初めての宿泊での船旅
今年のゴールデンウィーク、本当はビジネスクラスでどこか海外へでも行きたかったのですが、コロナ騒動以降、ビジネスクラスはむちゃくちゃ高いですし、海外に行ったらインフレ+円安で滞在費がゲロ高ですし、なら潔く飛行機での海外旅行は諦めて、船で旅をしようと思い、今回の旅行を計画しました。実は今年の夏、仙台に行ったのですが、その時フェリーで行くはずがなんと台風で欠航し乗れず仕舞いだったんですよね。なので今回はそのリトライなんです。5月なので特に台風もなく遅い春の嵐もなく、何の支障もなく乗れて良かったと思います。
これから乗るのは名古屋発、仙台経由、苫小牧行きという太平洋フェリー。名古屋の人ならよくご存じのヤツです。名古屋発の太平洋フェリーは19時名古屋発、仙台着が翌日16時40分、仙台発が19時40分発、苫小牧着が翌日11時着となります。苫小牧まで乗れば2泊3日の船旅、仙台までなら1泊2日ですね。
今回は仙台までで下船します。名古屋を夜出て、仙台に翌日の夕方に着き、すぐに仙台空港に移動し、セントレアまでの飛行機の最終便で帰ってくるという1泊2日の単純な旅程です。
太平洋フェリーは名古屋港でもなく、金城ふ頭でもないところ、名古屋フェリーふ頭というところから出ます。金城ふ頭に近いんですが、それよりも少し北の空見町辺りになります。
車やバイクごと船に載せていく人はフェリーふ頭まで自分の車、バイクで行けばよいのですが、歩きで搭乗する人はとても不便なんですよね。一番便利な行き方は、名鉄バスセンターからの直行バスでしょうか?あおなみ線の野跡駅とか、地下鉄名城線の築地口駅とかからもバスで行けますけれど、乗り換えが必要だったりしますので面倒ですし本数が少ないので、乗ろうと思っていたバスを逃した時がちょっと怖い。なので、僕は名鉄バスセンターから直行バスに乗りました。
名鉄バスはフェリーの運航している日の17時20分発一本のみの運行で運賃は690円です。4階の22番から出ています。普通の観光バスで快適でした。下道を走って18時にフェリーターミナルに着きます。
フェリーターミナルに到着。普段は空港に慣れているので、このフェリーターミナルのチェックインカウンターはだいぶ安っぽく見えちゃいますね。
名古屋発の太平洋フェリーは19時発。まだ出発1時間前ですが、出発90分前から乗れてしまうので早速乗り込みましょう。
何だかワクワクしますね。飛行機に乗る時よりもうんと胸が高鳴りました。
長い長い搭乗橋を渡りやっと船まであと一歩のところ。向こうに人が立っているのが見えますかね?そこを右に曲がれば船への入口です。
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豪華客船までは行かないまでも
腕に2本線のついた男性が入口で丁寧にご挨拶してくれていざ乗船。入ったらこんな空間が迎えてくれました。
太平洋フェリーは3隻あって、「きそ」、「きたかみ」、「いしかり」です。それぞれ愛知、宮城、北海道を流れる有名な川の名前が船の名前になっています。ちなみに今日乗るこの船は「きそ」です。
乗り込んだのはデッキ5、5階に当たる部分です。いわゆるこの船の玄関ですね。
デッキ5には玄関らしくフロントデスクが置かれており、色々な質問に答えてくれるかと思いきや、常に人がいなくて何も聞けませんでした。ベルを押すと出てきてくれるようですが、「今日の乗客って何人ですか?」と言う質問をあえて人を呼んでまでするのは申し訳なかったのでやめてしまいました。
この5階部分から上に上がる階段部分が一番の見どころですかね?7階まで吹き抜けの豪華仕様となっています。なんちゃらプリセンスとか巷の豪華客船とまでは行きませんが、船旅初心者にはぴったりのグレードだと感じました。
7階の階段上から下を眺めるとこんな感じです。
ここで船内マップを。基本的に乗客スペースは3階構造になっていまして、5階にはドライバー室、2等、B寝台、S寝台、1等が配置されています。2等は雑魚寝部屋、寝台はドアはないけど、カプセルホテルみたいな構造、1等は個室です。あとこの階には大浴場や売店、ゲーセン、カラオケルームなどがありまして、ちょっと大衆的な雰囲気があります。
