イケてる航空総合研究所

ビジネスクラス搭乗記、弾丸旅行のノウハウ、マイルの使い方、貯め方、航空事故の真相などなど。

プロペラ機ダッシュエイトQ400にまつわるウソ800

新潟からの帰りもQ400で

新潟からの帰りもANAのダッシュエイトQ400です(以降Q400と記)。


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名古屋(中部)行きが新潟空港発の国内線最終便です。20時5分発というダイヤは現地での時間を有効活用する上で最高の時間設定だと思います。


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歩いてQ400まで向かいます。


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キャビンはピッカピカ。真新しいキャビンは気持ちがいいですね。後からわかったことなのですが、この機体、2017年7月に導入されたばかりの新造機らしいのです。

どおりでキャビンが綺麗なわけだ…。機体番号はJA463A。ANAウィングスの中で最も若いQ400と言うことになります。4年ぶりに導入したそうです。

Q400のウソ800を暴く

はい、ここから一般的なプロペラ機、特にQ400のウソを暴いていきたいと思います。

僕がこれまで乗って感じてきたことを書きます。

どの席に座っても景色が見える

Q400は高翼機(胴体の上に翼がある)なのでどの席に座っても下の景色が見える。これ、皆さんそう思ってますが、実は違います。

これはウソ800です。

確かに真下は見えるのですが、遠くの景色が結局見えないんですよ。景色ってシートに腰かけて、ちょっと遠くのやや下の方を見ますよね。すると高翼機でも翼やエンジンに被ってしまって景色なんて見えないんです。しかも旋回の内側に入ると、低翼機ならば見えるはずの景色が高翼機だと見えません。


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(Q400の後方席。この席はまだマシですが、もう少し前に座ると視界がかなり制限されます。)

マニアックな話になりますが、ビジュアルアプローチが狙える便では旋回の内側の座席を取りますよね。例えば福岡のRWY34ならば左側という感じで…。これが737ならば、翼の上に座ったとしても、旋回時には内側の翼が下がるので景色がよく見えるんですが、高翼機だと真逆のことが起きるんです。翼が邪魔をして旋回の内側の景色が全く見えなくなるんです。

個人的に僕は高翼機って低翼機よりも景色が見えにくいんじゃないかって思っているくらいです。先にも書いた通り真下は見えるんですが、トータルで考えると高翼機は低翼機よりも見える景色の範囲が狭い気がします。

そんなわけで、僕は前方の翼に掛からない席が好きになりました。以前は「ギアが見える」からと翼の後ろに好んで座っていたこともあるのですが、Q400ってギアの格納速度が凄く早いので、見ていてもつまんないんですよ。すぐしまわれちゃうし、出るときも一瞬。格納/展開する過程がじっくり見たいのに、一瞬で過ぎ去ってしまうんです。しかも翼の後ろってエンジン後部が邪魔して全然景色が良くないんです。だから後ろの方に乗るのはやめました。

小さい飛行機だから狭い

「小さい飛行機=狭い」って思っている方はたくさんいると思いますが、

それはウソ800です。

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(ほーらこのとおり)

広角レンズで撮っているので実際よりも広いですが、Q400はシートピッチが広くてかなり快適なんです。乗ってみるとわかりますが、下手なナローボディ機(737など)よりも、Q400の方がうんと快適なんですよね。

断言します。Q400は737よりも快適です。あと、Q400と同じボンバルディアというメーカーでCRJというリージョナルジェット機があるんですが、CRJとQ400を比べても圧倒的にQ400の方が快適なんですよ。ただし、同じ2-2配置でリージョナルジェットであるエンブラエル170シリーズに比べると快適性は落ちるかも知れませんが…。

プロペラ機はうるさい

それもウソ800です。

もしかしてYS-11の頃の記憶を引きずっていませんか?確かにYS-11はうるさかったです。本気でうるさくて、プロペラが回り始めると隣同士でも会話なんかできたもんじゃありませんでした。まぁあれは50年前の飛行機ですからね、そりゃ仕方がないですよ。

でもQ400は静かです。Q400の「Q」ってどんな意味か知ってますか?「Quiet」の「Q」なんですよ。ボンバルディアも自信を持って「Q」を付けていますから、Q400は静かに決まっています。

