大幅遅延へのはじまり
先日、ANAで女満別空港から帰ってくる際、酷い目に遭ったのでここにドキュメント形式で書き記しておきたいと思います。また、機材故障時の対応ノウハウを書いておきます。きっと役に立つと思います。長いですがお付き合い下さい。酷い目に遭った出来事を簡単に書くと「機材故障による4時間半の出発遅れ」です。定刻18時40分中部着の飛行機で帰ってくるつもりが、なんと23時05分中部着。帰宅したのは1時少し前でした。グズる子供を連れて日付が変わっての帰宅となってしまいました。
始まりは1つの放送からでした。折り返しとなる中部=女満別がほぼ定刻で到着したのにも関わらず、「出発準備に少々時間を要しております」という放送が入りました。(運航パターンは単純折り返し)
「前の便は定刻で着いたのにおかしいな?」という違和感を覚えました。この手の放送、機材に何か不具合が起きた時の始まりによく聞く放送なんですよ。機材故障や機材整備とは言わず「出発準備」と言います。ま、嘘じゃないですよね。
ひとまず、定刻16時40分の出発予定が16時50分に変わりました。そしてすぐに17時にスライドしました。

この時点で僕は「あ、これは不具合だな」と直感し、初めて窓の外を見ました。

そしたらこれ。除氷車を高所作業車代わりにして、尾翼の点検をしていました。「尾翼に被雷でもしたかな?」と最初は思いました。(後に尾翼とは関係ないことがわかりますが、この時はそう思いました。これは単なる点検行為なのかも知れませんし、尾翼にも不具合があったのかも知れません。不明です。)

続いて翼の中に棒を突っ込む行為が確認されました。「燃料系統に不具合がある」と直感しました。何故なら燃料は主翼に積むからです。棒を突っ込んで、その位置まで燃料が来ているかを確認しているんだと思います。(調べたところ、正確には元々刺さっている棒を引き抜く行為でした。)
17時を過ぎた頃、ついに遅れている理由が明かされました。「燃料系統に不具合があるため、出発がさらに遅れます。出発時刻は未定です。」と。
これが悪夢の始まりでした。
欠航に備えて動き始める
出発の目途が立たないというのは深刻な事態ですね。このまま欠航するんじゃないかと思い始めました。これが新千歳等の大きな空港なら他の機体を用意したりするんですが、なにせ女満別という地方空港、代替機はいません。また、乗員の乗務時間の制限もあります。恐らく中部=女満別を1便目として飛んできている乗員なので、まだまだ乗務時間の制限は来ないだろうとは思いましたが…。
欠航という最悪の事態を想定し色々と調べ始めました。必要なのは宿泊と足です。
とりあえずレンタカーを確保し、閉店前の19時45分までに再度連絡する旨を伝えました。次は宿泊です。どこのホテルに泊まるかは迷いました。この旅行で泊まったホテルにひとまず電話したところ1泊10万円とのこと。さすがにそれは無理なので、次のところを当たりました。
なお、カウンターにどうしたらいいかを聞きに行ったところ、「欠航した際は、ホテルの手配のお手伝いはしますが、基本的にご自身で手配して下さい」とのこと。確かにいちいち係員に手配のお願いをしていては、時間も掛かりますし、どんなホテルに泊まらされるかわかりません。なので、欠航が予想される場合は先手を打って自分で手配するのが得策だと思います。
欠航しなければラッキー、欠航してもラッキーです。特に地方空港の場合は、ホテルやレンタカーは争奪戦になる可能性が高いので、早めの手配がその後の快適性を大きく左右することになるでしょう。長々とカウンターに並んで手配をしてもらうなんて地獄絵図ですよね。
僕らの場合は、欠航しなかったので無駄でしたが、やっておく価値はあります。

気が付くと既にコックピットには誰もいませんでした。
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19時半に代替機を手配
