イケてる航空総合研究所

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GWの沖縄旅行に6万人!?でも実は9割以上がキャンセル。知事は「ありがとう」と言って欲しい。

沖縄に6万人も来る?

ちょっと気になったニュースをシェアします。GW期間中、沖縄に6万人が飛行機に乗って来ることを沖縄県知事が心配している件です。

www.okinawatimes.co.jp

(2020年4月27日の記事)

www.okinawatimes.co.jp

(2020年4月28日の記事)

1つ目のニュースを読んだ時、若干の違和感を覚えました。6万人ですよ。この数字、多いですかね?少ないですかね?

少ないです。

そして2つ目の記事を見た時にも、まだ的を射ていないと思いました。

とりあえず6万人というのがどれくらいの人出なのかざっと計算してみましょうか。(なお、この6万人という値はANAやJALがプレスリリースで発表しているGWの予約状況等に基づいています。)

航空会社のGW期間の定義は4/29~5/6の8日間です。そして6万人というのは往復の人数です。とすると1日当たり60,000÷2÷8で3,750人となります。


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(那覇空港に着陸するANAの767)


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(那覇空港に到着したJALのA350)

ANAやJALの他にもスカイマークやピーチ、ジェットスターなどの便もありますので、減便したとしてもそれなりに便は飛んできます。その中での3,750人はどれくらいの数字なんでしょうか?

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去年の5月の観光客は56万人

ここでデータを見てみましょう。去年(2019年)の5月に沖縄を訪れた観光客の数です。


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(データソースは以下)
令和元年5月入域観光客統計概況(令和元年6月25日発表)/沖縄県

なんと去年は5月だけで56万人もの国内客が沖縄に観光に来ているんです。もちろん5月全体で56万人ですから、GWの8日間をどう見るかというのはありますが、恐らく観光客はGWに集中していると思われるため、計算を楽にするために、30万人くらいがGWに沖縄を訪れていたとしましょう。(少し多く見積もっているかも知れませんが、結論に大きな影響は与えません。)

ここで今年のGWの来沖者は3万人(6万人は往復)なので、

3÷30=0.1

で1割。つまり9割減と言うことになります。

この数字、皆さんは多いと見ますか?少ないと見ますか?

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修行僧が押し上げているのか?

本当は3万人ですが、知事の発言ですのであえて6万人という数字を使います。この6万人という数字、全部が観光客ではないことに注意が必要です。沖縄に帰省しなければいけない人達や、どうしても仕事で行かなければならない人達、そして隠れて修行する修行僧達などが含まれるからです。

この中の修行僧ですが、修行僧は1日に2往復はするのでダブルカウントされている可能性が高いですし、幸いなことに善良な修行僧は空港から出ないですので、実際に沖縄に入境する修行僧は多くはないでしょう。

(修行僧とは航空会社の上級顧客になるため(のポイントを稼ぐため)に目的地を問わず飛行機に乗る人のこと。修行僧にとって羽田=沖縄は国内線では非常に人気が高い路線。)

知事は「(他の地方と比べて)沖縄方面はまだ若干需要が残っている」と言っています。実際にデータを見ても沖縄だけが他の地域よりも2ポイント程度高いです。

以外はANAのGWの予約数を表した表です。


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全体の予約率は10%弱。しかし沖縄だけは12%ありますよね。恐らく知事はこれを見て「需要が残っている」と言っているのでしょう。

実はその2ポイントこんな↓修行僧が押し上げているのかも知れません。国際線がほぼゼロの今、沖縄は修行のメッカですから。

flyfromrjgg.hatenablog.com

という現実を総合的に考えると、知事の言う6万人は外出自粛のこのご時世としては妥当で、例年に比べれば非常に少ないのです。去年の9割減なのですから。

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沖縄知事は観光客を褒めるべき

そして僕が思ったこと。

沖縄知事は「6万人も来る」と言う前に、「皆さん、キャンセルしてくれてありがとう」と言って欲しいですよね。何せ10人に9人は泣く泣く沖縄旅行をとりやめたわけですから。僕らはむしろ褒められるべきだと思います。


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そんな状況にも関わらず、「まだ需要が残っている」と。もしかしたら知事は単純に絶対値だけを見て6万人は多い!と直感的に言っているのかも知れません。

確かに6万人という数値だけを見ると「多い」と思ってしまいがちです。どうしても密集している6万人をイメージしてしまいますから…。しかしデータを見てみるとほとんどの人が沖縄旅行をキャンセルしていることがわかります。絶対値で見るのはなく割合で見ると、ニュースで報じられるのとは違った景色が見えてくるのです。

皆さん本当によく自粛をしていると思います。僕もGWの旅行は全キャンセルしたので同じ思いですが、楽しみにしていた旅行をキャンセルするのはとても辛いです。

数字を正しく読み、去年との比較をして、「今年はこんなに少ない、皆さんがキャンセルをしてくれたおかげだ。」と言ってもらいたいものです。先にお礼を言われてしまうと行こうと思っている人が思い直してくれるかも知れませんしね。

このGW、それなりに息抜きをしながら、ちょっとだけ広いところで外の空気を吸いながら過ごしたいと思います。

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1.5万人に修正

と、この記事をアップしようと思ったら、訂正のニュースが出ていることに気が付いたので最後の章を追加します。ここまで書いたので、上の記事は修正しませんが、意外と少ない数字が出てきました。

www.asahi.com

(2020年4月28日の記事)

6万人から1.5万人に減ったというのです。実際は往復で3万人だったので半減した計算になります。つまり訪沖者は去年の9割5分減になったということです。それでも「沖縄に来ないで」と言っていますが、GWの訪沖者は今週沖縄に行った人より少ないんじゃないでしょうかね?(あくまでも想像)

例えばANAで見ると、4月28日までの羽田=那覇便って1日に3~10往復あるんですよ。しかし、4月29日からは1日2~3便に減ります。これでは行きたくても行きようがないです。

自粛は必要だと思いますが、政治家の皆さんには、旅行を泣く泣くキャンセルした人に配慮しつつ、しっかりとデータに基づいた意見を言って欲しいものです。

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