A350が通じない!
上海・虹橋空港のトランジットホテル「上海中航泊悦酒店」に泊まった翌日、この旅行のメインである中国東方航空A350-900のビジネスクラスに乗ります。中国東方航空の上級クラス・チェックインカウンターの入口にやってきました。
さすが上海のメイン空港ですね。虹橋空港には座ったままチェックインできる素晴らしい専用カウンターがあります。
まず機材がA350であることを確認しないといけません。もしA350ではなかったら乗るのをやめないといけないからです。機種指定で乗っているため機材変更は致命傷になります。もし機材が違ったら来た意味がありません。直前の機材変更は本当に起こり得ますので、乗る前のチェックインカウンターでの確認は必須です。
しかしです。
「機材は何ですか?A350ですか?」という質問が通じないんですよ。「ワット エアクラフトタイプ?エイ スリーフィフティー?」が通じないのです。言い方を変えても全然理解してくれません。
でも途中で気付いたらしく
イエス、三五零(サンウーリン)
という中国語が返ってきました。とにかく英語が通じにくいというのが中国。いつも困ります。しかし僕は、
サンウーリンマ?おーけー!
と答え、心の中でガッツポーズをしました。予定通り乗れそうです。
後から写真でも出てきますが、中国東方航空のA350はファーストクラスとビジネスクラスがAコンパートメントに配置されています。中国国内線はファーストクラス=ビジネスクラスの扱いです。
今回僕はファーストクラスのチケットを買っているのですが、一番前の本当のファーストクラスにはアサインしてもらえませんでした。それはまた後述します。
真っ白なA350に出会う
上海はこの日(2019日1月3日)朝から大雨。冬の冷たい雨でした。光線状態も最悪で新型機種に乗るのにはあいにくの天気でした。首都北京行きとあって、保安検査場前のスポット46番が割り当てられました。あまり歩かなくても済む非常に便利なスポットですね。
そこにいたのは真っ白なA350-900でした。
後ろを見るとエアチャイナの747-8、中国東方航空の777-300、吉祥航空の787と、大型機がズラリ。747や777などの大型機を国内線投入する国は、かつての日本から中国へとシフトしました。中国の国内線の成長は目を見張るものがありますね。
中国東方航空は最新のA350をまずは国内線に投入してきたというわけです。執筆現在では上海(浦東)=アムステルダム、ローマ、シドニーに飛んでいますが、就航当時は国内線オンリーの使用でした。
北京行きMU5103便に乗り込む
いち早く搭乗するためゲート前にスタンバイ。これから乗るのは午前9時発MU5103便です。空港直結のトランジットホテルに泊まっていたため、朝9時という出発時刻は非常にゆっくりできました。
機内はベージュ系の色にまとめられていたとても落ち着く色あいでした。中国東方航空A350のビジネスクラスはスタッガードです。
実に奇妙なファーストクラス
最近廃止される方向にあるファーストクラスですが、中国東方航空A350にはちゃんとついてます。一番前の列にはファーストクラスが1列4席のみ配置されています。
扉付き完全プライベート空間!