19時半まで待ったところで、やっと次の情報が入りました。新千歳から代替機を飛ばしてくるとのこと。やっと新しい出発時刻が決まりました。なんと4時間遅れの20時45分。これで欠航はなくなり、何とか同日中に中部に帰れることになりました。ただ、僕としては「そこまで遅れるくらいなら欠航してくれた方がマシ」と思いましたけど…。子連れで深夜の帰宅はやはりきついですよ。このままホテルに行って、ちゃんと子供を寝かせて翌日に出発したい、というのが本音でした。20時45分には出発できず、さらに遅れることなど目に見得ていたからです。
この時点で、17時への遅延が決まってゆうに2時間が経っていました。情報が変わらなくてもいいので、定期的な放送は欲しいですよね。よくも2時間放置できたもんだと思います。僕は定期的にカウンターに聞きに行って、特に進展ナシということを聞いていたのでまだ気分的にマシでしたが、何も情報がなく待っていた人はさぞかしヤキモキしたことでしょう。
夕食の時間なのにケアなし
しかもその放置の時間、一切のケアがありませんでした。普通は2時間遅れるくらいのところで、食事券とかが出ます。大空港なら必ずそれくらいのケアがあります。確かに女満別の場合は、待合室内にはBLUE SKYが一軒あるのみでレストランはありません。ターミナル内にですら食事をするところは2軒で、20時前には閉まってしまうでしょうし、セブンイレブンですら20時に閉店でしたので、食事券を出すことができなかったんだと思います。結果的に搭乗時に2,000円の現金がもらえたんですが、それを配ることを言うべきだったんじゃないかと思います。(言われたのは搭乗の直前)。
僕は食事券のようなものが出るのか、現金が出るのかわからず、若干食べ物を買うのを躊躇してしまった面があります。子供にはパンや飲み物を買っていましたが、自分はいつどこで夕食を食べようか悩んでました。(食事券が出てくる前に食べてしまったら損しますからね。)
「搭乗時に2,000円配るから、自分で何か買って食べて下さい」くらいは言ってももいいんじゃないでしょうかね?それを言えばみんな元気が出るかも知れないですし…。でも言わないものだから、夕食も食べに行けず、ひたすら待っていただけの人がたくさんいたはずです。

ちなみに僕たち家族は新しい出発時刻が決まった時点で、保安検査場から出て1階のセブンイレブンに行き、おにぎりを買って食べました。そしたら続々と待合室から出てきた人たちが同じようにセブンイレブンで食料を調達していました。カップ焼きそばを買って湯を入れて食べている人もいました。でも全員ではないと思うので、やはり何も食べずに待っていた人が半数近くいたかと思います。
残念ながら、非常に対応が悪いと感じてしまいました。機材故障で遅れておきながら有り得ない対応です。
とは言うものの、ANAを弁護するならば、待っている間に19時発の羽田行きをハンドリングする時間になってしまったため、係員はそちらもケアしないといけなかったんですよね。なので、どうしても羽田便を見送ってからしかまともな対応ができなかったんだと思います。
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救援機がようやく到着
僕は代替機が来ると聞いた瞬間からFlight Radar24で、女満別に向けて飛行するANAの737を探していました。そしたら20時過ぎにEH5543便(JA85AN)という怪しげな便を発見しました。これが来る!ちょっとだけ感動しちゃいました。
そして出発時刻も迫る20時40分頃到着しました。ここから5分でターンアラウンドは無理ですよね。「まだ遅れるのか…。」ゲンナリしちゃいました。でも、機内は準備できているから早いよね?と思いきや、荷物の載せ替えがあるんですよ!
