イケてる航空総合研究所

ビジネスクラス搭乗記、弾丸旅行のノウハウ、マイルの使い方、貯め方、航空事故の真相などなど。

深夜の乗り継ぎは危険。台北桃園国際空港内のトランジットホテルに泊まるはずが空港内で野宿した話。

制限エリア内にトランジットホテルがある

今回の台北旅行では「どこにも入国しない海外旅行」をテーマに、空港内で寝泊まりをしようと思っていました。台北桃園国際空港の制限エリア内(出国後の出発エリア)には昔エバーグリーンホテルというホテルがあり、トランジット客には非常に便利でした。しかしエバーグリーンホテルは数年前に撤退。「空港の制限エリア内にはもう泊まる場所がない」と思い込んでいました。

しかしよく調べてみると、台北桃園空港のターミナル2、エリアAにあるPlaza Premium Lounge(プラザプレミアムラウンジ)にPrivate Rest Areaというものがあることがわかりました。

https://www.plaza-network.com/location_detail?city=Taipei

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Booking.comで調べるとこのような写真も出てくるので、Private Rest Areaというのは完全にホテルのようです。僕はそこに泊まろうと考えました。

ネット上にはびこる噂

しかしネット上には「21時以前にチェックインしようと思ったら断わられた」とか「朝は9時までしかいられない」とか色々な噂がありました。しかしどれも今一つ信憑性に欠けるのです。

今回の僕のフライトスケジュールはジェットスタージャパンGK93便で名古屋から飛んで深夜の1時着、そして翌日は大韓航空のA380で12時20分発です。乗り継ぎに12時間くらい時間があります。なので到着後すぐにホテルにチェックインし、11時頃まで部屋にいたいと思っていました。

気になる料金は?

Plaza Premium Loungeの公式サイトを見ると6時間と12時間の宿泊プランがありました。6時間ステイにして朝7時にチェックアウトして、後はラウンジで寛ぐか、12時間ステイにしてギリギリまで部屋にいるか、ちょっと迷いますよね。

料金は、

6時間で4,500TWD(約17,000円)
12時間で6,000TWD(約23,000円)

とにかく高いですが、6時間に比べると12時間は割安です。ということで贅沢に12時間ステイにしようと思いました。

電話して聞いてみた

ただ、ネット情報の「朝9時までしか泊まれない」という噂が心配でした。それが本当だとしたら1時に到着するにも関わらず、12時間で予約してしまうと大損をすることになります。なので直接ラウンジに電話をしてみました。そしたら「12時間のプランを選択すれば、(僕の希望する)1時から11時までステイできる」とのこと。そのまま電話で予約をしました。(もちろんオンラインからも予約可能)

これでとりあえずの寝床は確保できたわけです。今回は深夜1時着でしんどいですが、次の便が12時過ぎなので遅く起きても大丈夫。久々空港でゆっくり寛げると安心していました。

まさかの乗り継ぎゲートクローズ

降機し、ターミナル2のPlaza Premium Loungeを目指しました。


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このマップで言うと左のT2の方向です。降りてすぐ、ジェットスターの乗客を迎えるお姉さんに「そっちじゃないよ」と言われたのですが、「ラウンジに行きたいから」と言って振り払いました。


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そしてTerminal 2を目指して歩きました。

「あったあった、乗り継ぎゲート」と思い近づいてみると、

扉が閉まっているではありませんか!

とりあえず、その扉の近くで免税品の整理をしていたオニイサンに「トランスファーゲートが空いてないんだけど、どうしたらいい?ホテルを予約してあるんだけど。」と聞いてみたら「この時間は締まってるから無理だ。ホテルに電話してみな。」と冷たい一言。そして「ターミナル1に行ってみな、そこにスカイトレインの乗り場あるから。しかも降りたところにトランジットゾーンがある。」と。

その言葉に従い、僕はTerminal 1を目指しました。ターミナル間の移動はスカイトレインが便利です。ターミナル1と2は通路で繋がっていますが、さすがに距離がありますので、スカイトレインに乗らないとしんどいです。


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深夜の時間帯でもスカイトレインは運転しています。呼べば来る「エレベータ方式」でした。たまたまそこに箱が停まっていたので、ボタンを押して乗りました。定期的に往復するシステムより、呼べば来るシステムの方が時間的に早いかも知れませんね。1分ほどでターミナル1に到着しました。


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着いたのは薄暗いエリア

Transfer Counter Aという場所が無料のトランジットエリアになっており、空港で夜を明かしたい人の憩いの場となっています。

まさかここで夜を明かすのか?

