イケてる航空総合研究所

ビジネスクラス搭乗記、弾丸旅行のノウハウ、マイルの使い方、貯め方、航空事故の真相などなど。

ANAのA320neo初便搭乗記【NH095便 羽田-関西】

ANAのA320neoが国内線に就航した

今日(2016年12月26日)、これに乗ってきましたよ。

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ANAのA320neo初便。

就航おめでとうございまーす!

12月26日、まずは国内線にということで羽田-関西に就航しました。国内エアライン初のA320neo就航ということになります。

そもそもneo(ネオ)ってなんなんだよ!

僕たちマニアは「neo、neo(ネオ、ネオ)」ってフツーに言ってますけど、ネオって一体何なんでしょうね。

はい。neoってのはnew engine option略(ニュー・エンジン・オプション)。直訳すると「新しいエンジンの選択肢」って意味です。既存のA320のエンジンを新しいものに換え、シャークレットと呼ばれる翼端機構を取り付けることで従来型のA320よりも15%も燃費を削減させたというものです。ついでに騒音も随分と小さくなっています。ちなみにこれまでのA320はceo(current engine option)と言い、日本語では「セオ」と読みます。

neoは車でいうところの大幅モデルチェンジです。車と違って外観はほとんど変わっていませんが、飛行機にとってエンジンは飛行性能を大幅に向上させる装置ですので、飛行機の形が変わらなくても「新型だ!新型だ!」と騒ぎ立てるわけです。

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↑これがそのエンジンです。これまでのA320に慣れているせいもあって、機体に対するエンジンの大きさに若干の違和感があります。機体サイズの割に口径が大きいんですよ。何か変なエンジンぶら下げてる!それがneoを見た時の第一印象でした。

燃費が15%も向上していると言うのなら、これまでA320を持っている航空会社が欲しがるわけですよ。燃料代をだいぶ安くできますし、燃費がいい分、より遠くへ飛べるわけですから…。ちなみにA320neoは競合機種である737MAXよりも売れています。A320neoは
737MAXに勝っているんです。

これまでA320のエンジンはCFM56シリーズかV2500シリーズの2種類から選択していました。今度のneoではCFMのLEAP-1Aか、プラットアンドホイットニー(P&W)のPW1100G-JWから選べるわけです。LEAP⁻1Aもそれなりのいいエンジンなのですが、どちらかというとPW1100G-JWの方が注目されています。それはGeared Turbo Fan(GTF)という仕組みを使ったエンジンだからです。

Geared Turbo Fanエンジンとは何なのか

ギヤードターボファン、略してGTF。何だそれ?って感じですよね。

GTFはプラットアンドホイットニー(P&W)が得意のエンジンでして、普通、飛行機のジェットエンジンというのは2軸式ガスタービンエンジンと呼びます。エンジン機構の前後(端っこ)に低圧部、真ん中に高圧部という部分があり、それぞれの軸は違う回転数で回っています。

エンジンの一番前にあるファンはどこに繋がっているかと言うと低圧部です。要するにファンも低圧部と同じ回転数で回っているんですね。するとどういうことが起きるかというと、同じ回転数(もう少し数学的な言い方をすると同じ角速度)で回っていれば、半径が大きいほど、羽根の端が早く回ることになります。

地球の自転で考えるとわかりやすいです。地球は24時間で360度(毎秒0.004度)という非常に遅い角速度で回っていますが、赤道の自転速度というのはなんと時速1,666kmにもなるんですよ。たとえ角速度が遅くても、半径が大きいとその場所の回転速度が早くなってしまうんです。

ファンってのはエンジンの中でも一番大きな部品ですよね。なので低圧部を早く回転してしまうと羽根の端が早く回りすぎるんです。下手したら音速を超えてしまいます。音速に近づくと抵抗が急激に増えるなど、色々な不都合が出ますので、羽根の端が音速を超えないようにしているんです。

飛行機のエンジンはファンの回転速度を優先すると、低圧部の回転数が抑えられてしまい、低圧部の回転数を優先すると、ファンが早く回りすぎるというジレンマを抱えていたんですね。

エンジンを構成しているファン、低圧部、高圧部とそれぞれに最適な回転数があって、それぞれをいい感じの速度で回してやれば、エンジンは最高のパフォーマンスを発揮できます。そこで考えたのがファンと低圧部を別々の回転数で回してやろうという発想です。低圧部とファンの間に歯車(ギア)を噛ますんです。そうすることによって、低圧部が高速で回転しながらも、ファンを遅く回転させることができます。

