遊覧飛行が人気沸騰中
ここ数ヶ月、航空業界で起こっている大きな変化はと言うと、どこにも行かない「遊覧飛行」が流行っているということ。これまでどこにも行かないフライトと言ったら元旦の初日の出フライトくらいしかありませんでしたが、コロナの影響で日常的に遊覧飛行が行われています。話題性があったのは、ANAのA380フライングホヌを使った成田発成田着のフライトでした。1回目がかなり好調だったため、2回目、3回目と進化しつつ続編が行われています。(写真はフライングホヌ就航時)
それに負けじとJALも787を使ってハワイ気分のフライトが行われました。後発であればあるほど、内容は凝ったものになっており、今後もコロナの動向を見つつ拡大傾向にあるものと思われます。
また、眼下の景色を楽しむような遊覧飛行ではないかもしれませんが、スターフライヤーが機内をプラネタリウムにした星空フライトという企画を行いました。
また、名古屋ベース(正確には静岡)のFDAは高い頻度で、地元を遊覧するフライトを実施し、遊覧飛行ビジネスを拡大させようとしています。FDAは修学旅行に行けなくなった中学生を対象に、地元を遊覧するという企画をやったそうで、遊覧飛行に対してかなりの肩入れをしています。
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遊覧飛行の種類は3つ
このところ急速に市民権を得つつある遊覧飛行ですが、その種類は3つほどあると考えています。最近行われた代表的なものを挙げてみますと、、、- ANA A380 ハワイ旅行気分
- JAL 787等 夕景/ハワイ旅行気分
- JTA 737 沖縄遊覧
- FDA E170 地元遊覧
- スターフライヤー A320 プラネタリウム
1つ目は国際線気分を味わうもの、特にANAやJALのハワイ旅行模擬みたいなのが典型です。
2つはJTAやFDAがやっているような本当の遊覧飛行、すなわち景色を楽しむためものです。
3つ目はスターフライヤーがやっているような機上エンタメ系。3番目は今のところスターフライヤーのプラネタリウムしか確認できていませんけれども…。
国際線気分を味わうフライトをANA、JALなどの大手がやるというのは、集客面で大型機をなるべく使用したいという大手エアライン側の事情でしょうね。遊覧と言いつつ、遊覧だけを目的にしてしまうと景色が見えない中央席では成り立たなくなるため、国際線気分のフライトにして、満席でも成立するように仕向けているわけです。実際、そんな気分になりたい人も多いでしょうし。
FDAが純粋な遊覧をしているのは単通路2-2配置の小型機だから。通路側からでも景色が見えるからです。
という事情も勘案しつつ、遊覧飛行は3種類あると思われます。
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乗らなくてもいいフライトもある
この3種類の中で、「最も乗りたいやつはなんだろう?」って考えると、やはり国際線気分を味わう遊覧飛行ですかね?今、飛行機好き、旅行好きの人々の間で一番行きたくても行けないところってのは海外ですから、国際線、特にハワイ線の専用機を使ったフライトは、久々の国際線気分を味わうにはうってつけです。
こんな機内食が出たら気分も上がりますよね。
それで。
逆に乗りたいと思わないのは景色を楽しむ遊覧。
何故なら、富士山を見たければ、羽田発の西日本行きの便に乗ればよいですし、夕景が見たければ、日の入り時間に合わせて、夕陽の側の座席を指定すればよいですし、海が見たければ前回記事のように那覇線に乗ればよいだけですから。
那覇空港へアプローチ中にはこんな海が見られます。
こちらは那覇の夜景なんですが、綺麗な夜景が見たければ、例えば夜に伊丹や福岡に到着する便に乗ればよいのです。
旅客便でも機窓の景色は存分に楽しめるので、あえて景色を楽しむ遊覧飛行には乗らなくてもいいかな?と思います。
もちろん1,000ft(300m)で飛び続けるような遊覧飛行なら乗ってみたい気がしますけど、まさかそんな低空飛行で飛んでくれるわけありませんので、まぁやはり「機窓の景色を楽しむだけなら旅客便で十分かな?」と思います。
なお、機窓を楽しむための適切な旅客便を選ぶには以下のことをするのがよいかと思います。
- Flight Radar24で航路を調べる
- 日の入り時刻を調べる
- 天気予報を見る
これで、大体狙い通りの景色が見られるはずです。天気が良ければですけど…。
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遊覧飛行が流行る=輸送事業は低迷
もちろん色々なタイプの遊覧があっていいと思うんですけど、ちょっと最近は度が過ぎると言うか、何だか飛行機の本来の目的を果たしていないような気がして、個人的には先行きを不安視しています。(記事投稿時、Gotoトラベルも中止の方向のためなおさら心配になります。)こんな状態が長続きしたら航空会社が困るからです。
飛行機は本来、長距離を移動するためのもの。目的地へお客さんを運ぶ乗り物なんですよ。そして航空会社としては、一日に何レグと飛んでお金を儲けるための商売道具なわけですよ。LCCのように地上にいる時間を極力短くすることが、たくさん稼ぐコツでもあります。とにかく飛んで人を運んでなんぼの乗り物なんです。
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それが1日に1本しかないような遊覧飛行に使われるなんてすごくもったいないです。そりゃ寝ている機体を遊ばせておくよりはマシですけど、そもそも出発地に戻るような遊覧飛行なんて苦肉の策中の苦肉の策ですからね。エアラインとして楽しくてやっているわけじゃないですからね。そこに気付かないとダメですよ。
1日に5~6本くらいの頻度で遊覧飛行ができればよいですが、数週間に1本程度の頻度では新しいビジネスモデルなんかにはなり得ないです。
もちろん、企画自体は面白いと思いますし、これまでも初日の出フライトでやってきた、その延長線上だと思うので「アリ」だとは思います。しかし、これが長続きするべきではないと思うのです。やらないよりはマシとは言え、遊覧飛行が続く限り、旅客便の需要は盛り上がりませんので、どんどんと航空会社の収益を圧迫していくことになるんですよね。
というところに気付いてしまうと、遊覧飛行で楽しむ乗客を微笑ましくも思いつつも、何となく複雑な思いがする僕なのでした。
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