一瞬嫌な予感がよぎりました。

僕はまだ希望を持っていました。Terminal 1でも免税品の整理をしていたお姉さんに話し掛けて、何とか出発階に行く方法がないかを聞きました。「ターミナル2には行った?」とお姉さん。「今行ってきてダメだったからここ(ターミナル1)に来た。」と言うと困った顔に…。「今の時間は行けないわ。朝の5時半に空くからそれまで待つしかないと思う。」と…。

ガ~~~ン!

ただただ、ショックでした。

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ホテルに突き放され決心がついた

最後に何か方法がないかホテルに電話してみました。「1時から予約してる、いけてるこうくうだけど、今到着してTerminal 1にいる。だけど出発階に行けない。何か方法を知らない?」と。

そして中国語訛りの英語でまくしたてられて頭が「※★×◇■☆□・・・」となったところで留めの一言。

The only thing we can do is to cancel your reservation.
(直訳:私たちができる唯一のことは、アナタの予約をキャンセルすることです。)

僕はその言葉を聞いて笑うしかありませんでした。つまり見放されたと…。もう方法はないんだと…。でもなぜか電話を切るとき、一瞬だけですが明るい気持ちだったことを覚えています。Terminal 2はダメ、Terminal 1もダメ、ホテルに聞いてもダメ。やれることは全てやったと諦めがつきました。

最後に残された手段は一旦入国して、空港敷地内のトランジットホテルであるノボテルに泊まることでしたが、次の理由でノボテルに泊まるのは得策ではないと判断しました。

  • 深夜2時にはホテルまでのシャトルバスがない。
  • タクシーに乗ろうにも台湾元を持っていない。
  • 日付が変わっているためWEBで予約できない。
  • 予約なしのため正規料金で泊まらないといけない。
  • あと3時間半待てば乗り継ぎゲートが空く。

どう考えても泊まる気にはなれませんでした。というわけで到着階で過ごすことにしました。

諦めて今日の寝床を探す

とりあえず空港内をうろついて、快適に眠れそうなところがないか探してみましたが、とにかく到着階には何もありませんでした。さっきのTransfer Counter Aに戻りました。


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スリーピングエリアとしてリクライニング角度の大きいイスが並んでいるゾーンはもちろん満席。この時間、僕と同じ理由でトランジットできないと思われる乗客たちが、このエリアに集っている感じでした。

とりあえず座りたくても席が空いていないんですよね。空いている場所は唯一PCのあるゾーン。でもちびっこ達がPCを触ったり、イスに立ったり座ったりしていて座れないんです。そこが空いたらすぐにイスを確保するのになぁと少し遠巻きで見ていました。

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そしたらたまたま館内の電気が一斉に消えたんです。多分誰かが間違えて消したと思うんですが(数秒で復旧)、その間にPCがシャットダウンしたんです。ちびっ子たちがいなくなりました。大チャンス到来。PC再起動の隙をついて、最後に残っていたスペースを確保しました。そしてすかさずイスを2つくっつけました。


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ここが今日の寝床です。

寝床から見るとこんな風景。


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空港内の電気もだいぶ落とされてかなり暗い状態になってしまいました。

僕はこのイスを2つ並べたベッドで眠りました。でも全然眠れませんでした。そもそもイスをくっつけただけのベッドでは長さが圧倒的に足りません。体を丸めても足をイスからはみ出てしまうのです。過去にしたことのないアクロバティックな姿勢でベッドに横たわりました。ほとんど眠れませんでした。

あと寒くて寒くて…。特に足が寒かったので、着ていた薄めのダウンジャケットを足に掛けて寝ましたが、それでも寒気を覚えるほどでした。12月なのでちゃんと冬の格好をしているんですよ。なのに寒いんです。