そして6階が最も豪華なエリアになっています。1等、特等、スイートと並んでおりレストランやシアターもここにあり、どこに行くにも便利な階です。
7階は2等、1等、特等となっており、他は何もありません。最も静かな階と言っても良いでしょう。また、7階からはデッキに出られます。
こちら6階のラウンジエリア。ピアノを囲んでソファーが置かれておりとても寛げるエリアです。友達同士でおしゃべり、家族みんなでトランプ、一人でスマホや読書、皆さん思い思いに過ごしていました。
反対側もラウンジ。真ん中は給湯室となっていて、ラーメンやスープなんかに入れるお湯があります。
こちら6階のレストランへの入口。進行方向後ろを向いていますが、手前にマーメイドクラブというスタンド(カフェ)があり、その奥がレストランとなっています。
進行方向を向くとこんな感じ。
ちなみに右舷側にもソファーとテーブルが設けられており、こちらはレストランに繋がっていないので、あまり人が来ず、静かに落ち着いて過ごせるエリアになっています。
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特等客室はこんな風だ
今回僕が予約したのは特等客室。客室の一番上のランクはスイート(ロイヤルスイート、スイート、セミスイート)で、その次が特等です。「きそ」のスイートは部屋数がそれぞれ1室、1室、2室と計4室しかないのですが、特等は全61室あり(洋室/和室のみ)、予約を取りやすいのが特徴です。1等がGW期間、32,800円に対して、特等は若干高い(GW期間は2名利用45,800円)ですので、高い分なおさら予約が取りやすいです。HPを見る限りあまり広さは違わないと思われます。(船内図を見ても、特等と1等はそんなに変わらないように見える)
僕が乗ったのは4/30の便。出発の2週間前に予約したのですが、既に1等は満室でした。一方で特等は空室ありでした。他の日の予約状況を見てみても特等の空室が目立つ感じがします。特等は1等とあまり差がないのに値段が高いからではないか?と推測しています。
こちら6階の客室への入口です。1等がFirst Class、そして特等がDelux Class。ファーストクラスの方が下なのか!と飛行機との違いに驚いてしまうのでした。
自分の部屋から廊下への入口方面を眺めるとこんな感じ。右側が特等(外向きの窓あり)、左側が1等(内向きの窓なし)です。1等でも窓ありの部屋もあります。
特等の左舷側客室です。なかなかのお部屋です。いやはや、完全にビジネスホテルですね。
部屋奥から見るとこんな感じ。
しかしテレビが小さいです。今どきこんな小さなテレビじゃ何も見る気が起きません。テレビは地上と同じものが見られます。あとは航路情報が見られます。
冷蔵庫は空になっていますので、適当に飲み物を買って入れておきましょう。
お茶セットも用意されています。コーヒーはありません。ポットがない代わりにコップで熱湯が作れるようになっています。
ユニットバスもこの通り。普通のビジネスホテルの感覚ですね。
アメニティは歯ブラシ、髭剃りが備わっています。それで十分です。
クローゼットもあります。ハンガーは6本入っていました。下にはバスタオルとハンドタオルが用意されています。この写真では見えませんがタオルの下に浴衣もありました。ただし、浴衣(ナイトウェア)で出歩くのは禁止です。
コンセントはデスク横にありますのでご安心を。
一応ベッド下にもコンセントがありますので寝ている間のスマホ充電には困りません。
出航は部屋から見届けました。窓からの景色も良好です。常に左側が陸地となるため、左側の客室を予約するのがよいと思います。なので右舷側は人気がありません。部屋指定の際に左と右の差が顕著に分かります。
基本的にほとんどの時間は窓からは海が見えるだけですが…(翌朝撮影)。ただ、陸地に近いところを航行するので、晴れていれば結構陸は見えると思います。
出向まではデッキで
名古屋港は19時発。18時にターミナルに着いてすぐに乗り込んだので時間がたくさんありました。とりあえずデッキに上ってみました。これなんて言うんですかね?マスト?煙突?
