ブログはもう辞めたつもりだったがどうしてもコメ騒動のことについて書きたいので復活。
備蓄米の放出を始めたら何やら銘柄米が出てきたという話。僕も昨日近所のスーパーに行ったら、棚が満タンとは行かないものの以前よりは不足感がなくなっているように見えた。
今回、コメの高騰を食い止めるべくして、備蓄米を投入し、需給を緩ませた小泉農相の功績は非常に大きいと思う。放出から1週間ほどで、こうやって隠されていたコメが若干出てきたからだ。これで少しはコメが安くなるかな?というところである。
ただ、一つ言いたいことは、安いコメが欲しいからと言って備蓄米に群がるな、ということだ。備蓄米が売れ残れば、それよりも高い銘柄米はもっと売れ残り、値段を下げざるを得なくなる。新規で入る銘柄米は、何とか売り切ろうとさらに安値が付く。このメカニズムで世の中のコメの価格を下げようとしているのだから、人々が備蓄米に群がり、即完売してしまう事態になっていては全く意味がないのだ。
つまり、備蓄米が売れ残るくらいにならないとコメの価格は安くはならない。
消費者は短期的な利益を求めず、「物価とはどのように決まるものか」ということを考えながら備蓄米を買って欲しいと思う。今2,000円のコメが手に入ったからと言って、それがなくなれば明日からはまた4,500円のコメを買わないといけないわけで、じゃあそんな高値のコメを買わなくするにはどうしたらよいか。それはつまり備蓄米をある程度売れ残らせるべく買うことなのである。(もちろん、備蓄米が飛ぶように売れれば、一時的には銘柄米が売れなくなるので、若干の価格下落圧力を掛けることは可能。)
備蓄米の放出は、政府が安くコメを買わせてくれているのではなく、コメの需給を緩ませるためにやっているという根本の市場原理を理解して行動して欲しいものだ。備蓄米を求めてお店に朝から並んでしまう人達は、「特売やるからおいで」ではない、ということをもっと理解して欲しい。
「ホント早く値段が下がって欲しいです」と言って備蓄米を手にしているおじいちゃん。値段はお店が決めているのではありません。市場原理で決まっているのです。
こういうのは口先だけでも効果があって、「需要があれば無制限に出す」、「輸入米も視野に入れる」などと言うだけで、弱気に傾いた一部の業者が値崩れを回避するために在庫を出し始めるので、政府も備蓄米の在庫を見つつ消費者の行動を注視しながらやって欲しいものである。為替市場でもよくやる、「円安圧力が掛かれば無制限にドルを売っていく」とうような口先介入と全く同じ構図ある。
マスコミは面白がって備蓄米の放出に行列を作る人々を取材し、備蓄米の活況ぶりを過剰に演出しているわけだが、そんなヒマがあったら、「価格とはどう決まるか」、「コメの価格は業者が決めているのではなく我々の消費行動が決めている」ということを、特番でも組んで教えて欲しいと思う。
備蓄米を買う、即完売になる、という行為が結局コメの値段を高止まり(若干は下がったが)させているということに気付いて欲しい。「少しでも早く安くなって欲しい」と願うのなら今急いで買ってはいけない。
コメ価格の下落までもう少しかかりそうだが、それを左右しているのはコメ業者ではなく、我々自身だということを肝に銘じておきたい。急がば回れ。それが今我々に求められる消費行動である。