放送に一瞬自分の耳を疑った
先日(2019年2月1日)、那覇から名古屋(中部)へJTA(日本トランスオーシャン航空)で飛んだ時の話です。僕、JALには滅多に乗らなくて、2014年以来5年ぶりに乗ったんですが、搭乗順位を知らせる放送に一瞬耳を疑ってしまいました。搭乗する直前にゲート前で行われる、「小さなお子様連れのお客様、ご搭乗に際しお手伝いを必要とされるお客様、、、」という放送がありますよね。あれは「事前改札」と呼ばれ、ステータスを持っている常連客達の「優先搭乗」よりも早く飛行機に乗り込める制度です。と言うのは皆さんご存知だと思いますが…。
な、な、なんとその「事前改札」の中に「非常口席にお座りのお客様」が含まれたのです。僕はちょうどトイレに向かうところで、「今、『非常口席にお座りのお客様』って言ったよね?」と一瞬耳を疑い、思わず足を止めてしましました。そしてトイレへ猛ダッシュ。
おれ、対象やん!急がないと!
と慌ててトイレで用を済ませてゲートに向かったのでした。
上級顧客よりも先に機内に入れる
僕の耳は正しく放送は本当でした。僕は一番に改札を通り、何気なく非常口席を指定した自分を「よくやった!」と褒めてあげながら機内に入りました。機材は737-800。14列目と15列目が非常口です。この非常口席に座る乗客は、
何十万円もかけてJGC修行をした乗客よりも早く、
普通の人では得られないはずの「事前改札」という特権を得て、
一番に機内に乗り込めるのです。
普段ANAばかり乗っている僕は、単なるJALカード会員。全く使われないままの銀色JALカードが財布に入っているだけのド素人のヒコーキマニア(←JALに関しては)です。
そんな僕が、たまたま非常口席を指定したというだけで、苦しい修行を乗り越えてきた人達を飛び越え、いとも簡単に一番乗りできてしまったのです。
それはもう驚きました。というよりも「申し訳ない!」という気持ちが強かったです。
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背景は定時運航への意気込み
棚から牡丹餅的に美味しい思いをした僕ですが、この制度、すごく疑問ですよね?何故非常口席を指定すると早く乗れるの?
って。なので、機内に入るとすぐにCAさんに質問してみました。
「非常口席の下には荷物を入れられないので、上の棚がいっぱいになる前にお乗り頂くためです(かね?)」
とおっしゃってました。最後の「かね?」というところ、ちょっと自信がないんでしょうか?しかしその理由、すごく理にかなっています。
最後の方に乗ると自席上のオーバーヘッドストウェッジが埋まってしまって荷物を入れられないことがありますよね。そうすると何とか足元に詰め込むか、席とは離れた場所のストウェッジを探すわけです。しかしJALでは非常口席の下には荷物を入れられないため、どこか他の場所のストウェッジを探すしかありません。(ANAは非常口座席下に入れられます。)
そんな状態に陥るのは決まって出発時刻間際です。ドアクローズしようとしているところに荷物棚探しをしていては飛行機が遅れてしまいます。しかも席から離れた場所に入れると降機時にも時間が掛かって、ダブルで時間をロスします。
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ステータス保持者のJGCを差し置いても、非常口席の乗客を優先するのは、JALの定時運航に賭ける意気込みが背景にあったわけです。
2019年1月、JALはFlightGlobalグループのFlightStats社から、2018年1月~12月の国内線・国際線を合わせた運航実績について、アジア・パシフィック主要航空会社メインライン部門で、7年連続、9回目の第1位に認定され、表彰されました。
という事情もあり、JALは定時運航に対し非常にシビアなんですよね。
統一ルールではない模様
僕はJALにほとんど乗らないので、ちょっと調べてみたんです。JALっていつからそんな制度を取っているんだろう?と。しかしそんな情報はネットを漁っても全く出てきませんでした。え?まぼろし?
Twitterでも検索してみました。そしたら2018年1月(約1年前)くらいに、同じようなことをつぶやいている人がいたため、少なくとも1年前くらいからこの制度を採っているようなんです。
しかし情報は少なく、実施されている空港は、僕が見た限りでは那覇しか確証を得られる空港はありませんでした。しかも、よく乗られている人すら経験したことがない様子でした。
那覇空港のオリジナルルールなんでしょうか?那覇は観光地なのでお土産が多く、オーバーヘッドストウェッジが埋め尽くされやすいんでしょうか?ならば札幌も対象になるはずですよね?おかしいなぁ…。
とにかく情報が少なく、少なくとも全国で統一したルールではないようです。むしろ少数派のルールに映りました。
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修行の意義が薄れる(かも)
この取り組み、もしかしたら一部の空港でしか実施されていない実験的な方法なのかも知れませんが、今後全国に拡大していく可能性もありますよね。ANAの視点ですが、優先搭乗のメリットは以下の記事で述べております。
この記事に書いたのは優先搭乗をする目的は、
- 優越感に浸りたい
- ボーディングブリッジや機内での混雑に巻き込まれたくない
- 手荷物を入れるところを確保したい
- 機内の写真が一番に撮れる
などです。
最近ではラウンジが非常に混んでいますし、国内線では手荷物は預けないという人も多いと思います。そうなると、ステータスを持つ意義は優先搭乗くらいしかないということになり、修行の意味が薄れることにもなりかねません。
JALで修行をしている人、ピンチです!
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カースト制のフラット化に期待
この事前改札ルール、現在は一部の空港や一部の便だけであると思われますが、JAL全体のルールとして運用されるようになれば、ステータスに関係なく機内に一番に乗り込めるようになります。それってなんかよくないですか?
今の制度はいわゆるカーストなんですよ。JALにお金をつぎ込まない限り飛行機には早く乗れないんです。ANAも然りですが、何だかちょっといやらしい制度ですよね。そんなカーストを断ち切るという意味でも、一部空港で行われていると思われるこの制度を、全国的に広げるのもいいかも知れませんね。(本来の目的は全然違いますが…)
「一番先に乗れるおれは偉い」みたい空気がなくなれば、プレミアムクラスで悪態をつく乗客が減るかも知れません。上級クラスとの差別感が存在すると、上級クラスでもエコノミークラスでも暴れる乗客が増えるという調査もあるため、ステータスを超越する権利が与えられることで、身分がフラットになるという効果が出るかも知れませんね。
さすがにそれは考えすぎかも知れませんが、ステータス非保持の一般乗客にも、優先搭乗の機会を一律に与えるという制度はとてもよいと思います。
あ、ひとつ言っておかないといけないのは、非常口に座った場合には緊急時の援助が必要になること。それができる自信がある方のみ非常口にお座り下さいね。非常口席は決して事前改札の権利を得るための席ではありませんので…(汗)。
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