日本でも勢力拡大中の春秋航空
これから春秋航空の上海行きに乗ります。その前に中国初のLCC春秋航空について少し語らせて下さい。春秋航空の名古屋(中部)線は凄いです。2015年6月に初めて路線を開設して以来、もの凄いスピードで路線拡大をしています。これを書いている2016年8月末現在、セントレアからは常州、貴陽、ハルビン、合肥、フフホト、寧波、上海、石家荘、銀川の9都市に就航しています。全然知らない都市が多いです。
ホームページで出発地に名古屋を選ぶと、こんなにたくさんの行き先が出てきます。
名古屋以外の日本への乗り入れ空港も多く、旭川、新千歳、茨城、成田、羽田、関西、高松、広島、佐賀に就航しています。中国での活躍ぶりもさることながら、日本でも圧倒的な強さを誇っています。
僕はこれから朝7時15分発の上海浦東行きに乗ります。
7時15分発というのは、早起きが苦手な人にとっては辛いスケジュールかも知れませんが、現地で時間を有効活用するには非常に都合の良いスケジュールです。上海到着は現地時刻で9時前。セントレア発の上海行きで、朝9時前に現地に到着できる便はこの便しかありません。(ただし、同路線は2016年8月現在、日、火、木、金の週4便の運航。デイリーで飛んで欲しい!)
2回分の搭乗記をひとまとめに
これから書く搭乗記は5月1日に乗ったときと、8月16日に乗ったときのミックス記事です。2回分の情報が詰まっています。2回乗って感じたことを1つにまとめたいと思います。参考になれば嬉しいです。名古屋地方在住の方で、春秋航空9C8602便に乗りたいけど、「チェックイン締め切りまでに間に合うかしら?」と心配される方はこちらの記事をご覧下さい。きっと安心できると思います。
7時15分発なので7時くらいに搭乗開始かと思いきや、6時45分頃には既に搭乗を開始しています。乗客の皆さんは早く空港に来られますし、保安検査も出国手続きも混雑していませんので定時出発率は高いと思われます。
8月16日の機内の様子。
深緑色の革張りのシートが印象的な機内です。
座席指定料金は4種類
LCCでは基本的に座席指定に料金が必要です。無理に指定しなくてもよいですが、チェックイン時に空いている席にアサインされてしまい、混雑時には3人掛けの真ん中という最悪の事態にもなりかねません。窓側、通路側など希望がある場合は、事前座席指定をしておいた方が良いでしょう。
- 1~2列目(VIPシート):2,200円
- 12、13列目の非常口席(スペシャルシート):1,400円
- 前方席3列目から11列目(ポピュラーシート):900円
- 14列目以降(ファミリーシート):400円
料金は上記のようになっています。注目すべき点はVIPシート。1~2列目ですね。
でもこちらのシートマップでは2列目は1,400円の「スペシャルシートという扱いになっています。間違っているのはこちらで、2列目は2,200円のVIPシートです。
こちらが1列目のVIPスペシャルシート。
こちらが2列目のVIPスペシャルシート。
確かに、1列目、2列目のシートは足元は広いのですが、2,200円はやや高いと感じます。しかし日本国内のLCCと比べてみると、ピーチが2,200円(国際線)、バニラエアが1,200円(同距離の東京-台北)、ジェットスターが2,100円となっていますので、相場からすると妥当な値段な気もしてきます。バニラエアは安すぎます。
おススメ座席はどこなのか
早く降機できるという点で、900円を払えば指定できるポピュラーシート(3列目~11列目)がおススメです。特に国際線では、早く降機した方が入国手続きの列に並ぶ時間が短くて済みますので前方席に座るメリットは大きいです。初めから入国手続きが混雑してる場合は、あまり意味がないかも知れませんが、それでも自分よりも先に降機した100人の後に並ぶのと、トップバッターとして並ぶのとでは行列に並ぶ時間を節約できますよね。僕が特におススメするのは3列目です。3列目は1列目、2列目とほとんど位置が変わらないにも関わらず、安い値段で指定できまるからです。1列目、2列目の2,200円に比べて900円は破格です。4列目、5列目、、、も同じですが、3列目から後ろに行ってしまうほど価値は落ちて行きますので、どうせ900円を払うならば絶対に3列目に座りましょう。
