737MAX運航停止から4ヶ月目
2018年度に起きた相次ぐ2機の墜落事故を受けて、2019年3月から737MAXが運航停止状態になっています。既にデリバリーを完了させた400機弱が運航停止になっているというだけではなく、どんどん生産される737MAXまでがデリバリーできずにいるわけですから、大変な数の737MAXが地上で待機していることになります。この地上にいる状況を英語でもGroundingと言うわけですが、このGroundingは少なくとも9月いっぱいは続くと言われています。減産調整しているとは言え、月産40機以上と言われている737ですから、1ヶ月もGroundingが続けば、相当な数の737が地上に溢れ返ることになります。
737の最終組立はシアトルのレントン工場が担っていますが、デリバリーはボーイングフィールド(KBFI:キング群国際空港)が行われるので、デリバリーができない飛行機はボーイングフィールドに溜まっていきます。
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この記事をリリースする少し前に、ついにボーイングフィールドのボーイングの従業員駐車場にまで飛行機が置かれるようになったと、空中からの写真がTwitterやネットニュースで話題になっていました。今回はまさにその状況をお伝えしたいと思います。737MAXは一体どこに置かれているのか、地上から見るにはどこから見るのがベストか、そんな感じの内容でお送りします。
一体どこに置かれているのか
駐車場にまで置かれるようになった737MAXですが一体どこに置かれているのか。ここでシアトルの地理の復習です。シータック(SEATAC)と呼ばれるタコマ空港とボーイングフィールド、そしてレントンの位置関係はこの通り。それぞれ車で15分くらいのところに3空港が隣接しています。
ちなみにシアトル全体で見るとこんな感じです。ボーイングフィールドの位置が示されていませんが、レントンの「レの字の上あたり」と思って頂ければいいと思います。超有名で巨大なエバレット工場はだいぶ北の方にあります。
それではGoogleの衛星写真でボーイングフィールドの様子を見てみましょう
下がボーイングフィールド付近の衛星写真です。ちょっと見えにくいですが、道路(斜めに走る下道)を隔てて右が滑走路、左が工場みたいになっています。
そして赤枠で囲ったところ、道路の左側が737MAXの溜まり場です。
拡大してみると、ここには元々駐機用のスペースがあり、その隣(左上)に駐車場があることがわかります。
道路側に幾つかのゲートが見えますが、セキュリティが厳しくて近付くことができませんでした。その前に同じグランドレベルからだと腹ばいになってしますし、あまり全体が見えないと思います。
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橋の上から見るのがベスト
しかし橋が近くにありますよね。South Park Bridgeという橋です。その橋に上れば全体がみえるのではないか?と思い橋の上を走ってみました。そしたら駐車場がよく見えるではありませんか!ただ、橋の上に路駐できるのかというルールがよくわからなかったので、とりあえず橋の下に車を置き、徒歩で橋を上ってみました。
橋を南側から上るところです。
川向こうにゴチャゴチャと737MAXが見えますね。
ここは跳ね橋になっており、監視塔が橋の中央にあります。この付近からの撮影がベストです。
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圧巻のMAXビュー
さあ、橋の上からの眺めをご覧下さい。この通りMAXがずらり。一体何機いるんでしょうか?尾翼の数を数えてみればわかるんでしょうが多過ぎて数える気にもなりません。
ターキッシュの737MAX8をアップにしてみると後ろには見たこともない尾翼もたくさんありますね。
既に倒産してしまったインドのJET Airwaysもいて「この機体どうするんだろうなぁ」と思ってしまいます。
こちらが駐車場の部分。アイスランドエアのMAXが3機縦に並んでいますね。
その隣にはTUIが同じく駐車場に3機縦に並んでいます。
TUIの奥にもメジャーなところですとターキッシュ、ユナイテッド、アメリカン、エアカナダなどのMAXが並んでいます。
今しか見られない景色は、橋の上から見ることができます。新型機が、しかもベストセラー機が運航停止になるとこんな風になっちゃうってことなんです。当事者のボーイングは本当に大変だと思います。
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さらに遅れの可能性も
と言っている間にも、新たな遅れの問題が次々と出てきます。MAXで問題となったMCAS以外にも別の不具合が発見され、それの修正に時間を要し、これまで遅くて9月と言われていた運航停止がもしかしたら来年(2020年)まで延びるのではないかと言われています。既に11月まで運航再開を延ばしたエアラインが幾つか出てきています。新たな不具合が発見されるのは念には念を入れている証拠であり、乗客目線に立つととてもありがたいことなのですが、そろそろこの駐車場に溜まっていく飛行機を掃いてやらないと本当に置いておくところがなくなります。置き場だけならいいのですが、航空会社に対する遅れへの補償という金銭的な問題もどんどん大きくなっていきます。
2018年10月にライオンエアの737MAXが墜落した時、誰がここまでの事態に発展すると想像したでしょう。当初数ヶ月と言われた運航停止ははや4ヶ月にもなりました。もしかしたらあと半年くらい延びるかも知れません。
世界一のベストセラー機が運航停止になるということは大変なことなのです。さらに状況が悪化して、ボーイングの屋台骨を崩してしまうような事態にならないことを願います。お金がなければ新型機の開発もままならないですからね。797の開発とか、Boeingはこの先一体どうなってしまうんでしょうね。
すごい光景に目を奪われつつ、何となく先行きが心配になってしまう僕なのでした。
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