近距離アジア路線でA380に乗る
A380乗り潰し計画の6番目として選んだのが大韓航空のA380。大韓航空はスカイチームに加盟しているため、同じスカイチームのデルタ航空のマイルが使えます。今回狙ったレグは台北=仁川。この区間に2017/2018年冬スケジュール限定で大韓航空のA380が入っています。この区間にデルタの30,000マイルが使えます(片道)。A380のビジネスクラスに30,000マイルで乗れるのはオイシイですよね。普段ならば仁川=ニューヨーク線などの長距離路線でしか乗れない機材なので、短距離路線に入っているところを狙えば非常に少ないマイルでビジネスクラスを体験することができます。
Flight RadarでA380をウォッチ。ゲート前で到着を待ちました。台北桃園空港は空港のどこでもWi-Fiが繋がりやすいので助かります。
窓に緑っぽい色が付いているのが台北桃園空港の特徴。この色、なんとかならないもんですかね?
ずんぐりむっくりの水色の機体。お世辞にも格好良いとは言えないです。むしろ愛くるしいヤツです。
早々とスカイプライオリティ(優先搭乗)のゲート前にスタンバイ。一番乗りを目指します。とりあえずスタッフに「1番に乗りたいからここで待ってます」と言っておきます。First(1番)にとFast(早く)を間違えられたようで、「いや、まだ搭乗は始まりませんので、ここでお待ちください」とムッとされました(泣)。
ボーディングブリッジから窓が2列に並んでいる姿を見ると、「このヒコーキなんか違う!」って思っちゃいますね。
搭乗時の避けられない儀式
いきなり振り返り「アンニョンハシムニカ~」と作り笑いで迎えてくれるクルーたち。「うわっ、もう乗ってきたよ」的な驚きを隠し切れてないですね。ボーディングパスを見せないと乗せてくれないのが困ります。自分の席の位置くらい、既に頭の中でシミュレーション済みです。「ギャレイを通って右一番奥」そんなことはわかっているんですけど、ここではあえて知らぬふりをしてボーディングパスを見せ指示に従うわけです。本当は後ろからどんどん人が押し寄せてくるので、1秒でも早く乗り込みたいんです。
そして、クルーが気を利かして僕を先導してくれちゃうのも困るんですよ。誰もいないキャビンを撮りたいのに、スタスタと歩いて行ってしまうクルーに「あ、あ、あ、キャビンの写真撮らせて下さい」と言って、慌てて戻ってきてもらいます。
ボーディングパスを見せるところから始まるこの避けられない儀式をなくしたいのですが、クルーに染み込んでしまった行動パターンなのでそれを崩すのは、やはり事前予告なしには難しいですよね。
2-2-2の配置はゆったり開放的
という騒動を経て、キャビンの撮影に入ります。まずは2階席ナンバー1ドアから後ろを向けて。
3つのゾーンに分かれるA380のアッパーデッキの一番後ろのコンパートメントは、普通エコノミークラスになっているのですが、大韓航空ではアッパーデッキが全てビジネスクラスになっています。
僕が座ったのは2番目のコンパートメント。このコンパートメントは一番座席数が多くて開放的な空間です。
アッパーデッキの一番後ろから。
2番目のコンパートメント後ろから。2-2-2の座席配置がズラリと並んでいます。A380のビジネスクラスは2-2-2かスタッガードが主流で、大韓航空では2-2-2を採用しています。プライベート感はあまりありませんが、その分キャビンが広く感じるというメリットがあります。
1番前のコンパートメントはやや短くて座席数も少ないです。なんとなくここは窮屈ですね。
乗客数最少のA380、搭乗率3割を切る
大韓航空のA380は各社A380の中でも最も乗客数が少ないキャビンを持ちます。全乗客数は407人。大抵のA380は500人強の乗客が乗りますよね。何故、大韓航空は乗客数がそんなに少ないのか。それはアッパーデッキが全てビジネスクラスだからです。おかげでアッパーデッキは前から後ろまで自由に動けます。ちなみにメインデッキはファーストクラスが前方にあり、その後ろは全てエコノミークラスになっています。2階席の全てを埋め尽くすビジネスクラスの座席数は94。クルーが「今日は94席中28席しか埋まっていないの。3割以下よ。ぷふふ~。」なんて笑って教えてくれました。「この路線は短いですからね。」と僕が言うと「どこの路線でもよく似たもんよ!」とか言うではありませんか!
