運賃が安いからってLCCじゃない
僕、よく質問されるんです。スカイマークってLCCなの?
って。この質問はホントによくされます。その他、
ソラシドエアってLCCですか?
とか、
スターフライヤーもLCCですよね?
とか聞かれたこともあります。皆さんLCCかどうかの判定に結構悩んでおられるようでして…。
日本の国内線ってANAやJAL以外にも色んな航空会社(エアライン)が飛んでいて、一体どれがLCCでどれがLCCじゃないって判別するのは難しいですよね。もしかして「運賃が安いからLCCだ」なんて思っていませんか?
LCCはLow Cost Careerの略なので、確かに運賃が安い航空会社ってことになります(正確には運航コストが安いというエアライン側の主張です)。でも一概に「運賃が安いからLCCだ」ということにはなりません。運賃が安いことはLCCであるための必要条件にはなりますが、それだけでは十分ではないのです。ANAだってLCCよりも安い料金を打ってくることがあるからです。
カバン1つでどこでも行っちゃうような身軽な人ならばあまり気にする必要がないのですが、大きな荷物を持って旅行に行こうとしている人は、乗る航空会社がLCCか否かというのは大きな問題となります。
LCCならば手荷物を預けるのにもお金が掛かるからです。安く取ったはいいものの、当日空港で何千円もの手荷物受託手数料を取られてはLCCのメリットがなくなってしまいますからね。
そこで今回は、その航空会社がLCCかどうかを簡単に判別する方法をお教えしたいと思います。日本の航空会社に限った話ですが、簡単に判別できる法則があります。
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そもそもLCCの定義って何?
法則を教える前に「LCCの定義」なるものがあればいいですよね。「この条件を満たしたらLCCです。」と基準のようなものです。実は僕もよくわかっていません。そもそも世の中に定義があるかどうかも怪しいです。元々LCCというカテゴリーは曖昧なものなんですよ。
ただ、それらしいものはあります。例えば、
手荷物を預けるのが有料
というのはLCCであることの証みたいなものですよね。あとは、
シートピッチが狭い
と言うのもあります。でもシートピッチ(座席の前後間隔)が狭くないLCCもあるので難しいところです。(海外エアラインにあります。)
先に言ってしまいますが、スカイマークはLCCではありません。これはスカイマーク自身が「うちはLCCではない」と宣言しているからです。このことが象徴しているように、その航空会社がLCCであるかどうかは、航空会社が「うちはLCCです」と宣言するかしないかということなんです。
ちなみに以下の記事は実際に乗って「スカマークがLCCではないこと」を証明してきたものです。
とりあえず答えを教えます
日本の航空会社でLCCなのはたったの3つです。- ピーチ
- ジェットスタージャパン
- 春秋航空日本(スプリングジャパン)
以前はこのほかにバニラエアとエアアジアジャパンがありましたが、バニラエアはピーチに統合、エアアジアジャパンは日本から撤退しました。
就航した順番に並べますと(既にないエアラインも含めます)、
ピーチのA320。
ジェットスタージャパンのA320。
バニラエアのA320。(2019年末ピーチに統合)
春秋航空日本のB737-800。
新しいエアアジアジャパンは2017年10月に就航、2020年12月に撤退。
はい。これを覚えればおしまいです。
なんて言うのは冷たすぎるので、ちゃんと法則を教えますよ。
あっ、ついでに言っておきます。LCCの対義語をご存知でしょうか?LCCじゃない航空会社のことを何と呼ぶかです。
「フルサービスキャリア」とか「レガシーキャリア」なんて言い方をします。僕は前者の「フルサービスキャリア」の方をよく使います。後者の「レガシーキャリア」とうのは、古い航空会社のイメージがあります。福利厚生がよくて、退職すると破格の年金がもらえる、みたいな航空会社をイメージしてしまいます。
昔からある航空会社を「遺産」の意で「レガシーキャリア」って呼ぶのはわかるんですが、最近できたフルサービスの航空会社を「レガシーキャリア」と呼ぶのに僕は抵抗があるんですよ。「レガシーなんてないじゃん」ってツッコミたくなります。なので特に意図がなければ僕はLCCの対義語として「フルサービスキャリア(FSC)」という言葉を使います。
スミマセン、余談でした。
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法則その1:ピーチの前か後か
さて。皆さん、LCCかどうか判断に迷うということは、なんとなく色んな航空会社の名前は知っておられるんじゃないかと思います。第一のポイントはその名前をいつ頃から聞くようになったかということです。何となくの感覚でいいです。スカイマークはうんと昔からありますよね。少なくとも10年以上前からは聞きます(実際は20年前から存在している)。エアドゥ?これも結構昔からあります。それではピーチ?これは比較的最近な気がします。ジェットスター、これも最近ですよね。(といっても今や10年級ですが…。)
そんな風に「うんと前からあるよなぁ」とか、「ここ10年の話だよなぁ」とか、そんな感覚があれば大体はわかります。
ここで質問。日本で一番初めにできたLCCって何だと思いますか?
