まさかの成田1タミPBB着
先日、成田空港に行った際の続編です。成田入りしたのは新千歳からのピーチ機でして、成田空港でのピーチの存在感の大きさに気が付いたので1本記事にしたいと思います。関空ベースのピーチですが成田でもこんなに幅を利かせているなんて思いませんでした。こちら成田に到着しスポットイン直前の光景です。ピーチがズラっと並ぶ絵になりまして、「成田で今一番強い旅客便がピーチなのかも知れない」と思わされたものです。
事実、地上に停まっているピーチ機は運休中のものかも知れませんので、ズラっと並んでいるだけでは「強い」証明にはなりませんが、一応タラップが付いていますので、運航中の機体だと思いましょう。
成田はピーチでだいぶ助かっているんじゃないかとも思えてきます。国際線が羽田へとシフトする中、成田はLCCに注力しつつあったのですが、ピーチはバニラを吸収し成田をも拠点としましたからね。
今一番勢いのあるエアラインはピーチというのは明らかでしょう。2020年12月24日には中部から新千歳線、仙台線を開設、2021年1月22日からは、同じく中部から那覇線、石垣線を開設、そして2021年2月には成田から大分、女満別へ路線を開設します。
中部への勢いの方が強いですが、成田もこの時期に2路線の追加となかなか強気に攻めます。
さて、新千歳からMM570便で成田に到着。
スポットインしたのは第1ターミナル57Aスポットでした。
え?LCCなのにPBB使えるんですか?
(PBB:Passenger Boarding Bridge)
そして降機すると、隣にはANAの787-9がいるわけですよ。「LCCなのにえらく好待遇だなぁ」なんて思っちゃいましたね。
ピーチはLCCだから第3ターミナルを使うのでは?なんてのは過去の話でして、2020年の冬スケジュール開始と同時にピーチは第1ターミナルに移りました。つまりフルサービスキャリアと同じターミナルビルを使うことになったんですよ。
それでPBBを使えるようになったというわけです。(全ての便が使えるとは限りません)
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年末年始もピーチが奮闘
ここで本当にピーチが強いのかデータで見てみたいと思います。以下、年末年始の各社の利用状況のデータです。ジェットスタージャパン(JJP)、ピーチ(APJ)、春秋ジャパン(SJO)、スカイマーク(SKY)の4社を比較します。データは以下サイトから抜粋
航空各社、年末年始の利用実績を発表 搭乗率40%前後、ジェットスターは70%近くを堅持 | LCCニュース・セール
どうでしょう?搭乗率だけを見るとジェットスタージャパンが優位に立っているように思えますよね。しかしここで昨年度と今年度の座席提供数と搭乗率のグラフを描いてみましょう(数字だけ見てもわかりますが)。そうすると違った様子が見えてきます。
なんとピーチは昨年よりも提供座席数を増やしているんですよ。このコロナ禍なのにすごいですよね。先ほど述べたようにピーチは国内線の路線をどんどん拡大しています(国際線の機材余りを国内線にシフトさせています)。
一方で搭乗率が良かったジェットスタージャパンは座席提供数を減らしています。つまりジェットスタージャパンの搭乗率が高いのは減便したからなんですよね。
ピーチとジェットスターで「どちらが強いか」というのは正直なところこのデータだけでは言えませんが、ピーチが攻めの姿勢を崩しておらず、それでいて50%程度の搭乗率を何とか維持できているのは、かなり奮闘していると言えるのではないでしょうか?