4月30日の日没時刻は18時37分。夏場は出航前、夕暮れの時間となります。
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バイキングレストランTAHITI
名古屋から仙台までは夕食、朝食、昼食の3回が必要です。どこで食べるかというと、レストラン「TAHITI(タヒチ)」か、スタンド(カフェ)「マーメイドクラブ」か、または売店でカップ麺でも買うか、となります。まずはレストランTAHITIから紹介しましょう。
船尾部にあるレストランTAHITI。ここは朝昼晩とやっているバイキングレストランです。
入口で券を買います。夕食が2,100円。朝、昼食が1,100円です。(写真は朝食時)
では早速夕食を食べましょう。「食券を誰に渡せばよいのか???」となりまして、いきなり面喰いっちゃいましたが、「食券はここに入れて下さい」と書いてあるボックスがあったのでそこに入れました。
完全に無銭飲食できちゃいますね…。やや不安にもなりましたが、まぁスタッフ一人を入口に付けるのもコスト掛かりますし、乗客は外へ逃げられませんし、閉鎖空間の船だからこそ信用で成り立っているのだと思いたいです。
レストランの中はこんな風にちょっと安っぽい雰囲気。丸テーブルには未だにアクリル板が設置されていて、「え?まだコロナやってるのか?」と残念な気分にもなりました。ただ、他のテーブルにアクリル板はないので、単なる仕切りと思いたいです。
焼きそばなど。
から揚げなど。
ラーメンとスープ。ラーメンにもできますし、鶏つくねの白湯のみでもOKです。
サラダ。
パンは1種類のみ。
フルーツはマンゴーとブドウ。
デザートは黒糖まんじゅうととちおとめケーキ、抹茶ロールです。
ドリンクバーは白飛びしちゃいましたけど、アイスコーヒ、コーラ、ファンタメロン、オレンジ、カルピス、ウーロン茶でした。
こんなファミレス席もあって、大家族にはもってこいです。客が少なかったので、僕は一人でこのファミレス席を使いました。
自分の1皿目。
自分の2皿目。
自分の3皿目。
これだけ食べて腹いっぱいです。基本的に僕は乗り物酔いはしないタイプなのでとりあえず、一通り食べました。
それで、お味はどうかと言うと、、、。
見た目でもわかる通り、そんなに美味しくなかったです。ビジネスホテルのバイキングに毛が生えたくらいですかね。確かにお値段が2,100円と安いので、ホテルの5,000円以上するような夕食バイキングを想像してはいけないと思います。今どき2,100円でこのレベルのバイキングが食べられると思わなければいけないかも知れません。ということで、値段相応の食事という感じでした。
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シアターでは何が行われるのか
ご飯が終わるとシアター(ラウンジ)ショーの時間。ちょうど夕食バイキングの終わる20時から音楽ショーの始まりです。シアター内が少し寒かったので急いで部屋にジャケットを取りに帰りシアターに入りました。
シアター内はかなり広く感じました。船の中には劇場がある、というのが一般的な客船のイメージですが、まさにそんな感じでワクワクしました。
(あまり売れていないと思われる)ミュージシャンのお二方が登場し、サックス、ピアノ、ギターの生演奏を聴くことができました(シンセサイザーも入っています)。やはり楽器の生音っていいですね。船の中とあって何だかそれだけで気分が盛り上がりました。
「GWは選曲が難しい」とおっしゃっていましたけど、日本中が休暇の時は幅広い年齢層がいるので難しいでしょうね。めだかの学校、となりのトトロ、名探偵コナンのテーマ曲と子供でも知っている曲があったかと思いきや、古い古いベンチャーズや太陽に吠えろのテーマなどが出てきたりと、なかなか楽しかったです。(ベンチャーズなんかは僕の世代じゃないんですが、僕もかつてギターをやっていたことがあるので余裕で知っています。)
45分間のショーはあっという間に終了。船旅ならではの素晴らしい時間でした。
翌日午前にはシアターで映画の上映もありました。前日のコンサートがとても良かったのでいい経験だと思い、アルマゲドン2024を見ました。しかし、だいぶ安いっぽい映画でした…。宇宙モノは重力の設定でかなりリアリティが左右されるので、撮影にはある程度のお金を掛けないといけないと感じますねぇ(シアターの問題ではなく映画そのものの問題)。ただ、船の中で映画を見るという貴重な経験にはなったと思います。
デッキでの楽しみ方
船には色々な楽しみ方がありまして、デッキに出て海風に当たるのもなかなかいいもんです。デッキから朝日を見るのが太平洋フェリーの醍醐味。前日夜に日の出の時間が4時50分頃と放送が入ったため行ってみました。実は船中ではほとんど眠れず1時過ぎに眠れたかと思ったら、4時過ぎに目が覚めてしまいまして、朝日を見たくなくても勝手に見られる状態になってしまいました。
