イケてる航空総合研究所

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大韓航空A220(CS300)、まさかの離陸中止。飛行機が怖ければ新型機には絶対乗るな!

まえがき

先回お送りした大韓航空A220の記事の中で、離陸中止があったことを書きました。今回はその詳細をお伝えしたいと思います。

V1は飛行機の運命を分ける速度

その前に予備知識として離陸に関する速度の話を知っておかなければいけません。

飛行機は滑走路を走って離陸します。飛行機は滑走路を1,000m~3,000mくらい走らないことには浮き上がることができません。通常の状態ならば何も問題はありませんが、万が一走っている途中でエンジンの調子がおかしくなった時は難しい判断を迫られます。

速度があまり出ていなければそのまま停止すればいいだけですが、離陸直前まで加速してしまった場合は止まれません。無理に止まろうとすると滑走路をオーバーランしてしまいます。それを防ぐため、飛行機はある程度の速度まで加速した場合、何があろうともそのまま離陸せよという決まりになっています。

その境目となる速度がV1(ブイワン)と呼ばれる速度です。日本語では「離陸決心速度」と言います。V1を超えたら止まるよりも離陸した方が安全です。飛行機はエンジンが1発停止しても離陸上昇できるように設計されていますから、止まろうとしてオーバーランするよりも空中に上がってしまった方がよっぽどマシなんですよね。

RTOとは

飛行機が滑走路に入り管制官から許可をもらうと、エンジン出力を上げて離陸滑走を始めます。しかしV1に達する前に飛行機に異常が見つかるとパイロットは躊躇なく飛行機を止めにかかります。

それがRTO(アールティーオー)です。RTOはRejected TakeOffの略。日本語では「離陸中止」とか「離陸中断」などと訳されます。大韓航空のA220に乗ったとき、僕はそのRTOを経験しました。

なぜRTOをするのかについては、様々な原因があります。一番多いのがエンジントラブル。エンジン出力を上げたら想定よりも回転数(N1、N2)が上がらなかった、排気温度(EGT)が異常に高くなったなどの原因が考えられます。続いて多いのが油圧トラブルやブレーキのトラブル。その他、操縦系統のトラブル、計器系統のトラブル、バードストライクなどが挙げられます。

ちなみにRTOは滅多に経験できません。現役のパイロットでも一度も経験したことがない人がいるくらいです。もちろんパイロットたちはシミュレータを使って、嫌と言うほどRTOの訓練を積んでいますけどね…。ちなみに僕にとって二度目のRTOでした。(初めての経験はJALのMD-11、福岡空港にて。)

100m程度走っただけで停止

まず本記事の元になる記事はこちらです。

flyfromrjgg.hatenablog.com

さて、僕の体験した大韓航空A220でのRTOですが、


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ウゥ~、ヴィ~~~ンとエンジンパワーが上がった瞬間、ヒュイーンとすぐにパワーが絞られてしまうような滑走開始直後のRTOでした。


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げっっっ!止まった!

ほんの数秒の出来事でした。走った距離は100m程度だったと思います。

機長からすぐさま英語で「Please Remain Seated(着席したままでいて下さい)」と放送が入りました。韓国語ではなく英語というところに非常に緊迫感がありました。それ以上の放送は入りませんでした。


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離陸中止をした機体は一旦滑走路を離脱し、タキシーウェイに入って停止しました。このままターミナルに戻ってしまうのかドキドキしました。数分経ってから機長から放送が入りました。「テクニカルイシュー(技術的問題)が発生しました。チェックのためここで10分間待機します。」と。韓国語と英語の両方のアナウンスでした。機内は静まり返っていました。ただ、誘導路に入ってから数分が経っていたためか、機内の空気は緊張感と言うよりも「早く飛べよー」という不満感の方が大きかったような気がします。

僕の前の席に座っていたお姉さんは壁にもたれて熟睡。放送中も微動だにしませんでした。元々出発が遅れていたところにさらに遅れが発生することになり、嫌になっちゃったのかも知れませんね。そんな不満な空気の中、僕は、

