イケてる航空総合研究所

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羽田発着枠拡大で起こる国際線の成田から羽田へのシフト本当に歓迎すべきことなのか。

米国路線の一部が羽田へシフト

羽田空港の発着枠拡大でかなりのスロット(便の枠)を取ったANAとJAL。特に米国路線では横田空域を空けてくれた米国への配慮もあり、ともに12便を勝ち取りました。またその12枠を巡り米国路線では羽田シフトが進みます。

「羽田シフト?何それ?」と思われる方、羽田の発着枠は新規に増える路線だけに割り当てられた発着枠ではありません。当然のことながら、成田から羽田に路線を移す場合も同じ発着枠を使わなければなりません。航空会社としてプラマイゼロでも羽田に移す場合は1つの発着枠が必要となります。サマースケジュールが始まる2020年3月26日から一部の米国路線が成田から羽田にシフトしてきます。それをここでは羽田シフトと呼んでいます。

ANAで成田から羽田にシフトする米国路線は、サンノゼ、シアトル、ヒューストン、ワシントンD.C.線。成田に残る路線は、ニューヨーク、シカゴ、サンフランシスコ、ロサンゼルス、ホノルル線です。


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(ANAプレスリリースより)

JALで言えば、成田から羽田へのシフト路線は、シカゴ、ダラス、ニューヨーク線(シカゴは2021年から成田再開)。成田に残る路線はシアトル、サンフランシスコ、サンディエゴ、ボストン、ハワイ、グアム線です。


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(JALプレスリリースより)

そしてデルタに関しては、アトランタ、デトロイト、ミネアポリス、シアトル、ポートランド、ロサンゼルス、ホノルルの全路線が羽田に移ってきます。

これは首都圏の人のみならず、羽田に路線網を持つ日本の各都市の人達にとって非常に喜ばしいことです。日本の各都市から成田への路線は限定的で、ANAでは新千歳、仙台、新潟、小松、名古屋、伊丹、広島、福岡、那覇、JALに至っては、新千歳、名古屋、伊丹、福岡しかありません。その他の都市の方は、成田まで陸路か、羽田へ飛んでその後陸路で成田へ移動しなければなりません。

しかしこれからは、日本全国の都市、特に大阪や新千歳、福岡、那覇という幹線都市に至っては1時間に1本、30分に1本という劇的な利便性の良さを享受できることになります。乗り継ぐ便の時間帯にもよりますが、接続便として少なくとも2~3便は選択肢があることになります。

また福岡などの西日本の都市からは仁川経由の米国行きというのもメジャーだと思われますが、それらの都市から米国行き(に限らずですが)に乗り継ぐ場合もこれからは羽田が使えるはずなので、仁川への流出を防ぐことができるかも知れません。

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実は困る都市もある

ただ、東京に近い都市を見てみると、便利になるところだけではないんです。困るのが中部国際空港(セントレア)を利用する人達です。中部発羽田行き、成田行きの時刻表を見てみましょう。


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中部から羽田へはANAは1日1往復、午前9時羽田着の便しかありません。


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JALは1日2往復があり朝便はANAとほぼ同じですが、夜便は羽田着が22時台で、夕方便に接続は不可能、深夜便にしか乗り継ぎができません。

米国路線の中でも羽田を午前中に出発する(であろう)東海岸便、南部便であれば、セントレア発の朝便で乗り継げるのですが、困るのが夕方に出発するシアトル、サンノゼ、ロサンゼルスなどの西海岸路線です。


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これまで成田発の夕方便へは、ANA、JALともに中部発14時台発の便に乗ればうまく乗り継げたのですが、西海岸行きの便が羽田へシフトしてしまったら、羽田まで飛行機で乗り継げる手段がなくなり、新幹線+京急で羽田まで行かねばなりません。

名古屋から羽田というのは意外と不便でして、「スーツケースを収納する場所のない」新幹線に乗り、品川で乗り換えて、「座れない」京急に乗り継がないと行けないのです。(復路は羽田=中部線に乗れます。)

別に米西海岸便に限らず、羽田を夕方に出発する便にセントレアから乗り継ぐ場合は非常に不便を強いられることになります。本音は中部からの米国路線を飛ばして欲しいところですが、採算性の面からそれはなかなか叶わないため、米国線への接続という点に関しては個人的には夕方の羽田線があるとよいなぁと考えています。

もう1つ東京に近い都市で言えば、仙台はもっとひどいです。仙台から成田行きの便はありますが、羽田行きの便はゼロです。仙台の人達は羽田まで新幹線で進出するしかなくなりました。中部地方の人達なんてまだ幸せな方かも知れません。

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中部=羽田線は増便されるのか

名古屋と仙台を話題にしていますが、僕の地元である中部に話を限定させてもらうと、今後中部=羽田が増便される可能性はあるんでしょうか?

恐らくないと思います。


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(現在、セントレア発14時台の成田行きは737による運航)

何故なら中部から羽田へ便を飛ばすにも発着枠が必要だからです。せっかく取った発着枠を国内線に、しかも名古屋からの便に使うでしょうか?

羽田発の国際線に名古屋の人が乗らないと採算が取れないのであれば、何が何でも飛ばすでしょうが、それ以外の都市からはむしろ集客できるようになるので、ANA、JALとしては名古屋の人に乗ってもらわなくたって全然構わないわけです。1便の発着枠があればもっと儲かる国際線を増強したいのがANAやJALの思惑でしょう。

というわけできっと中部=羽田線はできないと思います。まぁできればラッキー、できなくて元々というところでしょうね。

うんと昔、新幹線に「のぞみ」ができた頃、「名古屋飛ばし」という言葉が流行りましたが、まさにあれと同じ。当時、東京=大阪を結ぶのぞみを名古屋に停車させない「名古屋飛ばし」の議論が持ち上がり、名古屋はそれに大反発しました。結果、のぞみも名古屋に停車することになりましたが、当時は真剣に名古屋を飛ばすことを考えていたようです。

名古屋って何なの?

ただでさえ羽田が国際化すると、名古屋の、特に中部国際空港(セントレア)の地位が低下してしまうと言うのに、羽田が充実するにも関わらず羽田線が増便される予定がないというのは、非常にゆゆしき問題です。客は(羽田に)吸われるわ、吸われる客の手当てはされないわで踏んだり蹴ったりな感じがします。

東京に近い中途半端な大都市、名古屋。新幹線では飛ばされかけ、飛行機は飛ばされるというか飛ばない…。

一体名古屋って何なんでしょうね???

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