そんなわけでファンと低圧部との間にギアが噛んでるので、Geared Turbo Fan(ギヤードターボファン)って言うんですね。

ちょっと難しい話ですし、もしかしたら説明がいい加減かも知れませんが、大体はそんな感じです。カタイこと言わず、わかった気になって下さい(爆)。

ちなみにGeared Turbo FanエンジンはMRJのエンジンにも採用されていますよ。

とまぁ、ウンチクはそれくらいにしておいて、A320neoの初便の様子をお伝えしましょう

セレモニーがなきゃ初便じゃない

羽田空港58番ゲートは、何やら物々しい雰囲気に包まれていました。


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大きなポスターが貼られて、上からは初便を祝う大弾幕が掲げられといった感じで…。

僕、しばらく初便というものに乗っていませんでした。この日は4年ぶりくらいの初便です。いやー、初便って本当にワクワクしますねぇ。こういうセレモニー用のセットを見るだけで興奮してきます。


そして58番ゲートの横には初便をお祝いする小物が飾られていました。


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こんなテーブルが用意され、


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搭乗証明書が置かれて、


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何とお祝いのケーキに、


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飛行機の形をしたシュークリームも飾られていました。(羽田エクセルホテル東急の飛行機シューのようです。)

最初、A320neoなんて既存機の新エンジンバージョンなんだから、「どうせセレモニーなんかないでしょ」って思っていたところがあるんですが、ふたを開けてみれば全然そんなことはなくて、ちゃんとしたセレモニーが開かれたんです。実はこれにはちょっと驚きました。「ひっそりと乗って行くんだろうなぁ」と本気で思っていましたので…。


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ANAの広報の方と報道関係者との打ち合わせの様子です。こういうのは後ろでコッソリと聞いておくのが鉄則です。


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CAさんがゲートで軽く挨拶をして乗り込んで行きました。いよいよですね。

初便恒例の挨拶が始まりました。ANA東京支店長峯尾氏のお話です。

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こういう挨拶があってこそ初便です。セレモニーがない初便はちょっとつまんないです。

挨拶では、ネオはエンジンが新しくなり、燃費が良くて騒音が低いこと、そしてネオのキャビンは機体の大きさの割に広いことなどが紹介されました。また、1月中旬ころに国際線に投入される旨のアナウンスがありました。と、まぁ教科書通りの解説でした(笑)。ところで国際線の就航路線ってどこなんでしょうね。初便マニアとしては国際線初便にも乗りたくなります。

初のneoの乗客となったのは誰だったのか

まずは事前改札から。小さなお子様連れのお客様、ご高齢のお客様からです。


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写真はダイヤモンド会員の優先搭乗の様子なのですが、この前に何組かの乗客が乗り込んで行きました。

誰が一番に乗り込んだのか。それはジュニアパイロットの女の子でした!!!

むっちゃうらやましいです。スタッフに「初めのお客様ですよ」なんて言われても、何だかよく状況を理解していない様子で、それがまた何とも微笑ましい光景でした。「オレより早く乗り込みやがって」なんてジェラシーは全然感じませんでしたよ。


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ボーディングブリッジの入り口では搭乗証明書と絵葉書、ペンが配られました。写真は何故かブレブレ。何やらカメラの異変を感じ始めています。あれ?上手く撮れないなぁ。何故だろう、と…。実は絞り優先になっていまして、露出の制御が不能になっていたんです。


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ピカピカのキャビンに足を踏み入れると、こんなに広いプレミアムクラスが迎えてくれましたA320neoを早々に国際線へ投入する意図が伺えます。

僕はプレミアムクラスを通りすぎて普通席のエリアに行きます。


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最前列はこんな感じ。広いですね。そして鮮やかなブルーのシートがまぶしいです。


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僕の座席は7A。運良くエンジンの真横の席が取れました。これでneoの新しくなったエンジン音を誰よりも近くで堪能できるはずです。


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はい、着席しました。

A320neoのキャビンは全146席の2クラス仕様。プレミアムクラス2列8席、普通席は23列138席となっています。同じA320でも、お隣中国から飛んできているエアチャイナや中国東方航空のA320では2クラス158席の設定ですので、ANAのneoは一般的なA320よりも2列少ない豪華仕様ということになります。


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こちらが搭乗時にもらえた搭乗証明書です。はがきサイズの小さなものですが、高級感を感じさせるデザインになっています。


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ちなみに安全のしおりはA320とだけ。neoの文字は書かれていませんでした。

エコノミークラス最大級の液晶画面付き

ANAの機体でここまで大きなパーソナルモニタが付いている機体があったでしょうか?


