イケてる航空総合研究所

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ANAとJAL両社のコロナ対応を見ると、JALはイメージ優先、ANAはキャッシュ優先な姿勢が浮かび上がる。

ANAとJALの違い

ANAとJAL、日本のフルサービスキャリアの代表2社なんですが、この2社はあまり変わらないのか全然違うのか。まぁ基本的なサービス部分については同じですけれども、JALは中間クラスであるクラスJがあるとか、ステータスサービスについては、JGCプレミアというANAにはない中間のステータスがあるとか、機内で出されるドリンクも違う(違った)とか、細かい部分では結構違うわけです。でも、航空券キャンセルのルールやステータスの基準などお約束事的な部分については同じであることが多いですよね。


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じゃあコロナ対応ではどうかというと、両社の方針にハッキリと差異が出るという結果になっています。普通に考えたら同じになりそうな部分ですが、これが結構違うんですよ。

実は気が付いたことがありまして、コロナ対応の差がANAとJALで違うのは、両社の財務状況の違い(資金余裕)から来ているんじゃないか?ということです。

3つほど具体的な例を挙げてみたいと思います。

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ポイント2倍キャンペーン

新型コロナが本格的に蔓延し始めた頃、ANAはプレミアムポイント2倍キャンペーンを行い、需要の喚起を行いました。プレミアムポイントはマイルとは異なり、次年度の上級会員ステータスのランクを決めるために用いられるポイントです。ポイントを稼ぐほど、上位のステータスを獲得でき、次年度にラウンジ利用や特別な対応など、普通会員とは異なるサービスを受けることができます。

このポイントを貯めるためだけに飛行機に乗ることを修行と言い、ANAがポイント2倍キャンペーンを発表した時には修行僧の間にどよめきが広がりました。ポイントが2倍と言うことは半分の費用でステータスを獲得できる大チャンスだからです。また特定のステータスは次年度以降、年会費だけで維持できることもあり。移動自粛期間中にも関わらずコッソリ乗る修行僧が増えたと言われています。

ANAの発表から1週間、JALも同じキャンペーンを始めました。緊急事態宣言でビジネス客、観光客ともに蒸発する中、修行の効率を高めるために比較的高い運賃で乗ってくれる修行僧はエアラインにとっては有難く、少しでも現金を得たいANA、JALの両社にとっては救世主だったに違いありません。

しかし、GW期間中、修行のメッカとされる那覇便への予約が多く入っていたことをきっかけとして(かどうかは確認していませんが)、JALが突然キャンペーンを中止すると発表しました。一方のANAも同調するかと思いきや、当初予定通りの6/30までの2倍キャンペーンを継続しました。

これは両社の資金の逼迫度を表しているじゃないかと思うわけです。ANAにはキャンペーンで少しでも現金(キャッシュ)を稼ぎたかったんじゃないかと。一方のJALは時節柄、少ないキャッシュを得るよりも企業のイメージを優先したんじゃないかと。

今考えると、JALがやめてもANAが継続したということは、そういうことだったんじゃないかと思うわけです。

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機内ソーシャルディスタンス

機内のソーシャルディスタンスについてもANAとJALとでハッキリと方針が分かれていました。ANAは特に機内のソーシャルディスタンスは考えませんでした。一方のJALは乗客同士が隣り合わないように予約時点で制限を設けました。

6月末を持ってJALのソーシャルディスタンス対応は終了しましたが、期間中、JALはどう頑張っても67%(3分の2)の搭乗率にしかできず、需要があったとしても取りこぼしていたんです。しかしANAは需要があれば満席にすることができました。6月末までに満席になる便があったのは、知る限りスーパードルフィンの退役便ですが、ANAは搭乗率の上限なしに確実に需要を取り込んでいたんです。

フルサービスキャリアでは搭乗率が7割以上ないと採算が取れないと言われており、全ての便が67%の搭乗率となったとしても採算を取るのは難しいでしょう。つまりJALは初めから採算割れ覚悟で運航していたのです。

これもうがった見方をすれば、ANAはJALみたいに悠長なことは言っていられなかった、と言うこともできます。

JALは「どうせ3分の2以上の搭乗率は無理だから、ソーシャルディスタンスのアピールをした方が会社のイメージアップに繋がる」と考えたんじゃないかなぁと。

一方のANAは「機内でソーシャルディスタンスなんて無理だから、需要を取りこぼさないことが優先」と考えんじゃないかなぁと。

いずれの真意も知り得ませんが、そもそも機内でのソーシャルディスタンスなんてパフォーマンスでしかあり得ませんので、JALは余裕がありANAは余裕がなかったと思えてならないのです。

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無料変更キャンペーン

さらに6月末から7月頭にかけて両社が始めたのが、無料の変更キャンペーン。これから購入する航空券が対象なのは同じですが、ANAは変更のみ無料。変更なしのキャンセルは所定の取消手数料がかかります。しかしJALの場合は取消手数料無料でキャンセルが可能です。(払い戻し手数料440円は必要です。)

この両社のスタンスの違いも資金繰りの余裕を表している気がしてなりません。ANAはとにかく入ってきたキャッシュを返したくない姿勢が見えます。1年先まで変更可能にするからとにかく今、お金を払って航空券を買って欲しい。そんな印象を受けます。一方、JALの方はキャッシュを返す余裕があるわけです。そこにも両社の財務力の違いが現れていると思うのです。

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巷で言われていること

このANAとJALの資金余裕の違いは巷で言われていることでもあります。JALは破綻した後に身軽になり、8.10ペーパーで成長を抑制されたため、資金繰りには余裕があるというのがその理由です。一方のANAは、そんなJAL尻目に積極投資を続けてきました。その結果、新機材を多く導入し加速度的に路線を拡大してきました。そのツケが回ってきているというわけです。

つまりANA方がヤバい

と。

少し古いですが、自分で計算するのも面倒なのでそれなりに信用できそうな記事を引用すると、

toyokeizai.net

この記事ではJALの方が余裕があることが書かれています。全便が運航停止した場合でも、ANAは7ヶ月分、JALは13ヶ月分の余裕があるとこの記事には書いてあります。他の記事でも同じような論調です。コロナ禍が始まったときから、JALの方が資金的に余裕があるというのが市場のコンセンサスでしょう。

ということで、それがANAとJALのコロナ対応が分かれるところなんだと思います。JALは目先のキャッシュに固執せずイメージが優先、ANAは目先のキャッシュを追い求めている印象が強いです。もちろん、資金余裕が両社の異なる対応を生んでいる確証はなく、単なる会社としてのポリシーの違いなのかも知れません。ただ、そういう想像をしてみるのも面白いと思います。

どちらかのエアラインでキャンペーンや施策が打ち出されたら、他方のエアラインがどんな風に対抗してくるのか、懐事情が分かっていたら予想することができるかも知れませんね。

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