客引きに現れる国の発展度
ベトナムでの思い出はやたらと声を掛けてくるバイクに乗った怪しいオジサン。ひたすら僕をつけ回して「どこか(観光に)連れて行ってやるから乗れ」と誘ってくるわけです。「おれはそこのフォー屋さんまで行くだけだ」と言っても、「観光に連れて行くから」の一点張り。「午前中しか時間なくて」と言っても押し問答の繰り返し。僕の方もしびれを切らして早歩きで逃げるんですがどこまでもついてくる。ベトナムにはまだこんな客引きがいるのかという新鮮な驚きがありました。バンコクでほぼ消えた「タクスィ、タクスィ」系の客引きオジサンは、ベトナムではまだ健在だったんです。
国の発展度合いってのは「客引き」に現れると思うんですよね。空港に着いたら怪しいオジサンが寄ってきて「タクスィ、タクスィ」と言ってくる国は、かなり発展途上だと思ってます。シンガポールは昔からそんなことはなく、タイ(バンコク)では昔(20年前)は酷かった。それが今、タイでも「タクスィ、タクスィ」はなくなった。タイは随分と発展したんですよ。しかしベトナムではすごい。つまりベトナムはタイよりも発展していないと言うことなんです。(2015年の感覚、今は変わっている可能性があります。)
ってことがわかるだけでも、海外旅行って行く価値があると思っています。「百聞は一見に如かず」とはよく言ったもので、行ってみないことには何もわかりませんよね。経済状況ってのは新聞やネットで公表されるGDPとかの数字だけじゃなくて、人々の生活態度にも大きく表れるんですよ。そこが海外旅行をする1つの大きな意義です。
スポンサードリンク
怪しいオジサンの保証書
それで、話は戻って。声を掛けてきたオジサンはすごく怪しいわけですけど、そのオジサンが自慢げに見せるものがありました。そう。これがオジサンの「保証書」なんです。
過去の客(だと思われる)が書いたオジサンへのお礼のメッセージ。「ほら、おれはこんなに親切で信頼がおける人間だ」というのをこのノートでアピールしているわけですよ。
日本でも客にノートを書いてもらうようなホテルやレストランはありますが、個人でそれをやってる人はまずいません。さすがベトナム、こんな怪しい「保証書」を見せつけてビジネスをしているのかと、日本や他の東南アジアの国との差を見せつけられました。
スポンサードリンク
経済に関する肌感覚
また、現地で食べるローカフルードもその国の発展度を表す指標です。街で食べる食事というのはその国の物価というものを如実に反映しています。大体300円くらいのフォー。でもこれで300円って、まあまぁ高く感じるたんですよね。だって日本でスガキヤのラーメンを食べると320円ですから。内容物のグレードもありますが、あまり違いがないじゃないですか。「まさか日本の物価とベトナムの物価って同じくらい?」とも思えてきます。さすがにこのレベルのフォーは日本なら800円くらいはしそうですけど、実は思っている以上にベトナムの物価は高い/日本の物価が低いのかも知れないと感じたわけです。
もちろん、スーパーマーケットに行ったりして、もう少し他のもので比べる必要がありますが、ふと立ち寄ったフォー屋さんでも、その国の経済状況が分かり、日本との比較ができるわけですよ。
昔バリに行った時、超豪華なナシゴレンが200円とか、ステーキが400円とかで驚いたことがあります。当時、インドネシアはまだまだ出遅れていました。時期の異なる2国を日本円で比べる意味はあまりないですが、「あの頃のインドネシアよりベトナムは上なのか」ということも感じられるわけです。
その国の物価指数はネットで確認できますが、フォーの値段などは、日本にいるとわかりませんよね。海外旅行というものは、ヴィヴィッドな印象と共にその国の経済状況を教えてくれるんですよ。現地で感じた感覚から日本との経済格差がわかります。毎年行けば経済の成長度がわかるわけです。
そんなものが何に役に立つのか?って。まぁそう思う人は海外旅行に行かなくてもいいんですが、仕事をしているとどこの国に投資をしたら良いかとかそんな判断を迫られる場面ってきっとあると思うんですよね。ネットで調べた情報や現地法人の情報を基にしたって構わないんですけど、自分自身の感覚として持っていることも重要です。ネットの情報が正しいかどうかって、自身の肌感覚があれば、「あれ?おかしいな」「これは正しいな」などと気付けることもあるわけですから。
スポンサードリンク
大切なものを失った
コロナ禍、海外に行く機会をほぼ100%失ってしまったわけですが、これは本当に大きな損失だと思います。現地の感覚を自ら感じに行けなくなったからです。行かないとわからないこと、オンラインじゃ絶対ダメなことってあるんです。海外旅行は新しい発見の宝庫ですし、常にどこか刺激的。バイクのオジサンに捕まることも後から考えれば素晴らしい経験なんですよ。
海外旅行は人生において必要なものです。
写真を見ながら1泊2日で簡単にベトナムに行けた頃を思うと、「本当に世の中変わってしまった」と嘆きの感情しか出てきません。本当に残念です。これがあと何年続くのかと考えると、なんとも言えない気持ちになります。
全然関係ない話ですが、僕、子どもたちをそろそろ海外に連れて行ってあげたいと思っていたところだったんですよね。そんな矢先のコロナ。邪魔されたなぁというか、チャンスを失ったなぁ、という感じがします。子どもの頃ってそんなに長くないと思うんですよ。だからとても悔しい。
早く海外に行けるようになって欲しい。
ただただ、それを願うのみです。(ワクチンパスポートは嫌/そんなものなしで行きたい)
スポンサードリンク