一瞬耳を疑いましたが、その後思い出したように「あ、ロスとかNY線とかは満席だわ。」と、長距離路線ではちゃんと埋まっていることを教えてくれました。その他A380は仁川=パリ線、仁川=バンコク線、仁川=シドニー線などに飛んでいますが、それらの路線では3割くらいの搭乗率なのかな?なんて不安になってしまう僕でした。
真ん中の一番後ろが落ち着く
さっきから会話しているお節介なクルーに「どこでも座っていいわよ~」なんて言われたんですが、「僕、写真撮るんで、他の人の邪魔したくないんです。だから一番後ろが好きなんです。」と言ったら妙に納得しいてました。一眼レフのシャッター音が常にパシャパシャしてたら不快じゃないですか。だから僕はみんなと離れたところに座って、一人で自分の世界に浸りたいんです。ここが僕の座席19H。2番目のコンパートメントの一番後ろ右側の座席です。
リラックスポジションを後ろから。
そしてフラットに。フルフラットになるかな?と思いきやなりませんね。しかし飛行機は大体ピッチ角2~3度で飛行しているので、床に対して水平になってしまうとむしろ頭が下がってしまうんですよ。170度くらいの角度の方が実は快適なんです。一昔前のライフラットに比べたら、随分と倒れている方なので完全に合格点です。
A380の2階席前は困った空間
A380に乗ると必ずやりたくなることはアッパーデッキの一番前から一番後ろまで歩いてみること。前と後ろに何があるか気になりませんか?一番前には階段があります。この写真は飛行中のため「立ち入り禁止」になっています。この下の階にファーストクラスがあるのですが、この便ではファーストはファーストとのこと。時々短距離路線では、ファーストクラスをビジネスクラスとして売っていることがあるのですが、この便はそのようなことはしていないそうです。
前にはこんな風にソファーがあります。でもこのソファー誰も使わないんですよね。もったいないです。いっそのことエミレーツのA380みたいにシャワールームとか、超豪華トイレにしてしまった方が、使い方としては正しい気がしますね。
そうなると問題はファーストクラスの位置でしょう。ファーストクラスは通常1階に設けられます。エミレーツみたいに2階に設ければいいのですが、通常A380の2階席はビジネスクラスの設定なので、あまりに豪華な装備を2階につけてしまうとファーストクラスとの格差がなくなってしまうんですよね。A380の困った問題です。
大韓航空A380は後ろにラウンジがある
今度は後ろに行ってみましょう。これが大韓航空のA380の大きな特徴です。後ろにもソファーがあります。しかも前のエリアよりもうんと広いスペースを取っています。
一番後ろから見るとその広さがわかりますよね。ここがいわゆるラウンジになっており、飛行中はここでお酒が飲めます。また後から紹介しますね。
そして忘れてはいけないのが後ろの丸い階段。これも飛行中は使用禁止ですが、飛行前に1階に降りさせてもらいました。
1階に降りると、1階の一番後ろはこんな風になっています。免税品販売ディスプレイです。これは離陸前の様子なので、棚には何も飾られていませんが、飛行中には何かがここに飾られるはずです。(飛行中に行っていないので未確認)
そして一番後ろエコノミークラスの座席です。通路にクルーが立っている都合上、これより前に行くと怪しいので写真を撮るだけでやめておきました。