ホントはヤバいんだぞ~。

と思っていましたが、そんな僕の心の中とは裏腹に機内はとても冷静でした。RTOを行う段階が早かったからかも知れません。これがV1間際で急ブレーキなんてことになっていたら、もう少し緊迫感があったはずです。

再び滑走路へ

実質待機していたのは15分くらいでした。エンジンを噴かしてテストを行うわけでもなく、ただアイドル状態で止まっているだけ。コックピットで何をしていたのかは全く不明です。「テクニカルイシュー(技術的問題)」という単語以外に、トラブルの状態を推し量る単語はありませんでした。

そして機体が動き出し、再び滑走路の方へ曲がったとき、

よしっ、これでちゃんと飛べる。

と安心しました。この時はどちらかと言うと「恐怖感」よりも「飛んで欲しい」という希望が強かったですね。なぜかって、僕はこの飛行機に乗るために韓国まで来たんですから。単に座席に座って地上を滑走しただけじゃ乗ったことにならないじゃないですか。飛行機はちゃんと宙に浮いてこそ搭乗したって言えるんですから。

トラブルの原因は何だったのか

というわけで、その後2回目の離陸は上手く行き、何の異常もなくウルサンまで飛んで行くことができました。

そしてウルサンに到着すると、、、


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左側のエンジンにワラワラと人が集まってきました(右側は不明)。

やはりエンジントラブルだったか…

このエンジンはギヤードターボファンと言って、プラットアンドホイットニー社の新しい技術で作られた革新的なエンジンなんです。新しいエンジンならばトラブルが起こっても不思議ではありません。元々PW1000Gシリーズはトラブルの多いエンジンですからね。運用初期にはこういうことは頻繁に起きます。

ちなみにA320neoに搭載された同種のPW1100Gエンジンは飛行中のエンジン停止やRTO等の事案が報告されており、引き渡しが延期されているようです。A220のPW1500Gにも同様の問題が内在しているのかも知れません。

新型機なんて怖くて乗れない?

僕の体験したA220のトラブルに限らず、新しい機体、そして新しいエンジンというのはトラブルが多いんですよね。パソコンでも新しいOSにはバグが残ってたりするじゃないですか。車でも発売されたばかりのモデルって欠陥があったりしますよね。それと同じです。

特に最近の高度に電子化された飛行機はトラブルの塊みたいなもんなんですよ。実運用が始まった後に欠陥が出ることは日常茶飯事です。787だって、リチウムイオン電池からの発火が原因で運航停止にまで追い込まれましたよね。新しい飛行機はそういうものなんです。

787が何度欠航し、何度緊急着陸したかって、それはもう成熟した機体の比じゃないですよね。飛行機がそもそも怖いと思っている人は、新型機には絶対に乗らない方がいいと思います。感覚的ににしか言えませんが、トラブルが発生する確率は成熟した機体の1ケタ、いや2ケタくらい高いはずです。

PW1100Gを搭載したANAのA320neoなんて、今乗ればトラブルに遭う確率も高いんじゃないでしょうか?もし怖いのならば、neoじゃなくてceo(古い方のA320)を選んで乗って下さいね(笑)。

でも僕が思っているのは、確かに新型機はトラブルの塊なんですが、パイロットもそれをよく理解していますし、新しい機体には非常に優秀なパイロットが乗っているので、逆に安心して乗れるということです。いつトラブルが起きてもいいようにちゃんと身構えていますから…。

僕はこの手のトラブルは大歓迎です。貴重な体験ができるからです。これまで飛行機に乗った中で緊急着陸1回、RTO2回くらいしかトラブルを体験したことはありませんが、無傷で帰れるのなら、むしろトラブルは起こって欲しいと思っています。

トラブル歓迎の人は新型機を好んで乗りましょう。トラブルが怖い、そもそも飛行機が怖いという人は、新型機は避けて乗りましょう。

これ、鉄則です。


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