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これはかなり大きいです。


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これがスタート画面です。この後、言語が選びコンテンツに入っていきます。


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これ、雑誌が読めるんです。タブレット端末が座席の前にくっついている感覚ですね。色んな雑誌がペラペラめくれて楽しいです。機内誌とか漫画とかもありますので、映画がつまらないという人は雑誌を見ながらヒマつぶしができます。


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雑誌は前の画面とこの画面の2画面。それでも十分な数があります。


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ちなみに画面の下にCAさんのコールボタンや読書灯のスイッチなどがあります。


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あと機内ではWi-Fiが使えます。マニアな友人の証言によると、激しく遅かったそうです。もう一つ、カメラモードというのがありまして、僕は気付かなかったのですが、タキシー中の前方の景色とかが見られるようです。

エンジンの真横で新しいサウンドを愉しむ

飛行機のエンジン音を愉しむ。これぞ大人のマニアのたしなみです。


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ほら、僕の座席はエンジンの真横。ネオ初便にピッタリの位置でしょ。新しくなったneoのエンジン音を徹底検証したいと思います。

エンジンスタート時には何となく甲高い音がしました。そしてタキシー中はあまり従来機との差を感じませんでした。やはりアイドルに近い状態では、さほど差はありませんね。


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そして離陸。従来型のA320と比べて、明らかに音が違いました。高い音というよりも低い音。ウゥーといったようなトリプルセブンのGE90エンジンみたいな音と言ったらかなり大袈裟になりますが、何と言うか、大型機のエンジン音に近い音がしました。ギヤードターボファン(GTF)、そしてバイパス比が12という最新エンジンのサウンドは、確かにこれまでのA320のエンジンとは違っていました。

ウゥーという、うなるような低音はバイパス比が大きないエンジンで発生する音だと思われます。トリプルセブンのGE90、787のTrent1000ともにバイパス比が10程度のエンジンですが、同じようにうなるような低音が特徴です。

実は初便の楽しみは搭乗まで

初便ってのは乗り込むまでが一番面白いんですよ。飛んでしまえばいつもの定期便です。特にエコノミークラスでは身動きが取れませんのでなおさらです。ちなみに僕の隣もその隣もマニア風の方ではなかったので、僕は飛行中に通路に出るのを諦めました。

離陸してしまえば初便の儀式は90%くらいおしまいです。外は何も見えません。ましてや左側ですので、見えたとしても夜の太平洋だけです。

途中はずっとブログ記事を書いていました。僕のブログでは、特に初便のレポートは世界最速を謳っています。このブログの最初の更新は当日の21時頃です。飛行機を降りたのは19時40分ですよ。降機から1時間強で世の中に発信しているわけです。そりゃ機内で書かないと間に合いません。

関西までは本当に早かったです。着陸時刻は19時32分。出発はやや遅れたのですが、定刻での到着となりました。

CAさん、大事な初便で間違えました

ひとつだけ機内でのハプニング?を書いておきます。CAさんがneoを紹介したとき、うっかりnew engine operation(ニュー・エンジン・オペレーション)と言ってしまいました。「あちゃーっ!」って思ったマニアの方はたくさんいたと思います。僕もちょっと汗をかいちゃいました。

その後、キャプテンから放送が入り、CAさんの間違いを訂正するわけではありませんが、new engine optionと正しく言い直して、何となく心が落ち着いたのですが、そこ、一番大事なところです。間違えちゃったCAさんには厳しいんですけど、みんなが混乱するので正しく言いましょう。

ちなみにキャプテンからはドイツからフェリーしてきて12月17日に日本に到着した旨が伝えられました。具体的な地名や日にちを言われると、何だかピカピカ感が増して良いですね。

やっぱり国際線ビジネスクラスで乗りたい

関空に到着。

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あっけなく終わってしまいました。

でも良かったですよ、A320neo。機内は新しくてピカピカだし、エンジンサウンドは大型機みたいだし。

どうせなら国際線のビジネスクラスとして乗りたいですね。いつも思っていますが、エコノミークラスでは最新機種のいいところを十分に堪能できません。上級クラスに乗ってこそ、新しい飛行機の良さがわかるんです。

いやはや、久々の初便にかなり興奮しました。自身だいぶ初便から遠ざかっていたこともあって、勘が鈍っているところがあって、思うように写真が撮れなかったりした部分もありましたが、何とかこうやって初便の記事を書くことができました。

誰よりも早くその飛行機を知ることができるって本当に素晴らしいです。初便に乗り、こうやって記録を残す。いやー、やっぱり初便はやめられません!


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