近い将来、航空需要が回復した際にピーチが優位に立つのはほぼ確実でしょう。(早晩に回復しない場合はジェットスタージャパンの堅実経営が良しとされるとは思いますが…。)
ピーチ以外、スカイマークも座席数を増やしており、かなり奮闘していると言えます。コロナ後にはピーチとスカイマークが日本の国内線ワンツーになるかも知れませんね。
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成田1タミはピーチの独壇場
第1ターミナルに移ったピーチにとって、コロナ禍は実はチャンスなんじゃないかとも思えてきます。国内線はANAのみだった第1ターミナルも、今となってはピーチ専用になっています。(IBEXはANAに含める)
実は、第1ターミナルで一番混雑しているのは国内線のピーチのチェックインカウンターでした。
第一ターミナルに到着すると、何がいいかって、
ここの通路を通らなくていいってことですよね。第3ターミナルから第2ターミナルへの長い長い移動通路を歩かずして、電車などにアクセスできます。(1,000円バスを使う方は、第3ターミナルの方が便利だったでしょうけれど)
第1ターミナルのこの通路もかなり長いですが、屋内ですし第3ターミナルよりは随分マシです。
こんな風に今、ピーチは第1ターミナルの国内線エリアを独占して、LCCらしからぬ贅沢な設備を使っているんです。
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国際線も1タミを占拠
ピーチの第1ターミナルへの移動は国内線だけではありません。もちろん国際線も第1ターミナルに移動しています。北ウィングのBカウンターがピーチ色になっていました。今のところ成田からは台北線のみの運航です。(1~2往復/月)
国際線の本格化にはまだまだ時間が掛かりそうですが、本格化し始めるとコロナ禍の間にパイを増やしたピーチが圧倒的に勝ち組になるんじゃないかと思えてきます。
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成田1タミ占拠の本当の狙い
今回話題にしているピーチの成田第1ターミナルへのシフトですが、あれこれ考えていたらLCC特有のポイントToポイントの運航が武器になるんじゃないかと思えて来たんですよ。特に成田では…。通常エアラインは大空港をハブ空港としてハブアンドスポークというのをやって、大都市への直行需要だけではなく、乗り継ぎ需要も喚起して儲けるビジネスモデルなんですが、LCCは手荷物を預けるにもお金が要りますし、スルーチェックインという考え方がないので、ハブアンドスポークはできずどうしても直行のみのポイントToポイントという運航形態になってしまいます。
普通の国内空港ではポイントToポイントの運航しかできないわけですけど、成田にいるピーチは単に関東地方に住む人たちのポイントToポイントの需要はもちろんのこと、成田から地方都市へ乗り継ぐ人たちのハブアンドスポーク需要にも応えられるんです。
成田には多くの国から国際線が到着しますよね。その外国人客を日本の各地にピーチで届けるんです。どのみち国際線から国内線に乗り継ぐときは、税関を通らないといけないので、たとえフルサービスキャリアであっても手荷物の預け直しが必要になります。
だから国際線から国内線への乗り継ぎではフルサービスキャリアとLCCとで利便性の差が出ないのです。いつか航空需要、特に国際線の需要が回復した時、ピーチはそんな国際線からの乗り継ぎ需要を狙っているんじゃないかと思うわけです。第1ターミナル内で乗り継ぎが完了すればこれほど便利なことはありませんからね。
ただし、成田で国内線から国際線へ乗り継ぐ際には、フルサービスキャリアでは手荷物スルーが可能なため、その辺りは不利になってしまうんですが、そこは「ほんまおおきに」の精神で何とかなるんじゃないでしょうか?(意味不明)
ピーチのベースである関空ではメインターミナルとLCCターミナルが離れているので、そんなに便利に乗り継ぐことはできません。LCC本来のポイントToポイントで稼ぐビジネスモデルを維持していくのでしょう。
しかし成田では第1ターミナルを使用することによって、ピーチのネットワークが本来のポイントToポイントにもなるし、国際線客へのハブアンドスポークにもなるというメリットをもたらしてくれるのです。
ということで、色々とピーチの事情を見てきましたが、ピーチが成田の第1ターミナルを使うことで色々ないいことがある、またはいいことがありそうだ、というのがわかりました。そしてコロナに負けないで路線開設し続けるピーチは、きっとコロナ後の勝ち組になって行くでしょう。
それがとてもよくわかった成田訪問だったと思います。いや、ほんと、
ピーチ最強です。
(と、記事を書いた矢先の緊急事態宣言。ピーチは成田発着の便に限り無料で払い戻しや振替をするそうです。何だか切なくなりますね。)
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