737の貨物はコンテナではなく全バルクなので、荷物の載せ替えは人力で降ろして、人力で積み込まねばなりません。さすがに不具合機からは降ろしていたはずですが、積む作業はそれなりに時間が掛かりますよね。もちろん燃料の搭載も必要です。(燃料くらい新千歳で中部までの燃料を積んで来ればいいのにと思いますが、そうはいかない事情があるのでしょう。)
救援機が来たからと言って、すぐに出発とは行かず、通常のターンアラウンド時間分は待たされました。なかなかうまくいかないものですね。これがA320だったらコンテナ方式ですので、もう少し早かったかも知れません。
ということで、出発したのはアナウンスされた20時45分からさらに30分遅れた21時15分でした。所要時間は1時間50分。最終的には23時05分にセントレアに到着しました。
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名鉄が臨時列車を運行
到着直後、地上係員から放送が入りました。「0時ちょうど発の名鉄の臨時列車、金山行きを運行する」と。「なるほど、そう来たか!」と思いました。23時05分に着くと、セントレアから脱出するには23時31分の特急岐阜行きしかありません。これを逃すと鉄道での脱出は不可能です。ドアが開いて、到着通路を歩き、荷物をピックアップすると23時31分発の電車は厳しいものがあります。また、この時、女満別からの代替機に、新千歳=中部(NH714)で飛ぶ予定だった機材を使ったようで、僕らの女満別便のすぐ後にNH714便が到着しました。つまり大幅遅延の便が2便あったわけです。
という事情もあり、ANAは0時発の臨時列車の運行を名鉄に依頼したのだと思います。なるほど、セントレアでは終電付近に到着するとそういう対応をしてくれることもあるのかと勉強になりました。ちなみにこの臨時列車の運賃はANA持ちです。手荷物受取カウンターで乗車券をもらえるようでした。
公共交通機関がない場合
今回のように機材故障が原因で大幅に便の到着が遅延したとき、覚えておきたいことがあります。公共交通機関がなくなると、航空会社が到着空港から最終目的地までの費用を負担してくれることです。通常時の航空会社の役割は到着空港まで乗客を送り届けることなのですが、公共交通機関がない時間になると、責任範囲が広がって最終目的地までの運賃補償をしてくれるんですよ。これは絶対に覚えておくべきです。
飛行機が遅延した際に宿泊や別の交通手段が必要になった場合、一人当たり15,000円までが精算対象となります(基本ルール)。僕のケースでは、空港から自宅までは1人15,000円までの交通費を負担してくれます。なので、安易に名鉄の臨時列車に乗ってはいけませんよ。空港からタクシーに乗った方が絶対にお得です。もちろん名鉄の臨時列車に乗って最寄り駅まで行き、そこからタクシーでもいいです。いずれにせよ15,000円分を上限として補償されます。どちらか早い方、または楽な方を選択すればよいと思います。
詳しいルールはこちらをご覧下さい。
唖然!タクシーがいない!
というルールなので空港からタクシーで自宅に帰ることにしました。臨時列車に乗ったところで、僕の最寄り駅までは名鉄で帰れませんし、途中の駅でタクシーを捕まえるのも面倒です。深夜にタクシーが捕まるかどうかわかりませんしね。さすがにセントレアには停まっているだろう。遅延便が2便もあるんだから、、、と思っていたのが甘かったです。セントレアに1台もタクシーがいないんですよ。タクシーくらいANAが呼んでおくべきだと思いました。名鉄の臨時列車に乗っても家に帰れない人はいるわけで、それなりの人数の人がタクシーに頼らざるを得ないんですから。
タクシー乗り場に行って1台も停まっていないことに愕然としました。電話でタクシーを呼んだところ30分掛かり、乗車したのはちょうど0時でした。0時発の臨時列車でも良かったかな?とも思いましたが、臨時列車に乗ったらさらに途中の駅からタクシーに乗ることになり、もっと帰宅が遅くなっていたことでしょう。
この辺りはANAの作戦だったのかも知れません。とにかく乗客を臨時列車に乗せてしまえば、空港からのタクシーのことは考えなくていい。途中で降りる駅からタクシーに乗ってもらえば補償額も少なくて済む。きっとそんな思惑があったに違いありません。しかし、やはり乗客の立場としてはせめて数台はセントレアにタクシーを待機させておいて欲しかったと思います。