仕組みとしてはNVS(Noise and Vibration Suppression)という仕組みを付けてノイズや振動を打ち消しているみたいです。詳しいメカニズムまでは理解していないので書けませんが、積極的にノイズや振動を抑えようとしているという点で、騒音対策としてはかなり優秀なものを持った飛行機と言えるでしょう。

個人的な感覚でもQ400に乗ってプロペラ音がうるさいなぁと感じたことはありません。

プロペラ機は古い

それもウソ800です。

そりゃ昔は飛行機と言えば全部プロペラ機だったんですけど、ジェット機が主流になる時代になってもプロペラ機って全然減らないじゃないですか。相対的には減っているかも知れませんけど、根強く生き残っていますよね。それはプロペラ機が必要とされているからなんですよ。

さっきからプロペラ機、プロペラ機と呼んでいますが、正確にはターボプロップ機。ターボプロップ機は基本的にジェットエンジンと仕組みは同じです。むちゃくちゃ大雑把に言ってしまうと、プロペラ機のエンジンはジェット機のいわゆるターボファンエンジン外側の覆い(カウル)を取っただけのものです。仕組みもガスタービンエンジンでジェットエンジンと同じです。昔のレシプロエンジン(自動車のエンジンと同じ)とは違います。

以降、再びプロペラ機と書きますが、プロペラ機は燃費がいいんです。だから少人数のお客さんを乗せて近距離を飛びたい時にはプロペラ機の方が安く飛べるんですよ。しかも現代のプロペラ機はかなり速く飛べるようになったので、例えば名古屋(中部)-仙台でもジェット機とプロペラ機とでは所要時間が10分変わるのみです。ジェット機が1時間5分、Q400が1時間15分という差です。飛行機で10分なんて、ほとんど誤差の世界ですよね。

だから今でもプロペラ機が欲しいと思う航空会社はたくさんあるんです。プロペラ機が古いと言うのは、「昔はプロペラ機しかなかった。だからプロペラ機は旧式だ」そういうロジックなんだと思いますが、実は全然違います。プロペラ機は燃費がいい。だから近距離にはもってこい。プロペラ機には確固とした得意な領域があるんです。

先にも書きましたが、この時乗ったQ400は導入したての新しい機体。ANAウィングスではさらにQ400を2機追加導入する予定です。コンスタントに売れているプロペラ機の代表格がQ400と言えるでしょう。

Q400はトラブルが多い

これは「過去はそうだった」と言わざるを得ません。ウソ800がウソ400くらいにダウングレードしちゃうかも知れません。

Q400を導入したての頃はトラブルが相次ぎました。当時伊丹ベースで活躍していたQ400の逸話は色々と聞いたことがあります。欠航は当たり前、出発してもが引き返してくることがしょっちゅうあったらしいです。

機内に煙が充満して戻って来たとか、ニュースにもなっていました。前輪が降りずに胴体着陸したこともありましたね。それが全てQ400だから必然的にそうなったとは言い難い面がありますが、トラブルが相対的に多い機種だったことは間違いありません。

実際、僕もQ400の便に乗ったとき、乗ってきた便の折り返し便が機体トラブルのために欠航してしまった場面に遭遇したことがあります。とにかく昔は機体トラブルによる欠航が多かった機体です。

これは新型機であれば、どうしても避けられない問題ですね。787だって今でこそトラブルは減ったものの導入当初はトラブル続きでした。全機飛べなくなった時期もあったくらいですから。ボーイングという経験のあるメーカーですら新型機を出すとそうなるのですから、後発のボンバルディアが新型機を出したら、トラブル続きも当然です。

そうやって成長していくのが飛行機というものなのです。今となってはだいぶ成熟してきてトラブルは減りました。最近特に話題になることはありませんね。ということでQ400にトラブルが多いのは今や過去の話となりました。

Q400ラブのススメ

と言うことでQ400のウソ800を暴いてきましたけれども、いいところもあり悪いところもあって、それでもいい飛行機なんですよ。僕は最近Q400がお気に入りです。737かQ400のどちらかに乗れと言われたら、迷わずQ400を選びますよ。僕の地元セントレアは737とQ400がANAの国内線の主力機ですので、両方に乗る機会が多いのですが、乗れば乗るほどQ400がよく思えてきます。

プロペラ機は小さいから狭い、プロペラ機は古くてうるさい、そんな誤解を持っている人がいるような気がしてならないので、今回はこんな記事を書いてみました。ほら、Q400がラブになってきたでしょー。


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