さらにお得なことに、3列目は4列目以降よりも足元が広いんです。8月16日に乗ったときに気が付きました。
こちらが3列目。
こちらが4列目。
ほら3列目の方が少しだけ広いでしょ。これでプラス900円ならば十分に納得できますよね。
5月1日の搭乗時は春秋航空自体を楽しむ目的がありましたので、400円だけ支払って一番後ろの窓側に座りましたが、8月16日はちょっと焦っていまして、できる限り早く降機したいと思っていたので900円を払って3列目にしました。上海のもう1つの空港である虹橋空港への移動があったからです。900円を払ったおかげで一番に降機することができ、非常に助かりました。
5月1日に座った一番後ろの座席はこの通り。
3列目よりも狭いです。しかしこれでプラス400円ならばまぁ許せます。
どうしても足元が広い席が良いというのならば、プラス1400円で座れる非常口席がおススメです。機体の真ん中に設定されているため、降機の順番としてもそこまで遅くはならないですよね。しかし1,400円も払うならいっそのこと2,200円払って一番前に座りたいところですよね。
雑然たる中国LCC5月1日も8月16日も機内はほぼ満席。
何となく安っぽい機内の雰囲気がいかにも中国LCCって感じですね。
春秋航空はLCCですので確かに座席は狭いですが、上海までの所要時間は2時間40分と短いため、体のしんどさは全く感じません。フルサービスキャリアと大差はないと思います。キャンペーン運賃であれば、1万円以下で上海を往復できてしまうというところに魅力すら感じてしまいます。特段良いサービスを受けるつもりがなく、とことん安い運賃を追求するのであれば、上海までは春秋航空で決まりです。
何度も言いますがセントレア発の定刻は7時15分。2回乗った2回とも、定刻よりも早くプッシュバックを開始し、離陸したのは7時15分前後でした。飛行機の出発時刻は離陸時刻ではありません。プッシュバック開始時刻です。7時15分に離陸していれば、出発時刻はそれよりも前のはずです。
機内販売メニューは充実
LCCにもフルサービスキャリア同様に機内販売があります。機内販売メニューはこの冊子にまとめられています。「机上店舗」。日本語で考えると笑ってしまうようなネーミングです。
中身はこのように「非常によくできた」作りになっており、食欲をそそられます。味はどうかということについては、復路便の搭乗記にて紹介します。大体の相場はご飯のセットが40元(約600円)程度です。
飲み物も5元~10元(75円~150円)程度で買えます。そんなに高くないです。
機内販売はフルサービスキャリアと同じく、このようにカートを使って行われます。声を掛けないと振り向いてくれないため、何かが欲しかったら勇気を出して声を掛けましょう。
5月1日は急いで搭乗したせいもあり、喉が渇いていたのでコーラでも買おうかと思いましたが、支払いは人民元のみ。しかも現金しか受け付けてもらえません。「そうか、日本のLCCじゃないから日本円は使えないんだ」と当たり前のことに初めて気付きました。
ということで上海までの2時間40分、僕は飲まず食わずで過ごしました。こうなることを想定して、飲み物くらいは買って持ち込んだ方が良いでしょう。お金があっても買えないなんて辛すぎますから…。
免税品販売はまるで露天商のよう
2時間40分のフライトはしんどくないと書きましたが、さすがに途中で若干退屈になってきます。そんな退屈しのぎになるのが、免税品販売です。いきなりアナウンスが始まったかと思うと、ひたすらしゃべり続ける男性クルー。最初は機長が話しているのだと思い、何か緊急事態でも起きたのかと思いました。しかしふと顔を上げると、一番前でキャビンアテンダントのお兄さんが片手に箱を持ちながら、製品紹介をしているではないですか。中国で露店をやっている怪しいオニイサンかと思うくらいの勢いでした。
何故か隣の中国人が大爆笑してました。製品紹介をする姿が面白いのか、話の内容が面白いのかは分からりませんでしたが、とにかく前を見ながら笑ってるんです。この機内販売アナウンスは15分くらい続き、とにかくうるさかったです。中国語が分かれば面白かったのかも知れませんが、僕にはその能力がないため何が面白いのか結局わかりませんでした。ただ、8月16日の便でこの光景は見られなかったため、この時限定だったのか、真相は不明です。
春秋体操はじめ!