朝4時半頃にも関わらず、なかなかの人出。皆さん朝が早いですね。
この日の天気は前日から曇りがちで、時々雨が窓を叩いていました。雲の隙間から辛うじて太陽が見られたという感じです。
進行方向後ろを眺めてみると黒い煙が流れていきます。この船を名古屋から苫小牧まで運航するのにどれだけの燃料を使うのか。想像しただけで環境に悪そうです。飛び恥とは言いますが、船は遅い割に大きいので恐らく燃料消費は半端なく大きいです。飛行機なんかよりもよっぽど船が乗り恥なんじゃないかと思います。
そしてデッキでの一番のイベントは仙台港到着間際の太平洋フェリー同士のすれ違い。かなり近い距離をすれ違ってくれて、航海中の目玉イベントになっています。
皆手を振ってすれ違います。お互い25ノット同士なはずなので50ノット、つまり時速90㎞で過ぎ去っていくわけです。意外と速く感じました。
売店の品揃え
船内には売店がありまして、お土産や食べ物、飲み物を買ったりすることができます。売店は乗船口のある5階にあります。
北海道のお土産コーナー。
仙台のお土産コーナー。もちろん名古屋のお土産コーナーもあって、それぞれの就航地のお土産は揃っています。その他太平洋フェリーのグッズなんかもあって見ているだけで結構楽しめました。
カップ麺も色々と取り揃えていまして、レストランでご飯を食べなくてもお腹は満たせます。が、高いです。
飲み物も「ナポリン」とかご当地ものも幾つか置いてあり、結構充実していました。
ただ、この売店、ずっと開いているわけではなく、1時間半くらい開いたと思ったらすぐに閉まり、またすぐに開くという不規則な営業をしています。タイミングを合わせないと買いに行けないのが残念でした。また、船上なので当たり前かもしれませんが現金のみ。最近、基本的にサイフをポケットに入れて持ち歩いていませんから、ちょっと面倒でした。
その他の船内設備
その他、船内には何があるのか見て行きたいと思います。何と大浴場がありまして、ほぼいつでも入りたい放題です。これはかなりいいですね。部屋にもお風呂がありますが、大浴場があればそちらを使いますよね?GW中の平日だからか元々お客さんは少な目。お風呂のお客さんも夕方21時頃というのにあまりいませんでした。翌朝も7時頃に行きましたが、ガラガラでした。
ゲーセンもあります。ちょっとショボめです。
5階にはアルコール類、ノンアルコール類、、自販機がそろったコーナーがちゃんとあります。値段もペットボトル180円、缶コーヒー140円なので街の自販機と特に遜色ありません。船内に乗り込んでから飲み物を買っても問題なしです。
こちら7階にある自販機です。飲み物は充実していますので安心です。
乗船中に使っている人は見ませんでしたが、カラオケBOXもあります。
朝と昼はマーメイドクラブ
夕食バイキングのところにも書きましたが、バイキングはとても残念だったので、朝と昼はレストランに行く気が起きませんでした。朝も昼もバイキングは1,100円と夕食よりもお得なのですが、それでも行く気がしませんでした。朝のバイキングメニュー例。一応メニューを見るだけ見て決めました。
6階にあるスタンド「マーメイドクラブ」というのがレストラン「TAHITI」に次ぐご飯を食べるところです。
朝からカレーをやっていてとても魅力的。
ただ、昼にカレーを食べたかったので、朝はモーニングセットにしました。クロワッサン1個とサラダ、卵、コーヒーが付いて680円。これで680円ならお得でしょう。
朝8時半の船の位置です。千葉県の犬吠埼を少し過ぎたところ。仙台までまだ残り8時間もあります。船って遅いんですね。
そしてお昼もバイキングはやめて、マーメイドクラブの「賄いカレー」を食べました。これで600円は魅力的です。これ、ほんと賄いみたいに飾らない家庭の味で美味しかったです。
仙台港へは30分の早着
到着の約2時間前、「仙台港の混雑が予想されるため30分早い到着を予定しております。」との放送が入りました。ダイヤはだいぶ余裕を持って作られているようですね。定刻は16時40分なのですが、常に余裕を持って航行していて、最後の最後で時間調整を行うということが分かりました。そして16時過ぎに仙台港に入港。
21時間の船旅を終えて下船しました。疲れは全くありません。とてもとても広い船ですからね。
仙台のフェリーターミナルはこんなに小さな建物で、周りもとても物寂しい雰囲気でした。
苫小牧まで乗って行く乗客も仙台港で一時下船することができます。ただ事前に申請が必要なので注意して下さい。遅れた場合は置き去りにして行く旨の誓約書を欠かされるのでしょうね。
そんなこんなで、21時間の船旅はあっという間に終わってしまいました。予想以上に楽しめました。仙台まで丸一日掛かってしまいますが、船の上で過ごす時間もいいもんですね。
太平洋フェリーで過ごす丸一日を網羅したつもりですので、どうかご参考まで。
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