できたてホヤホヤの新路線
2023年夏スケジュールから小牧を拠点とするFDAが新しい路線を開設しました。それは小牧=丘珠。どんどん路線を拡大しているFDAですが、中部=高知線でセントレアに参入したかと思いきや、「中部=新千歳」ではなく「小牧=丘珠」で札幌線を開設したわけですからね。丘珠へはチャーター便で実績があったので、予見はできた範疇ではありますが、なかなか驚きの路線です。その都市のセカンダリ空港同士を結ぶ路線ですので、日本でも類を見ない新たな路線タイプが生まれたということも言えます。
NGO-CTS
ではなく、
NKM-OKD
ですから、この路線開設の意義はある意味すごいです。中部と小牧の関係は、羽田と成田、伊丹と関空の関係ではないですので(両社は大型の国際空港)、例えば「羽田=伊丹」に次いで「成田=関空」ができたというわけではなく、「調布=八尾」みたいな路線ができたということなんですよね。そう考えるとこの「小牧=丘珠」がいかに面白い路線かが分かってもらえると思います。
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毎回小牧を使いたくなる
やってきました県営名古屋空港。ずらりと並ぶFDAのカラフルなエンブラエル機たち。
かつてはここにノースウェストのジャンボやデルタのMD-11などが乗り入れていたわけですので、それを考えると時代は変わりましたよね。名古屋空港のリージョナル化、そしてフジドリームエアラインズの拠点化なんて誰が想像したでしょう?僕がここに写真を撮りに行っていた中学生の時など、こんな未来は到底想像できませんでした。
通称「小牧」と呼びますが、まだNAGOYAの文字は健在です。NGOの3レターは中部に移してしまいましたが、ここが元祖NGOです。
この紅白の塗装が結構好きです。後ろのネイビーも格好いいですね。送迎デッキで一通りカラーを確認した後は、搭乗待合室に入りましょう。
朝8時前後は出発便ラッシュ。と言っても知れているのが小牧の良いところでして…。
搭乗待合室はこのサイズ。これで済んでしまうのが小牧というリージョナル空港の実態です。
小牧はターミナルが小さいですので、何かと移動距離が短くて済むところが最高です。セントレアは広いので、荷物を預けて、送迎デッキでウォッチングして、食べるものを買って、保安検査場を通過して、搭乗ゲートに行くとなると結構な大変な移動距離になります。小牧のコンパクトさを一度体感してしまうと、「毎回小牧から出発したいなぁ」と思ってしまいます。
さあ、チケットを片手に丘珠へ出発しましょう。この路線のダイヤは以下の通り。朝夕に1便ずつが運航されており、名古屋に住む人も札幌に住む人もとても使いやすいダイヤになっています。
■運航スケジュール
FDA391:小牧(0800)-丘珠(0940)
FDA392:丘珠(1025)-小牧(1215)
FDA397:小牧(1655)-丘珠(1835)
FDA398:丘珠(1905)-小牧(2055)
ちなみに、この路線、就航したてでまだあまり知られてないのか、GWの中日の平日5/1、5/2は1万円を切る激安価格でした。もちろん中部=新千歳のピーチよりも安かったです。徐々に知名度が上がってくると毎回そんなに安くは取れないでしょうね。
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FDAはFSC(フルサービスキャリア)
FDAはLCCだと勝手なことを言っている人が時々いますが、人々は、何だかマイナーで機体が小さくて塗装がヘンテコリンなエアラインは皆LCCだと思ってしまう癖があるみたいです。でも確かにLCCっぽい!
特に黄色は!
まさかこれがANAやJALと同じフルサービスキャリアだなんて見えないですよね。でもFDAはれっきとしたFSC(フルサービスキャリア)です。むしろANA、JALよりもサービスがいいんですよ。
名古屋空港から出発するメリットはとにかくスムーズなこと、搭乗までもスムーズですが、機体が動き出した瞬間からスムーズです。(あと個人的には地上から写真が撮れるのもいいです。)
というのも自走でタキシーアウトするから。プッシュバック不要なのはかなりの時間節約になります。
そして混雑していないので、すぐに離陸。自衛隊の離発着があるので、常に待ち時間なしとは言えませんが、セントレアに比べれば圧倒的に早く離陸できます。
小牧城を眼下に望みます。
北アルプスを眼下に見ながら、天気が良いと富士山まで見渡せます。
そして巡航高度に到達すると機内サービスが始まります。
な、な、な、なんと今どき、パンがサービスされるのです。
機内誌にも書いてあるのですが、早朝便ではお茶・ジュースに加えてパンが出ます。ANAやJALでも茶菓サービスはうんと昔に終わってしまっていますので、FDAはある意味すごいです。(公式HPでもパンが出る時間帯については言及されていないです。)
このパンはコモ(COMO)という地元小牧のパン企業のもの。いわゆるロングライフパンでよく自販機なんかで売られている賞味期限が2カ月とかあるパンです。
実は僕はこのコモのパンが大好きでして、結構美味しいんですよ。色んな種類があって結構脂っこいんですが、何とも言えない風味が好きなんです。メープルのデニッシュパンが好きです。地元なのですごく愛着もあります。
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札幌市を望むファイナルアプローチ