春秋航空名物といえば春秋体操です。フライトも半ばを過ぎた頃に放送が入り、CAさんが通路に立って体操を始めます。放送に従って皆さんやっておられます。日本のラジオ体操とは違い。体を大きく動かすことはありませんが、何だかそれなりに効きそうな運動です。
CAさんはマジでやってます。
乗客の皆さんもマジでやってます。
3列目から見るとこんな感じに見えます。
伸びの運動。
目の横をぐりぐりする運動。このあたりに中国らしさを感じちゃいます。
20分早着
春秋航空の上海行きは到着するのも早いです。現地時刻8時過ぎには高度を下げ始め、8時26分(現地時刻)には上海浦東国際空港に着陸しました。8月16日はもっと早く8時19分に着陸しました。
スポットイン(本当の到着時刻)は8時35分でした。定刻の8時55分よりも20分早い到着でした(5月1日も8月16日も同時刻)。8月16日に限っては、入国手続きに誰も並んでいなかったため8時45分には到着ロビーに出ることができました。
2回乗って思ったのは、ダイヤに余裕を持たせているという点です。セントレアを定刻に出発できれば、かなりの確率で早着できます。朝7時15分にセントレアを飛び立てば、最速で8時45分には入国を終えて上海にいるわけですからね。この魅力は他の航空会社にはありません。
クルーについて
さて、ここで。クルーによるサービスについてですが、僕は特にサービスが悪いとは感じませんでした。中国LCCならばあんなもんです。LCC、フルサービスキャリアを総合して考えてもサービスは普通のレベルです。ピーチなどの日本のLCCでも、クルーによってはやる気ない人いますからね。報道や雑誌で出てくる日本のLCCのクルーはとても愛想が良くてやる気満々な感じがしますが、実際にはクルーによりけりといった感じです。
春秋航空だって事情は同じ。ザ・LCCのような不愛想なクルーもいれば、愛想よく対応しているクルーもいます。「入国カードが欲しいんですが」と聞いたときも機内を確認してくれて、「ごめんなさい、搭載していませんので、上海に着いたらもらって下さい」とちゃんと対応してくれました。
続いてクルーの日本語能力について。日本に多く就航しているのだから、クルーは日本語くらい話せるだろうと思いましたが、日本語は通じませんでした。さすがに簡単な英語は通じますので、その点は安心です。と言いたいところですが、英語すら話せないクルーもいたので注意して下さい。ただ、その時は英語を話せるクルーを呼んできてもらえますので、最終的には意思疎通に困ることはありません。難しい会話は無理だと思いますが、機内での典型的な会話には対応できますので、ひとまず安心です。
ちなみに機内放送は録音式で日本語のアナウンスが流れますので、その点もご安心下さい。
何故春秋航空を選ぶのか
最後に。エコノミークラスが嫌いな僕が、しかもLCCである春秋航空を何故選ぶのかということですが、やはり第一の理由はダントツの利便性です。時刻表上8時55分着ですが、定刻にセントレアを飛び立ってくれれば、時刻表よりも20分くらい早く上海浦東空港に着くことができます。セントレアの出発ラッシュと重ならない出発時刻ですので、プッシュバックから離陸までもスムーズですし、皆さん早朝便ということで乗り遅れないように気を付けて空港に来るのか、お客さんが揃うのも早いです。定時出発率は高いはずです。
あと特筆すべき点は安さですね。5月1日は片道5千円ほどで乗っています。元々の運賃はキャンペーンで999円でした。そこから座席指定料や空港使用料、燃料サーチャージ等が付いて結局1便当たり5千円くらいになってしまいましたが、それでも片道5千円は安いです。
さすがに8月16日はお盆期間かつ直前の予約となったため、片道で2万円近く払っていますが、それでもフルサービスキャリア値段を考えると標準的な値段だと思います。
中国LCCと言うと何となく胡散臭いイメージが拭い切れませんが、サービスは悪くなく特別待遇を求めなければ何も問題はないと感じました。むしろ春秋体操などのユニークなサービスもあって面白いと感じるはずです。
まとめると、
- 9時前に上海に着ける。
- 朝一なので遅れにくい
- LCCのため値段が安い
この3つおススメする理由です。名古屋(中部)-上海には春秋航空以外にも、ANA、JAL、中国国際航空、中国東方航空、中国南方航空、吉祥航空の6社が飛んでいますが、エコノミークラスはどのエアラインも同じようなものですし、ビジネスクラスだって名古屋(中部)-上海の路線に入っている機材は狭いですので、あまり乗る価値がありません。それならいっそのこと激安の春秋航空を選んだらいいんじゃないでしょうか?乗っているのは中国人ばかりですが、乗った瞬間から中国気分が味わえていいですよ。
常に文句言いっぱなしの僕がおススメするのだから間違いないです。僕は多分次に上海に行くときも春秋航空を選ぶと思います。何せ便利ですし安いですからね。
というわけで春秋航空をどうぞごひいきに。(←結構気に入って乗ってる人の言葉)