イケてる航空総合研究所

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新型コロナウィルスの影響で顕在化した、エアラインが大型機を保有するというリスク

大型機が続々と運航中止に

新型コロナウィルスの影響で航空需要がみるみる減って行っているのを目の当たりにしている今日この頃ですが、気になるのは続々とメガキャリアがA380を運航停止にしていることです。


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知る限りでは、カンタス、ルフトハンザ、大韓航空がA380を全機運航停止にしています。


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数少ない747も例外でなく、大型機から順に運航を停止している様子が読み取れます。

www.aviationwire.jp

上記記事のように羽田空港に777や787が並ぶ姿、また別の記事で見かけた仁川空港に大韓航空やアシアナ航空の大型機が並ぶ姿は航空需要の急激な減少を物語っています。

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大は小を兼ねない航空機

航空会社は昨今の航空需要の増加を受けて、フリートを増やしてきたわけですが、ここへ来て直面しているのは、大きな航空機は小さな航空機の代わりにはならないという事実、つまり大型機を保有するリスクです。

大型機は運航コストが高いため、搭乗率が6割~7割を切るような状態では飛ばしたくても飛ばすことができません。飛ばすと赤字が出てしまうからです。

路線によっては運航を停止しているところもありますが、需要が減っても一定の需要が維持できるところは機材を小型化して対応します。777を767にしたり、787をA321にしたりして。そうすると採算が取れる7~8割のところまで座席が埋まるため、何とか採算を維持することができます。

ここで気づくことは飛行機は大は小を兼ねないということ。大きな航空機を持っておけば需要が多い時にも対応できるため、ある程度の大型機を保有するのは仕方がないんですが、乗客数が少ない時に大型機をガラガラで飛ばすことは航空会社にとって不可能なことなんです。

逆に需要が増加した場合は機材を大型化することももちろんありますが、発着枠に余裕がある場合は同じ機種で便数を増やすことをします。その方が利便性も上がって乗客にとっては嬉しいですから。最近では小型機でも航続距離が伸びたため、小型化しても路線を維持できるメリットがあります。


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LCCでは1機種で運航しているところがほとんどですので、需要が増えた場合は便数を増やすことが唯一の選択肢です。

もう一度言いますが、航空機は大は小を兼ねず小は大を兼ねるんです。一時的に大が小を兼ねることはあっても、兼ね続けることはなく、やがて大は小に置き換わります。一方、小が大を兼ねることは、小が2つ、3つと重なることで実現されます。

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増加と減少は非対称

ところで、コロナウィルス騒動で改めて気が付いたことは、需要の減少は急激だと言うこと。一方で増加は急激には起こりません。例えばある便に平均的に200人乗っていた乗客が、翌日から、急に300人になるなんてことは滅多にありませんが、200人の乗客が明日0人になることはあり得ます。渡航制限が加わった中・韓線がその際たる例です。

株価も同じです。上げるときは徐々に上げるんですが、下げるときは急激に下げますよね。


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今の相場はこのような状態です。上昇と下落はいつも非対称です。頑張って上げてきたところに急に滝のように下がるのが世の常なんです。今回のコロナの航空旅行業界にもたらした変化もこのような感じでしょう。

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リスクヘッジは貨物専用機にあった

こんなご時世、全ての航空輸送がダメージを受けているのかと思いきや、実は元気な市場が一つだけあります。それは航空貨物市場です。特に貨物専用機を使用した貨物輸送です。

航空貨物は貨物機以外にも旅客機の貨物室(ベリースペースと呼ぶ)に入れて運んでいます。現在、日本で中・韓路線でかなりの減便を強いられているため、ベリースペースが圧倒的に足りず、貨物便の臨時便やチャーター便が増えています。


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こんなとき、貨物専用のエアライン専用の貨物機を持つエアラインは、旅客で減った収益を貨物で少しでも補えるのは「助かった」というところでしょう。

米中の貿易戦争によって需要が減っていた航空貨物輸送ですが、旅客便が減便する中で逆に増便せざるを得ないというのは、貨物専用機ビジネスが旅客輸送ビジネスのヘッジとして効いているということ。これは自分としても新たな視点でした。

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航空需要は伸びるが一時的に鈍化か

この新型コロナ騒動が収まった後、航空需要は元に戻るんでしょうか?もちろん長期的に成長することは間違いないとは思いますが、一時的に成長は鈍化するでしょう。何故なら、飛行機に乗らなくてもいい方法を人々が見つけてしまったからです。

例えば出張が多かった業種の人達が「なんだ電話会議、テレビ会議で済むじゃん」と気付き、現地に行って現場に直接指示を出さないと現場が動かないと信じていた人達が「なんだ遠隔でやってもうまく回るじゃん」と気付くからです。と言う観点からビジネス需要は若干減るんじゃないかと思っています。

観光需要はさすがにオンラインや遠隔じゃ無理だと思いますので、減りにくいとは思いまがすが、9.11テロ後に手荷物検査の方法が厳格になったのと同じように、検疫の方法や入出国の管理が厳しくなり、海外旅行への意欲が一時的に減退するかも知れません。

エアラインは今回のコロナ騒動で大型機を持つリスクを再確認したと思われ、しかも需要の急激な減少で資金繰りがかなり苦しくなると思われるため、今後の大型機への投資が相当減ることは確実視されます。ボーイングで言えば787や777-9など。エアバスで言えばA350やA330neoなどへの投資です。

まだ787やA350はマシかも知れませんが、A380の生産終了後、世界一の大型機となる777-9はかなりヤバいんじゃないでしょうか?777-9の大型発注元である中東各国からのキャンセルもあり得るかも知れません。A380失敗の次は777-9になってしまうんではないかと心配しています。

いずれにせよコロナショックが今後の航空需要に大きなインパクトを与えるのは必至です。航空輸送ビジネスは世界が舞台ですし、航空機産業はその部品点数の多さから裾野の非常に大きな産業です。いずれも経済に大きな影響を与えます。

世界は早く「新型コロナウィルスは人類の脅威ではない」ということに早く気付くべきです。いや、世界の大半の人はそのことに気が付いているんですが、マスコミが恐怖を与える報道をするため、また、感染すると隔離されるという罰ゲームが待っているため、過度に恐れられているんです。まるで魔女狩りをやられているようです。

早くどこかに行ってくれませんかね?この変な空気…。普通に飛行機に乗って旅に出られる日が早く来てほしいものです…。

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