飲み物こぼした事件その1
先回のエアチャイナ737-800ビジネスクラスに乗って北京に行った話なんですが、その機内である事件が起こりました。ウェルカムドリンクをもらった直後、前の席に座っていた日本人男性が「あっ~!」と言ってオレンジジュースこぼしたんです。クルーが「Sorry」ではなく「It’s OK」と言っていたので、多分クルーは悪くないです。
多分男性のお尻がコップに当たったか何かだと思います。737の狭いビジネスクラスなので「そんなこともあるよなぁ」と思っていました。
ちなみにその前の男性はちょっと態度がデカめ。「ちくしょー」みたいなことを言っていました(クルーの声の掛け方からして、多分本人が悪いです)。まぁでも、そんな気持ちにもなりますよね。
飲み物こぼした事件その2
今度は食事が終わったの後の話なんですが、トイレに立とうと隣のオジサマをまたごうとしたとき、僕がオジサマのお水をこぼしてしまったんです。ひじ掛け前に置かれていたコップにお尻が当たったんだと思います。これには理由がありまして、、、なんて言い訳しちゃいけないんですけど、前の座席の男性がフルリクライニングするもんだから体を反らせないと通路に出られなかったんですよね。
↓ほら、こんな感じで。
(お水をこぼす直前の写真。下の方にコップが写ってますよね。実は狭い機内でリクライニングするのはアリなのかという話題を提供しようと思って撮りました。)
僕、お水をこぼす前に「この水に当たりそうだなー、コップを移動させたいなー」って思ったんです。何せ前の席の男性がジュースをこぼす事件を見たばかりでしたから…。
しかし他人様の水なので、「触っちゃいけない」と思い何もしませんでした。そして細心の注意を払って通路に出たつもりでした。しかし結果的に悪い予感通りのことが起きてしまいました。
しまったー!
今度はおれがこぼしちまったー!
と青ざめました。
そしてひたすらオジサマに平謝り…。
申し訳ありません!!!
と。
しかしオジサマはとても良い方で、ひざ掛けでこぼした水を拭きながら、「あ、お水なのでいいですよ」と優しく許してくれました。ジャケットに水が少し掛かってしまったのと、シートの端っこを濡らしてしまいました。
すぐにクルーを呼び、シートにブランケットを敷いてカバーしてもらい、オジサマにはその上に座ってもらいました。いやはや、他人様のコップには気を付けないといけませんね…。
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航空事故として考える
その便では僕を含め2人もの人が相次いで飲み物をこぼす事件を起こしてしまったわけです。短い期間に同様の事故が何度も起こる場合、航空機の世界ではパイロットや整備士などの運航者を責めず、仕組みを疑います。エラーが発生するような仕組みが悪いという考え方です。そしてエラーが起こらないような改善を行うわけです。絶対に人は責めません。(裏では責められているとは思いますが…。)
737MAXの事故がそうですよね。この時はライオンエアしか落ちていませんでしたが、エチオピア航空の737MAXが墜落した後、ボーイングは結構あさりと否を認めました。
今回の「737で2人が飲み物こぼした事故」では何が原因か考えてみましょう。
- コップをひじ掛け前にしか置けない
- そこは体が当たりやすい位置である
と言うことが直接の原因になります。また前の人がリクライニングをすると窓側の人が通路に出られなくなるような
- シートピッチの狭さ
も原因と考えることもできます。もしかしたら
- リクライニングすると後ろに倒れること
が問題かも知れません。最近はリクライニングしても後ろに倒れない座席も多いですから。
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しかもビジネスクラスではコップをひじ掛け前に置けてしまうが故、エコノミークラスのように、隣の人が通路に出る場合、テーブルの上に置いてあるコップを手で持つということになりません。置きっぱなしになってしまうわけです。
どうしたらいいんでしょうね?
何が原因かは分析できるんですが、なかなか解決策が思い浮かびませんよね。
強いて言うならば、こぼされる側が危ないと思ったらコップを持つということでしょうか?しかしその方法は、「気を付ける」という人のする行為に依存するものであって、仕組みでカバーするということにはなっていないため、悲劇は再び起こります。
注意するだけでは事故はなくならないんですよ。注意力がなくなったときに事故が起こるからです。簡単な理屈です。
1つ思いつく解決策は、
- ひじ掛け前にコップ用の穴を掘る
という方法でしょうか?エアラインによってコップのサイズが違うため、穴の直径の設定が難しいですし、穴を掘ると例えばおしぼりやナッツやちょっとした小物を置けなくなります。(この仕組みの座席は存在しますが、全エアラインに適用されているわけではありません。)
と言うように注意力ではなく仕組みでカバーしない限り事故はなくなりません。
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飲酒事件でも同じ
以前、流行ったようなパイロットや客室乗務員の飲酒事件も、パイロットや客室乗務員を責める風潮でしたが、あれは絶対にやってはいけないことです。僕はお酒が飲めないので、お酒を飲みたくなる気持ちが全く分かりませんが、フライト前にお酒をあおりたくなるような心理になる仕組み変えないといけないんです。忘年会で飲酒禁止(JAL)
とかバカなことをやっちゃうもんだから、マスコミがさらに煽るわけですよ。忘年会で酒を禁止したら、乗務前に酒を飲まなくなるんでしょうかね?むしろ逆効果じゃないですか?
破綻して変わったと思ったJALでも、「試合で負けたら丸坊主」的な30~40年前の思考回路がまだ蔓延っているんですね。
航空会社は航空事故に関しては「人を責めず、仕組みを責める」という非常に先進的な考え方ができるのに、クルーの規範については随分と遅れた考え方があるんだなと実感しました。
飲酒をしたくなる仕組みに注目しない限り、結局同じことは起こります。
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もっと他責にしてもいい
今回は相次いで起こった「737で2人が飲み物こぼした事故」の原因を自分に着せずに、「仕組みが悪い!」と強引に他責にしたわけですけれども、僕はこの考え方は大事だと思っています。自分が悪いにも関わらず、実は自分は悪いと思っていません。(ご批判は甘んじて受けます。)- 仕事でミスをする
- そのミスは何度も起こる
そんな経験がある方はきっとたくさんいらっしゃると思います。そんなとき自分を責めずに仕組みのせいにして下さい。そうしないと絶対にミスはなくなりません。
他責にするなんてけしからんと思っているうちは成長はありません。航空事故の考え方は色々なところに応用が効くものなのです。
立て続けに同じようなエラーやミスが起こるとき、
おれは悪くない
仕組みが悪い
堂々とそう言える世の中になったらいいなぁと思います。
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