ピーチです。
就航は2012年3月1日でした。ピーチが本邦初のLCCということになります。つまり、それ以前からある航空会社はLCCじゃないってことですよね。
そうなんです。スカイマークはうんと昔からありますのでLCCじゃありません。エアドゥもピーチよりも前からあるので同じです。
スカイマークはLCCではありませんよ。
エアドゥだってLCCではありません。
というわけで、日本の航空会社では、
ピーチより前からある航空会社はLCCではない。
と言い切ることができます。これが法則その1です。ピーチよりも前なら絶対にLCCではない、それ以降ならLCCの可能性が極めて高い、です。(ピーチ以降に設立された航空会社は全てLCCのはずです。)
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法則その2:大手と提携しているか
次はANAやJALと提携(コードシェア)しているかどうかを考えます。答えを先に言ってしまうと、ANAやJALと提携(コードシェア)していたらLCCではない。
これが法則2です。
ANAやJALのWEBサイトから予約できる航空会社はLCCではありません。何故なら、手荷物等のサービス基準がフルサービスキャリア(LCC以外の航空会社)とLCCでは違うからです。うっかりANAとピーチが「通し」で買えてしまったらどうなるでしょう?ANAとピーチを乗り継ぐ空港で手荷物の料金を払って乗らなければいけないことになります。そんな変な話は聞いたことがありません。
WEBではなくても判別できます。大手2社のWEBや紙の時刻表に、どんな航空会社が載っているかを思い出してみましょう。ANAならば、スターフライヤー、エアドゥ、ソラシドエア、IBEXエアラインズが載っています。JALならFDA(フジドリームエアラインズ)ですよね。つまり、今書いた、スターフライヤー、エアドゥ、ソラシドエア、IBEX、FDAはLCCではないということになります。
(JALとジェットスタージャパンが提携していますが、成田からの国際線乗り継ぎのためのフライトのみに限り、国内線単独では乗れませんのでここでは除外します。JALの国内線時刻表にジェットスターは載ってないですよね。)
こちらはスターフライヤー。
こちらはFDAです。
これでほとんどの航空会社が判別できるようになりました。
2つの法則ともに消去法ですが、消していくことで残ったのがLCCということになります。
A320かB737のみで運航は絶対条件じゃない
よく飛行機に乗られる方の中には「A320かB737の1機材で運航していたらそれはLCCだ」と思っていらっしゃる方がいるかも知れません。でもそれは違います。非常にLCC臭いんですが、厳密に言うと違うんです。例外があるんですよ。スカイマークとソラシドエアです。これらの航空会社はB737しか持っていませんので一瞬LCCに見えてしまいます。しかし法則1の「ピーチ以前からある」と、法則2の「ANAと提携している」というところではじかれますよね。スターフライヤーもA320だけですので、時々間違える人がいます。
特にスカイマークなんて安いイメージがありますので、皆さんLCCだと勘違いするんですが、今のところスカイマークはLCCというカテゴリーには入っていません。強いて言うなら「航空ベンチャー」というカテゴリーでしょうか?規制緩和で一番先にできた航空会社がスカイマークですから…。
ソラシドエアも最近できたイメージがありますのでLCCと思われがちです。
ソラシドエアがそういうイメージで捉えられてしまうのは、社名が変更されたからです。昔はSNA(スカイネットアジア航空)と言いました。ピーチよりも前からあります。なのでLCCではないですね。もちろんANAと提携しているのでそちらからもLCCではないということがわかります。
はい。ナローボディの単一機種だからと言って必ずしもLCCではないということが言いたかっただけです。補足の知識として持っておくときっと何かの役に立ちます。
プロペラ機だったらLCCじゃない
重箱の隅をつついてくる人がいると思うので一応書いておきます。DHC-8(ダッシュエイト)で運航するオリエンタルエアブリッジ(ORC)や、ATR42で運航する天草エア(AMX)もLCCではありません。プロペラ機で運航している日本の航空会社でLCCの航空会社はありませんので、勘違いのないようお願いします。上には書きませんでしたが、実はオリエンタルエアブリッジはANAと、天草エアはJALと提携しています。国内線の時刻表にも載っています。上に書いた、スカイマークやエアドゥなどとは一線を画す、非常に限定的なリージョナルエアラインなのであえてこちらに書きました。
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エアアジアジャパンはどうした?
重箱の隅ということでこちらも言っておきます。エアアジアジャパンは日本で3番目のLCCとして就航しましたが、途中でANAとエアアジア本社が離婚してバニラエアに転身しました。じゃあ2017年の10月末に就航したエアアジアジャパンは何かと言うと、全く新しいエアアジアジャパンです。マレーシアのエアアジア本社が新しい伴侶を探して楽天などとくっついたのが、今のエアアジアジャパンです。もちろんエアアジアジャパンは「旧」も「新」もLCCです。
しかしそんな新しいエアアジアジャパンも日本から撤退しました。
これで自信を持って判別できる
どうでしょう?お分かりいただけましたでしょうか?まだ、重箱の隅に何か残っていそうですが、僕が解説したかったのは「大体そんな感じ」ってことですので、あまり隅をつつかないで下さいね。まずは、ピーチよりも前かな?後かな?で判別します。これは感覚に頼る必要がありますのであまり精度が良くないかも知れません。
この法則で分からなければ大手と提携してるかな?で判別してみて下さい。こちらは予約するときや時刻表を見るときに必ず分かりますので確実です。提携していたらLCCではありません。(JALとジェットスターが一部路線で提携していますが国内線単独での予約はできません。)
これで堂々と自信を持って「ピーチはLCCです」、「エアドゥはLCCではありません」などと言えるようになります。2つの法則に当てはめるだけで恐らくほぼ100%言い当てることができると思います。
皆様の健闘を祈ります。
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