5時近くになると台北に到着する飛行機が徐々に増えてきます。すると僕が寝ているゾーンの周りが急に騒がしくなります。眠ったと思ったら起こされ、また眠ったと思ったら起こされ、の繰り返しでした。

そしてついに朝が来る

時計を見たら6時近くになっていました。周囲が異常に騒々しくなってきたので起きました。


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Transfer Counter Aのオープン時間は5時半。さすがに乗り継ぎカウンターというだけあって、ちゃんと朝になるとスタッフがやってきます。チェックインはここでできます。これから乗るのは大韓航空。Transfer Counterはチャイナエアのチェックインカウンターですが、同じスカイチームですので大韓航空のチェックインもここでできました。


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深夜は営業時間外でしたが、ここのトランスファーカウンター裏には小さなレストランが併設されており、朝6時から22時までの間はここで何かを食べることができます。

無料シャワー完備はありがたい

ここではシャワーを浴びることもできます。


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シャワーはもちろん無料です。小さなレストランで鍵をもらって使う仕組みになっているので、営業時間外はシャワーには入れません。朝6時になったらすぐに鍵をもらってシャワーを浴びました。

お店のお姉さんにシャワーを浴びたい旨伝えると、鍵とタオル、シャンプー、ボディーソープ、ローションのセットがもらえます。それを持ってシャワールームの鍵を開けます。


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シャワールームはこんな風に狭いですが、無料なので文句は言えませんね。


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シャワー圧ヨシ、温度ヨシ。期待していなかっただけあって結構快適なシャワーでした。ただ足のマットがないので床がベタベタになります。なのでドアの外のカゴにまとめて詰め込んであった使用済タオルをかっぱらって足元に敷きました。ちょっと不潔ですけど足の裏だけならなんとか我慢できます。

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そして、もちろんドライヤーも完備。エアコンも完備(温度がちょうどよかったので使用せず)。総じて清潔で快適なシャワーでした。

深夜の乗り継ぎで気を付けること

まさかまさかの乗り継ぎゲートクローズで、到着した時には絶望的な気持ちになりましたが。朝になってみれば「トランジットホテル代が浮いた」と若干喜んでいる自分がいました。人間何とかなるもんです。

生まれて初めて空港のホテルではない場所で野宿しましたが、仮に長いソファーのポジションが確保できればかなり快適に過ごせるんじゃないかと思います。

しかししかし、軽い気持ちで「どこにも入国しない海外旅行」を実践すべきじゃないと思いました。今回は到着時間が早ければ状況は全く変わっていたと思うのですが、深夜に着いてしまったのでこのような事態になってしまったわけです。これは「どこにも入国しない海外旅行」に限らず、単純な深夜の乗り継ぎでも起こり得ることです。

場所も台北に限らず、到着階と出発階が分かれている空港(仁川など)では起こりうる事態ですよね。これから「どこにも入国しない海外旅行」に行くときには、乗り継ぎゲートのオープン時間をしっかりと調べておこうと思います。

あと、このことを話した友人から、「次の便のチェックインをしていないと乗り継ぎゲートを通れないのではないか?」という意見をもらいました。恐らくE-ticketの控えで通れる気がしますが、ハッキリしたことはわかりません。

また、LCCに乗り継ぐ場合など、空港の制限エリア内でチェックインができないエアラインに乗り継ぐ場合も入国しない海外旅行は不可能です。

このように色々なケースを考えると「どこにも入国しない海外旅行」は結構なリスクを伴いますね。深夜に着いてはいけないとか、制限エリア内でチェックインできるか?とか、色々と気を付けるべき点が見えてきました。よくよく考えてみると当たり前のことなんですが、仁川での成功体験がアダになって、「そんなものどこの空港でもできるわい」と自信過剰になっていたのかも知れません。

今回も空港内で野宿して「どこにも入国しない海外旅行」を実現したわけですが、これはあまりおススメできるものではありません。やはり体はしんどいです。皆様も十分に下調べを行い、最悪の事態を想定して乗り継いで頂きたいと思います。


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