しかし、奇妙なことにこのファーストクラスとビジネスクラスの間には壁もなくカーテンもありません。
ファーストクラス真ん中斜め上から。
このA350のファーストクラス、国内線ではファーストクラスはビジネスクラスと同じ扱いといいつつ、一番前のファーストクラスの席はチェックイン時に頼んでもアサインしてもらえませんでしたし、実際誰も座っていませんでした。
そして色々とWEB記事を調べると、ファーストクラスと書いてある記事もあればプレミアムビジネスクラスと書いてある記事もあるんですよね。
国際線に就航した今調べてみても、ファーストクラスの運賃が出てきません。というわけで推測ですが、この座席は高い運賃を払った人のみのビジネスクラスなのだと思います。ただ、プレビジなどと言いだすと非常にややこしいので、本記事ではファーストクラスと言うことにして話を進めたいと思います。
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なんとビジネスクラスも扉付き
扉付きファーストクラス(プレミアムビジネスクラス)のすぐ後ろにはビジネスクラスが36席配置されています。中国東方航空A350のビジネスクラスはスタッガードです。
自席の6L。1Lの後ろがいきなり6Lになっていて、2~5列目はありません。
真ん中のビジネスクラスは隣同士になれる席はなく、全シートがソロシートです。
自席から見るとプライベート感たっぷりですね。落ち着いたベージュが、ホント気持ちまで落ち着けてくれます。
実は自分でも気付くのが遅れたんですが、この機材、ビジネスクラスにも扉が付いているんです。同じスカイチームのデルタがこの仕様のビジネスクラスですがほぼ同じ仕様。まだまだ世界的に見ても扉付きのビジネスクラスは少ないです。中国東方航空は世界に先駆けて扉付きビジネスクラスを導入したんです。中国エアラインの躍進が目覚ましい今日この頃ですね。
エコノミークラス
さて引き続き、機内の探索に行きましょう。一旦ビジネスクラスに入り、エコノミークラスの乗客が押し寄せてくるとなかなかエコノミークラスには行けません。しかしそこをゴリゴリ推し進むのが乗りマニアの技です。と言うか、、、進むのはいいんですが戻るのが大変なんですよ。迷惑を掛けるのであまりやらない方がいいです。こちらはプレミアムエコノミ―。2-4-2の8アブレスト4列で合計32席が配置されています。皮張りシートでシートピッチは37インチ。
そしてプレエコの後ろはエコノミークラス。3-3-3の9アブレストで216席が配置されています。こちらは布張りの普通のシートですね。
つまり中国東方航空A350は、
- ファースト:4席
- ビジネス:36席
- プレエコ:32席
- エコノミー:216席
という4クラスの豪華コンフィギュレーションなのです。
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窓の電動ブラインドが激ムズ!
扉付きビジネスクラスには驚いたんですけど、もう一つ中国東方航空のA350にはイケてるポイントがあるんですよ。それがこの窓。よく見るとシェードを下ろすためのツバ?タブ?がないんです。「え?どうやってシェードを下ろすの?」と一瞬考えちゃいました。
よく見ると787のように、窓の下に上下ボタンのようなものがありますよね。
そう、こんな風に中に電動ブラインドが埋まっているんです。
ただ、この状態だとシェードを閉めたことになりませんよね?いわゆる「障子(しょうじ)」を閉めただけの状態なので、普通に明るいんです。
つまり、この窓を本当に閉じるためには、2つのブラインドを操らないといけないんです。そう、障子の後ろに真っ暗になるブラインドが隠れているのです。
そこでこのコントローラを使って真っ暗になるシェードを下ろすんですが、左上のボタンを押すと2つの窓で同時にシェードが降りてきてしまって、一つの窓だけ開けるということができません。
「ん~どうしたものかな~」とあれこれいじっていると、ときどき上手く行くときがあります。いまいちコツがつかめないまま何となくできてしまった状態で止めざるを得ませんでした。
実はクルーもまだ不慣れで、なかなか望む状態にできず苦労していました。直感的に理解しづらい動きになっているんですよね。一発で望む状態にするためには相当の訓練が必要かと思われます。
虹橋空港を出発
中国の国内線上級クラスでは国際線さながらのサービスが受けられるのが魅力です。ウェルカムドリンクだってもらえます。オレンジジュースをもらいました。
国内線であろうが、機内エンターテイメントシステムも完全に動作します。国際線に乗っているのとほぼ同感覚です。
IFE(In Flight Entertainment)はスマホでも楽しむことができます。最新の機種は本当にイケてますね。
いざ出発。意外と混雑なく上海・虹橋空港を離陸しました。北京までは時刻表上2時間20分、実質の飛行時間は2時間程度です。東京から沖縄に行くような感覚と思って頂ければよいかと思います。
ウィングレットを空に向けながら左旋回。
やっぱりA350のウィングレットって格好いいですよね。
豪華機内食!とは行かなかった