機内ツアー終了、やっと落ち着く
機内ツアーが終わり、やっと落ち着いて着席することができました。実はそんなに急ぐ必要ってないんですよね。一番に乗り込めば機内を撮影する時間は十分にあります。ササッと撮ってしまって後はのんびり寛いじゃいます。自席からの眺め。いいですねー。2-2-2は遮るものがないのでとても広々としています。
ウエルカムドリンクはグアバジュースを頂きました。いつもオレンジジュースだと飽きるのでたまには趣向の違ったドリンクが飲みたいですよね。
USBのソケットは座席と座席の間にあります。
A380アッパーデッキの特徴は座席横の空間。ここをテーブルとして活用できるのはかなりのアドバンテージです。さらにふたを開ければ物入れに!僕はいつもノートパソコンをしまっています。
機内エンターテイメントシステムはちょっとショボめ。日本の映画は「家族はつらいよ2」のみでした。日本映画が好きな人にはちょっと物足りません。
A380で面白いのはやはり尾翼カメラでしょう。離陸上昇中はこれにしておくといいですよ。しかし解像度が悪くてよく見えないんですけどね…。
そして離陸。すぐに雲に入りました。
雲の中に入ると尾翼カメラに水滴が…。でも速度が速いので雲を抜けるとスーッと引いて行きます。
いつの間にか巡航に移りました。
至福の韓国料理タイム
大韓航空に乗る際のお楽しみは韓国料理でしょう。メニューが配られました。そうそう、大韓航空のビジネスクラスは正式には「プレステージクラス」と言うんですよね。でも、あんまり馴染みません。一方のアシアナ航空は「ビジネススマーティウムクラス」と言います。スマーティウムって何だよ。新しい元素か!大韓航空よりはわかり易いですがやはりあまり馴染みません。
台北=仁川線のチョイスは「ピビンパ」と「チキンの炒め物」。
絶対ピビンバでしょ!
ということで、ご飯前に何故かオレンジジュースが出てきました。頼んでないし…。謎です。
はいピビンバが出てきましたよー。しかししかし、韓国のりの下をよく見て下さい。
な、な、なんとパックご飯なんです!
最初見た時ちょっと萎えましたね。え~!ビジネスクラスでパックご飯出るの~!って。でもよくよく考えてみるとパックご飯の方が美味しいかも知れません。しかもパックご飯って熱々じゃないですか。炊いたご飯をレンジでチンするのと、サトウのご飯かどっちが美味しいかって、機内食ではパックご飯なのかも知れません。ファーストクラスなら炊き立てご飯じゃないと格好がつきませんが、ビジネスクラスならばパックご飯もありなんだとこの時初めて気が付きました。
それで、これで全てではなくて、すぐにスープが出てきました。
これこれ、コチュジャン。これを入れないとピビンバとして成り立ちません。汚い絵になるので、混ぜ混ぜした状態のものは写真を撮っていませんが、このコチュジャンをたっぷり入れてグリグリして食べました。機内にカチャカチャとピビンバを混ぜる音が響くのがちょっと滑稽でした。
先ほどのお節介なクルーに「すごく美味しかった」と伝えたら、「おいしいのはこれ(コチュジャン)よ!これがないと味なんてしないわよ。」と言われて唖然…。せっかく褒めてやったのに、コチュジャンが全てだなんて…。
そして思い付いたように「ちょっと待ってて」と言われ、
コチュジャンチューブ5本ゲ~ット!
