトナム航空の777のままなんです。
僕の席は4A。ビジネスクラスは4列しかありませんので一番後ろの席ということになります
やはり「一昔前」の感じは否めません。でもこのシートピッチはかなりのアドバンテージです。やはりナローボディ―のビジネスクラスとは格が違います。
座席横に挟まっているコントローラも年代を感じさせます。
リクライニングは電動で、コントローラはわかり易いです。
時期によって乗客は大きく変動
エコノミークラスにも行ってみました。こんなにガラガラ…
これ、搭乗直後の写真じゃないんです。全員搭乗後の写真なんです。信じられないくらい空席が目立ちますよね。
後ろから見るとこんな感じ。真ん中のコンパートメントにはほとんど乗客がいませんでした。一番後ろのコンパートメントには、少し乗客が乗っていました。
ヘッドレストカバーのロゴにしびれます。
「いつもこんなに空いているんですか?」と聞いてみたところ、空席状況は季節によって大きく変動するんだそうです。ちょうど僕が乗った6月23日は、間もなくラマダンが明けるという頃。ラマダン中は人の動きが少ないみたいなんです。
そしてラマダンが明けるとお祭りがあるため、パキスタンに戻る人が増えて満席にもなるとか。つまり、あと1週間でパキスタンへのインバウンド旅客が増えるということですね。イスラムの事情、お国の事情によって搭乗率は大きく変動することがわかり、この便に空席がたくさんある理由が分かりました。
とても陽気なクルー達
パキスタン航空に乗って一番驚いたことはクルーがとても陽気なこと。もう少しカタいエアラインを想像していたので意外でした。実は乗り込む時にいきなり「写真撮って~!」と言われて焦りました。イスラム圏のルールも知らず、写真を撮っていいのか悪いのかもわからずに乗り込んでいるので、ホント意外でした。
左の女性が一番陽気なアイーシャさん。いつも世話を焼いてくれました。隣は男性客室乗務員。男性クルーも比較的たくさん乗っています。
アイーシャは「今度はアナタと撮りたいわ」と同僚をかき集めてきます。挙句の果てには僕のカメラを「貸して」とか言って持って行っちゃって「アタシが撮ってあげるわ」と同僚の写真を撮り始めちゃうんだから困ったものです…。
こんなはずじゃなかったんだけどな…。
ダンディーな腕組み姿が似合う彼の名前は聞いていませんが、キャビンクルーの1人です。
これ、なかなかよく撮れましたね。女性は民族衣装を着ていてとてもエキゾチックな感じです。美しいです。
伝わって来るでしょ。いかにクルーのみんなが陽気だということが…。
出発前にご飯が出てきた
遅れは搭乗後も続きました。フローコントールが掛かって出発できないのです。フローコントロールとは管制が出発する航空機数を制限すること。着陸が優先ですので、着陸機が待機しまくっている状態では、出発機は待機させられるのです。9時に搭乗し、1時間待った10時。まだまだ出発の目途が立ちそうにない頃、クルーが白いテーブルクロスを持ってきました。
なんと地上待機中に食事の時間!
という状態になってしまいました。定刻は8時半発ですのでミールの種類としては朝食です。出発できる見込みもないし、「出しちゃえー」ってことになったんでしょう。
まずはパンやフルーツから出てきます。
そしてメインは卵料理、スクランブルッグ、オムレツ、トマト、フライです。チョイス制ではありませんでした。
食後はコーヒー。マグカップではなく紙コップで出てくるのはご愛敬としておきましょう。2回目にコーヒーをオーダーしたらやはり同じでしたので、これはパキスタン航空の慣習なんですね。ビジネスクラスで紙コップは初めての経験です。
3時間遅れで出発
結局プッシュバックを開始したのは11時半ごろ。離陸したのは12時過ぎでした。約3時間の遅れで出発したことになります。しかし3時間待っても全然退屈じゃありませんでした。状況の進捗があったらコックピットからコパイら出てきて教えてくれるんです。「今は17機待ちになったよ」と言うような感じで…。最初は「200機待ち」とか言われてビビっていたんですが、徐々にトラフィックも掃けてきて、もうすぐ出発なんだなぁというのがクルーとの会話で伝わってきました。
放送を入れるんじゃなくて個人的に言いに来るところが面白いところです。他の客にもちゃんと説明しているんでしょうかね?そんな風には見えなかったので勝手に心配になっちゃいました。
いよいよ出発。「北京」のフォントが首都の貫録を感じさせます。
やっとRWYにラインナップ。エプロンの端の端に止められていたので、タキシングも時間が掛かりました。ここまで来るのに20分はタキシーしたと思います。
そして曇り空の北京の空に向けて離陸!北京のターミナル3ってホント巨大です。
地上滞在中に全てのサービスが終わってしまいましたが、フライトはこれからが本番です。
「寝たら?」なんて言われるとは
この日は朝が早かったですし、機内でブログを書くのも飽きてしまったので、テレビでも出して見ようかな?と思って、テレビを出そうとしたんですけど、どうしても出せないんですよ。仕方なくクルーを呼んで「これ、どうやって出すの?」と聞いたら、クルーもよくわからないみたいで結局諦めてしまいました。そして次に放った一言が衝撃的でした。
寝たら?
あの…、僕、モニタの出し方を聞いたんですけど…。
まぁでも、キャビンは暗くされてますし、
ベッドもこれくらい倒れますので寝てもいいんですけど…。
これが国民性なんですよね。
パキスタン最高です!
適当さ加減がホントすごくいいんですよ。その後、お言葉に甘えて本当に寝ることにしました。
途中、「コーヒー飲みます?」と言われたのでもらったのですが、やはり紙コップで出てきました。
着陸が近づいてきました。クルーが窓を開け始めました。明るい機内が戻ってきました。
クルーが愛したナリタ風景
間もなく成田。モニタがないのでイマイチどこを飛んでいるのかわかりませんが、何となく旋回の方向と外の景色で想像できます。銚子を望みます。
のどかな田園風景を見ながら降下角3度で降りて行きます。
クルーが言っていました。「昔は成田ステイがあったんだけど、成田周辺のお寺が好きでよく行っていたよ。緑のあるところに行くと癒されるんだ。」と。今ではステイ先が北京になってしまったらしく、成田周辺の自然に触れ合う機会もなくなってしまって少し残念そうでした。
間もなく着陸。
ターミナル2に到着。ちょうど3時間遅れた16時の到着でした。
一度は乗りたいエアライン
今回、出発前にフローコントロールで3時間も待機させられ、実質の所要時間が6時間にもなってしまったんですが、遅れを全く気にしないクルーの態度にこちらもリラックスしてしまい、倍くらいに伸びてしまった所要時間がむしろ時間が心地よかったです。乗る前はカタい印象を持っていたパキスタン航空でしたが、乗ってみたらこれまで経験のならい陽気なクルーに迎えられて、とても楽しい時間を過ごすことができました。
パキスタン航空の北京-成田。北京発の朝が早くてちょっと使いにくい感じがしますが、時間と曜日さえ合えば、乗ってみる価値はあります。ちなみに成田発の北京行きは16時台、午後にゆっくり行きたい方には都合がよいですね。
一番の特徴はビジネスクラスが安いこと。同区間で普通にビジネスクラスに乗ろうと思ったら10万円は下りません。そこを片道5万円台、往復8万円台で飛べるのは魅力的です。ビジネスクラスのシートだけを見ると、一昔前エアラインという印象がぬぐえませんが、それはクルーのサービスでカバー。また乗ってみたいなぁと思わせるエアラインでした。
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