中国国内線ビジネスクラス(ファーストクラス)は国際線さながらのサービスと上に書きましたが、時間帯によってはそうでもないときがあります。こちら機内食のメニュー。
「この時間はスナック(点心)よ」とクルーに言われてガッカリ…。「フルコースの朝食じゃないんですか?」と聞いたら「はぁ?」と冷たくあしらわれちゃいました。
もう少し時間が早いと朝食メニューが出るようです。麺かスクランブルエッグから選べるみたいです。そしてフルーツが付いてきます。
お昼ご飯の時間に乗ると機内食はさらに充実。アペタイザー、メイン、パン、フルーツと出てくるようです。
昔、日本の国内線でも時間帯によって「軽食」か「茶菓」かのどちらかになったじゃないですか。「軽食だったらラッキー」みたいなのありましたよね。しかし中国国内線はそんなレベルではありません。
日本の国内線の「軽食」なんて言葉が似合わないくらいのちゃんとしたご飯が出るのです。しかも時間帯によっては国際線並の機内食が出てくるから驚きです。
出てきたのはこれ。ほぼフルーツだけですがそれなりに豪華な軽食ですね。ただ、もう少しお腹が膨れるものが欲しかったです。
というわけで国際線並のサービスが受けられるというのはウソじゃないですが、それは時間帯によるといったところですね。
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フラットにしてみると
機内食の時間が終わると速攻電気を消され、全ブラインドを閉められてしまいました。ちょっと強引な感じでした。今からフルフラットの写真を撮ろうと思っていたのに照明を消されてしまうなんて…。とりあえずクルーを呼んで「ファーストクラスの写真を撮らせてもらえませんか?」と聞いてみました。そしたらブラインドを開けてくれて、フラットにしてくれました。
ファーストクラスをフラットにした状態、横から…。
こう見るとこの座席ってファーストクラスにしては横幅が狭いですよね?普通ファーストクラスと言ったらビジネスクラスよりもシートの横幅が広いのがウリなんですよ。でも中国東方航空は違いました。やはりファーストクラスではなくプレミアムビジネスクラスなのかも知れません。
こちらはビジネスクラスをフラットにした状態。十分に快適です。
足元はちょっと狭めですが、贅沢を言ってはいけません。
到着前、キャビンが明るくなりました。個室ビジネスクラスって前から見ても全然人の顔がわからないんですね。
後ろから眺めたビジネスクラス。個室になって狭く感じるかと思いきや、天井が広々としているため、意外と広々とした印象です。
ちなみにこちらが巡航中のYクラスですが、何となくエアチャイナのA350の方がスタイリッシュな感じがしませんか?
この記事を読んでもらえればわかるかと思います。
なんとパラレルアプローチ(平行進入)
上海から北京までは本当にあっという間でした。実はフラットにしながらも寝る暇すらなかったくらいです(汗)。毎回、ベッドにしたのはいいものの寝るのを忘れちゃうんですよね。既に窓からは北京の街並みが見えていました。そこへ飛び込んできたのがこれ!
チャイナエアのA350!
同じ機種とあってほぼ同じ速度で進入します。ずっと横についていてすごく興奮しました。相手の方が高度が低いのはタッチダウンゾーンが近いため。北京空港にはほぼ平行の滑走路が3本あり、3本目の滑走路は少し縦にオフセットしているんです。僕の乗る飛行機が降りようとしているのがオフセットしている方の滑走路です。
こうやって見ると北京というのはまだまだ土地があるんですよね。東京みたいに「見渡す限り市街地」という都市ではありません。
第2ターミナルに到着。中国東方航空と中国南方航空は第2ターミナルを使っていますが、2019年にオープン予定の大興空港ができるとそちらに移行するそうです。メガキャリアとしてはエアチャイナ(中国国際航空)のみがここ首都国際空港を使う予定になっています。
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新機材はやっぱり楽しい
中国東方航空のA350、事前リサーチで4クラスと言うのは知っていましたが、乗ってみるとファーストクラスの微妙な位置付けに当惑したり、ドア付きのビジネスクラスに驚いたり、電動ブラインドが異常に難しかったり、色々な発見がありました。新型機材が導入されるとどうしても乗りたくなる僕ですが、実際に乗ってみる意味はそこにありますよね。新機材には何かしら新しい発見があります。それが楽しいんですよ。
また、導入初期には短距離路線で飛んでくれるのも嬉しいです。非常に乗りやすいんですよ。この便も3万7千円くらいで乗っています。このレベルのビジネスクラスとしては安いと思います。
これからも新機材が導入される度にあちこち乗りに行きたいと思います。正直、初便じゃなくても十分に楽しめるんですよ。むしろ初便以外の方が空いていて良いかも知れません。機材が最優先で路線は二の次。そんな乗り方がとても楽しく感じます。新しい飛行機は本当にいいですね。
中国東方航空のA350は今一番おススメの機種ですよ。
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