女満別便、新千歳便の乗客200人程度(仮定)が臨時列車でどこか途中の駅まで行って、その後ちゃんとタクシーが拾えたんでしょうか?平均2人連れとして100組、途中駅の合計で100台もタクシーがいるとは思えません。臨時列車に乗っても帰宅が困難だった人は相当数いるかと思います。
初めから欠航という選択肢はなかった
今回のケースでは、4時半の遅延の後、セントレアからの公共交通機関がなくなるかなくならないかのギリギリの時間の到着になったわけですが、こうなってしまったのには、どうしても欠航させられない理由があったと僕は考えています。恐らくANAはこんな風に考えたんだと思います。
- 女満別空港はANAの人手が圧倒的に足りかった。
- 女満別(網走)付近には約150人分の客室がなかった(予約でいっぱい)。
- 上記理由から欠航させても乗客をスムーズに空港から出せないと判断した。
- 出発準備中の新千歳=中部線の737を代替機として使おうと考えた。
- 19時まで粘って不具合が解消しなかったので代替機を女満別に持ってきた。
- 新千歳にいた別の737を新千歳=中部に充てた。
- 女満別便、新千歳便の遅延に合わせて名鉄の臨時列車を手配した。
これ、乗客の立場で考えなければ完璧なオペレーションです。実にうまいです。よく考えましたね。どうしても女満別便を欠航させるわけにはいかなかったので、新千歳便と抱き合わせで両便を遅らせたんですよ。そして最後のセントレアで臨時の名鉄に乗せて処理しようとした。いやー本当に上手いですね。OCC(Operation Control Center)の人達は天才だと思います。
当日は本当にゲンナリしましたが、冷静に機体のオペレーションだけを考えれば素晴らしいやり方だと思います。
もう一つこの一件でわかったことは、地方空港の便は繁忙期には絶対に欠航させられないということです。地方空港の人的リソースや宿泊リソースが不足しているからです。だから何が何でも出発させるんだと思います。東京や大阪ならもっと早い段階で欠航させると思いますが、地方空港では少し事情が違うんだなと思いました。乗客の帰宅が日付を超えようとも飛ばすんです。
非常に勉強になりました。
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ピーチだったら悲劇だった
中部=女満別はANAが飛んでいますが、関空や成田から女満別へはピーチが飛んでいます。今回ピーチじゃなくて良かったと心底思いました。何故なら、機材故障による遅延でもピーチは一切の補償をしてくれないからです。HPには次のように書かれています。
Peachでは遅延、欠航に伴い発生した(する)宿泊費、交通費などの補償はしておりません。
飛行機の遅延や欠航などで発生する宿泊費を補償するPeach旅行保険をご用意しており、ご予約時に任意でご加入いただけます。
だからLCCは安いということもできます。そういう手厚いケアがないからこそ安い。ピーチで同じことが発生したら2,000円分の現金も空港からのタクシーもありません。「遅れたら自分で掛けた保険で賄って下さい」です。滅多に今回のようなことはないと思いますが、もしピーチで起こったら僕は泣くしかありませんでした。対応には不満が残りますが、ANAで良かったです。
機材故障時の対応まとめ
機材故障で遅延や欠航が発生したとき、覚えておくこと2つです。既に書きましたが再度まとめます。- 交通費・宿泊費合わせて一人当たり15,000円(上限)までを補償。(基本ルール)
- 到着空港から最終目的地までの交通費は、公共交通機関がない場合、上限までを補償。
ということです。

そして、このような案内をもらえるので、精算書に必要事項を書き、搭乗券と領収書を送れば精算完了です。
なお、この補償は天候理由では一切適用されないのでご注意下さい。台風などの時にカウンターでゴネて、宿泊費を補償しろと言っても何も出てきません。全部自腹です。悪天候は航空会社の責任ではないからです。逆に機材故障での遅延・欠航は、乗客が圧倒的に有利です。100%航空会社の責任だからです。
状況が許し、合理的な理由があれば1人当たり15,000円までの枠内で自由に使えます。上限の範囲内であればワンランク上のホテルに泊まることもできますし、タクシーを使うこともできます。このルールは活用したもん勝ちです。
ということで長くなりましたが、4時間半の遅延で僕が考えたことと、感じたこと、行動したこと、適用された補償のことをすべて書きました。ご参考になれば幸いです。
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