僕、「くれ」なんて頼んでないっすよ。お節介なクルーが勝手に持ってきたんです。最初受け取るか悩んじゃったくらいで、「あ、あ、ありがとうっす」みたいな感じで僕も苦笑いしながら受け取りました。「これ、どうしような~」と思い、家に帰って嫁さんに「こんなのもらっちゃったんだけど」とチューブを見せたら「あっ、いいねー、ちょーだい」って喜ばれました。
初体験!機内のバーカウンター
なんだかすごく楽しい食事でしたね。コーヒーで一服と思いましたが、飛行時間が2時間くらいしかないのでラウンジも見ておかねばと思い席を立ちました。ここがバーカウンター。セレスティアルバーと言う名前がついています。「何か飲まれますか?」とクルー。さっきのお節介なクルーではなく、もっとシャイな感じのクルーがカウンターに立っていました。写真撮らせて下さいと聞いたら断固拒否。「おいおい、そんなに恥ずかしがるなよ」と思いましたが、やはりネット上に載る(可能性がある)のは嫌なんでしょうね。気持ちわかりますので無理には撮りません。
お洒落なメニュー。お酒ばかりなんですが、「お酒苦手なんですよねー」と言ったら、「レモネードでも作りましょうか?」と。「頼んまーす」とレモネードを作ってもらいました。
本来はウォッカベースのお酒なんですが、レモネードにもできるようです。これ、本当に美味しかったです。かなり濃いめの調合で、ピビンバを食べた後のお口の中がとってもスッキリしました。
僕がラウンジではしゃいでいたら、騒がしいのを聞きつけて他のお客さんが来ました。僕はちょうどレモネードを飲み終えたところだったので、そそくさと自席に戻りました。ここは機内最後尾なので、前方に座っている人は気付かないと思います。そういう意味で、これぞ機内の隠れ家ラウンジかも知れませんね。
そしてちょっとだけお昼寝です。台北でほぼ徹夜しているとあって、一瞬で眠りに落ちました。うっかり20分くらい寝ちゃいました。ヒコーキで眠るのって幸せなんですが、飛行時間が短いフライトだととても損した気分になっちゃうんですよね。時間貧乏症ってヤツです。
A380はゆったり静かに降りる
はや、巨体は韓国領空。スポイラを立てて降下率を上げます。翼端にあるエルロンをよーく見て下さい。このエルロンは3枚になっていてひらひら動くんですよ。旋回する度にヒラヒラ、ヒラヒラ。その優雅な動きがA380の巨体にとても似合っていると感じました。
仁川に向けてファイナルアプローチ中。この橋が見えるといよいよ着陸です。
そして接地。スポイラを立てて、スラストリバーサーを使って減速します。すごいドスンとくる着陸でした。アッパーデッキでこの振動が伝わるってことは、主脚の付け根付近に座っていた人はどれくらいの衝撃が来るんでしょうね。とちょっと心配になるくらいのハードランディングでした。
時刻は15時過ぎ。既に太陽が落ちかけています。
台北からの短いフライトが終わりました。名残惜しく降機します。接続されている3つのボーディングブリッジで巨体が隠されてしまっていますね。アッパーデッキに接続されている1本のボーディングブリッジがA380の特徴。ここを通れるのは大韓航空のA380ではビジネスクラスの乗客だけなんです。
大韓航空のA380、最高です
今回は自身6エアライン目のA380の搭乗として、ちょっとだけ惰性でこなしている感があったんですが、そんな惰性感を全て拭い去ってくれるようなヴィヴィッドな体験ができました。今まで乗ったA380のビジネスクラスの中で一番だったかも知れません。大韓航空のA380の特徴はアッパーデッキが全てビジネスクラスであることです。A380に乗ると下の階があることを意識しませんので、何だか超大型のプライベートジェットに乗っているような気分にさせられます。乗客数が少なかったのでなおさらでした。2-2-2の座席配置もキャビンを広く見せていました。ホント大韓航空のA380はおススメですね。
その他食事はピビンバがとても美味しかったですし、後ろにあるバーもA380ならではの設備で珍しい体験ができました。バーのソファーに腰かけて飲むレモネードは、そりゃあもう最高でした。そして極めつけはお節介なクルー。コチュジャンチューブをもらえたのは想定外でしたが、彼女のおかげで色々と楽しい会話ができました。話し掛けても全然ノってこないクルーもたくさんいますが、今回みたいにノリノリでお節介クルーがいると、航空旅行自体が楽しくなりますよね。ビジネスクラスというハードを楽しめるのは当然ですが、それに加えてサービスというソフトも楽しめるというオマケ付き。いやはや、楽しいフライトでした。
大韓航空のA380、自信を持ってお勧めします。この便と同じくらいの空いている短距離路線で乗る方が楽しいかも知れませんね。
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