巡航はとてもスムーズ、あっという間に東北地方までやってきてしまいました。ここ、どこか分かりますか?もう津軽海峡。見えている両側から海に切り込まれたような地形は下北半島です。この辺りから降下開始です。
いつもの新千歳行きとは異なる景色が眼下に!雲の切れ間から都会の風景が見えてきました。札幌市です。いつも見ない景色にすごくワクワクしました。
丘珠空港は札幌市の北の外れに位置します。翼端のすぐ上に見える一本の滑走路が丘珠空港です。
この後激しい揺れに遭遇しまして、写真が全く撮れず、空港の北側から丘珠空港を絡めて札幌市を望む絵は全部失敗作でした。ストンと落ちてガタガタと横に揺れまたストンと落ちるみたいな揺れで手元がとにかく定まらないんです。機内には悲鳴が響いていました。慣れていないと墜落の恐怖すら感じる揺れでした。しかもまぁまぁの低高度ですしね。
石狩川のかつての蛇行の跡がとてもよく見えます。
揺れも収まった頃、何とか撮れたのがこちら。札幌市の後ろに見える雪山が美しいですね。
丘珠空港へファイナルターン。右側が旋回の内側ですので空港を見るには右側の方がよいですが、札幌市を望むなら左側が良いですね。
まもなく着陸。桜がきれいでした。札幌の桜はGWが見頃です。
1,500mのやや短めの滑走路に着陸。どしん!とした着陸で確実に車輪を地面に着けて制動を掛けます。
ちなみに1,500mという短さで雪が降る冬に路線を維持できるのかな?と不安になりますが、静岡=丘珠、松本=丘珠が夏スケ(3月末~10月末)限定運航ということを考えると、小牧=丘珠も夏季限定かと思います。さすがに1,500mの滑走路長では滑りやすい冬季の運航は無理でしょう。
(理由は冬季に必要離陸/着陸滑走路長が1,500mを上回ることがあるため。これらの距離は純粋な正常時の離着陸に必要な距離で決められるわけではなく、雪や氷のため離陸中止時や着陸時に制動距離が伸びることを考慮に入れて決められる。)
滑走路端からターミナルへ向かう途中、「つどーむ」と呼ばれるドーム(多目的ドーム)が見えます。
Field Elevation 26ftの表示が!出発前に気圧高度計の調整(QNH設定)をしないといけないのですが、これがあると分かりやすいですね。もらったQNH値で気圧高度計が合っているかチャートを見なくてもわかりますし。
SAPPORO OKADAMAと書かれたターミナルに到着。ターミナルがめっちゃ小さいです。
そして地上に降りてターミナルビルに向かいます。出発地、到着地ともグランドレベルから撮影できるのが最高です。
ちょうどHACのATR42が降りてきて大興奮。いやー丘珠ってホントいい空港ですね。何だか癖になりそうです。
そしてこの後、バスに乗り込んで札幌駅へと向かうわけですが、到着便に合わせてバス(北斗交通)が運行されているので利便性は非常に高いです。ただ、バスは市街まで渋滞を含めると30~40分掛かるので、実距離は丘珠空港の方がうんと近いものの、時間的には新千歳とさほど変わらない感じはしました。
ちょっと気になったのが支払い方法でして、現金・PayPay・タッチ決済機能のVisaカードしか使えず、交通系が使えないのがネック。僕はPayPayもVisaタッチも使っているので、問題はなかったですが交通系が使えないバスというのも不便ですよね。この辺りは改善して欲しいものです。
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アプローチは南北2パターンずつ
今回は国内線でありながら色々と書くことがあり、ボリュームのある搭乗記となりましたが、まだまだ書きたいことがあります。丘珠空港へのアプローチ方法です。フライトレーダーを見ていると、色んなパターンがあることが分かりました。まずは北空降りるパターンを見てみましょう。
一度丘珠空港をだいぶ通り過ぎて石狩湾に出てまっすぐ降りる方式がこちらです。
もう一つ、札幌市の南側を通過してグルンと空港の東側をサークリングして降りるパターン。
あまり詳しいことはわかりませんが、基本的に天気の悪い日は石狩湾コース、天気の良い日はサークリングコースを取ると思われます。(もちろん「基本的に」なので違う事情の時も多々あります。)
今度は南からのパターン。
南からの場合も同じく、真駒内辺りから新札幌付近へ出て直線進入するパターンがまず基本っぽいです。
そしてこれが僕の乗った便のパターンですが、空港の北側からグルンとサークリングするパターン。遠くからでも滑走路が視認できればこちらの方が飛行距離を短くできるのでお得です。
いや、結構想像で書いているので本当のところは何とも言えないですが、南北ともに直線進入パターンとサークリング進入パターンがあるので、当日の風向きを予測した上で、座席指定の参考にできるかと思います。
札幌行きの選択肢が増えた
ということで、新たな路線に乗ってみて、色々な発見がありました。久しぶりの小牧、そしてうんと久しぶりの丘珠にも行ってみて、とても勉強になりました。とにかく選択肢が増えることはとても良いことでして、発着時刻や値段、札幌から先足を延ばすところまでのアクセスを総合的に判断して、新千歳、丘珠を使い分ければ、非常に柔軟に旅がアレンジできることでしょう。
小牧=丘珠、是非とも次回からの北海道旅行のオプションにどうぞ。
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