イケてる航空総合研究所

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ANAエアバスA380就航記念マイル大放出キャンペーンに透けて見えるANAの苦しい胸の内

A380ホノルル線のダイヤ決定

ANAのA380のダイヤが遂に発表されましたね。5月24日からは、1日2便ある成田=ホノルル線のうち、以下の便がA380による運航となります(火・金・日の週3便)。

NH184 NRT(2020)-HNL(0840)
NH183 HNL(1130)-NRT(1500)+1

そして7月1日からは、もう1つの成田発ホノルル行きNH182/NH181便もA380による運航となります(こちらも火・金・日の週3便)。

↓こちらはプレスリリースへのリンクです。

エアバスA380型機「FLYING HONU」の成田=ホノルル線運航ダイヤと予約・販売開始日を決定|プレスリリース|ANAグループ企業情報


A380によるホノルル線は、2019年1月10日(木)15:00より予約・販売開始です。新設されるファーストクラスやカウチの利用料金も発表されています。

ANAは圧倒的な負け組

ここでANAの危機感をご理解頂くため、日本=ホノルル線における各社のシェアを見てみましょう。

↓こちらは東京(成田・羽田)=ホノルル線の時刻表です。

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ANAは成田から2便、羽田から1便飛んでいます。1日4~5便あるJALに負けている状態です。ハワイアンも多いですね。そのハワイアンは実はJALと提携。ホノルル線のシェアは完全にJAL連合の独壇場になっています。(ハワイアンはかつてANAと提携していましたが、今ではJALとの提携に変わりました。)

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↓ちなみにこちらは関空=ホノルル線の時刻表です。

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関西からANAは飛んでいません。関空からもJAL連合が強いです。

↓ついでにこちらは中部=ホノルル線の時刻表です。

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中部からもANAは飛んでいません。

つまり日本=ハワイ路線において、ANAは完全な負け組になんです。(他の空港では福岡がデルタ、新千歳がハワイアンによるホノルル線を運航。)

そこでANAが満を持して投入しようとしているのがA380。座席数が現行の787の約2倍となるため、A380が1日2便成田から就航すると、随分とシェアを回復させられることになります。

すごいマイルキャンペーンが出た

そんな負け組のANAなんですが、A380の就航に合わせてこんなキャンペーンを始めました。

↓こちらはプレスリリースへのリンクです。

エアバスA380型機ホノルル就航記念!特典航空券4大キャンペーンを実施します|プレスリリース|ANAグループ企業情報


キャンペーンの内容は以下の通りです。

  • A380限定 特典航空券大放出キャンペーン

→プレエコとエコノミーに空席がある限り特典航空券で乗れる。(2019/5/24~7/11)

  • ホノルル線全便対象100名様に1人全額マイルバックキャンペーン

→その名の通り、100人に1人タダで乗れるキャンペーン。(2019/5/24~7/11)

  • ANA カード会員限定 特典航空券 5,000 マイルバックキャンペーン

→いわゆるディスカウントマイルキャンペーン。(2019/9/1~11/30)


一番目のヤツなんてすごいですよね。通常、特典航空券で取れる枠は決まっているのに、空席がある限りマイルで乗れるなんて前代未聞です。

そのマイルでなんと就航初便に乗れちゃいましたので、以下でレポートしております。

flyfromrjgg.hatenablog.com


2番目のヤツもインパクトがあります。もしかしたらタダ乗りできるかも知れないと、これまでJAL派だった人もANAのマイルを貯めて、タダでホノルルに行こうと考えるかも知れません。

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3番目のヤツは下期の話。下期の閑散期にも乗客を増やすための策が採られています。搭乗時には所定のマイル数が必要なため、少ないマイル数で乗れるという通常のディスカウントマイルキャンペーンとは若干異なりますが、5,000マイルも割り引いてくれるならANAで行こうという気になりますよね。

ロードファクターが上がるわけじゃない

このキャンペーン、夏期間を完全に避けているため、どう見ても「閑散期の搭乗率を上げたい」というANAの焦り見えるわけですけれども、実は経営の健全性を表す数値の1つである「ロードファクター(座席利用率)」には全く影響を与えません。

ロードファクターは「有償旅客数÷供給座席数」で計算されるからです。悲しいかな、特典航空券などの無償の航空券を使用した旅客は座席利用率の向上には貢献しないんです。

例えば500人乗りの飛行機に400人乗ればロードファクターは80%となります。そこで空席の100席に特典航空券で乗る人が現れても、搭乗率は100%となる一方でロードファクターは80%のままなのです。

それほどまでして乗せたい理由

経営上の数値が全く変化しないのにも関わらず、ANAがA380で大判振る舞いをするのには、無料でいいから乗って欲しい、ANAのA380の良さを知って、他社から乗り換えて欲しいという非常に苦しい胸の内が透けて見えるわけです。

A380の搭乗率はGW、お盆、年末年始などの繁忙期以外は、かなり低いものになると思われます。これまで250人乗り程度の飛行機だったところに500人乗りの飛行機を投入したところで、いきなり満席になるわけがありません。将来的にはなるべくロードファクター(有償の座席利用率)を上げたいという意気込みは感じますが…。

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発表されたキャンペーンを見て「空席がある限りマイルで乗せます」なんて、「そんなオイシイ話ある?」と驚くと同時に、「ANAもA380で苦しんでるんだなー」という印象を強くしました。

「何でもしますからANAのホノルル線を選んで下さい」ってことなんです。

実はもう一つキャンペーンがありまして、

  • 「#ANA でホノルルに行こう」Twitter フォロー&リツイートキャンペーン

→対象のツイートをRTすることで抽選で40,000マイルが当たる。

というものなんですが、これも宣伝効果としては大きいですよね。とにかくANAのA380を認知してもらわないことには、にっちもさっちも行けないわけです。

鶴は千年、亀は万年なるか

スカイマークの救済で背負ったと言われている3匹のウミガメたち。本当にこれからちゃんと飛んでくれるんでしょうか?


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(ANAのHPより)

飛んだはいいもののロードファクターがノロノロと地を這うなんてことになったらANAとしては浮かばれませんよね。せっかく買ったホノルル線専用機をすぐに手放してしまっては、ANAとしても格好がつかないわけです。

それが今回の大盤振る舞いとして現れているわけですけれども、このキャンペーンが他社からの顧客獲得、そしてホノルル線全体の需要拡大に繋がって欲しいです。そして「鶴は千年、亀は万年」という故事が示す通り、JALとともに末永く飛んで欲しいと切に願っています。


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