イケてる航空総合研究所

ビジネスクラス搭乗記、弾丸旅行のノウハウ、マイルの使い方、貯め方、航空事故の真相などなど。

【悲報】今のコロナ社会をどう頑張っても変えられないのは、そこに「無理の構造」があるからだ。

無力感から辿りついた本

世界ではコロナがずっと続いています。早く終わって欲しいです。僕はこの状態がとても嫌で、変えたくて仕方がありません。

と言う気持ちで、ブログでは色々とコロナに関する自分の考え方を書いています。自分の意見は真理を突いていると思っているのですが、どうもウケが悪いです(涙)。僕の考え方は真理を突いているどころか、世の中一般的な考え方とかなり違っている気がしています。色んな人にコロナのおかしさに気付いて欲しくて自分の考えを書くものの、あまり理解してもらえていないと感じています。

それでも発言したくてたまらないので書いているんですが、もう何を書いても「無理」なんじゃないかと思い始めました。

そこで出会ったのがこの本。


f:id:flyfromrjgg:20210827122428p:plain

無理の構造

コロナが始まってから色んな本を読みました。どうしたらこの状況を変えられるだろうかと。

コロナを否定する本や社会を分析する本など、問題そのものに近い本を読みましたが、何だか違うんですよね。確かにそれらの本では現状分析はできます。でも「じゃあどうしたらいいのか」がわからない。自分の考えに近い本を選んで読んでいるので、一時的に「スカッ」とするものの、心のどこかに「モヤモヤ」が残ってしまうのです。

僕の「モヤモヤ」はもっと別のこと、つまりコロナという問題そのものとは違う場所に存在するものなんじゃないかと思い始めてきました。

そこで出会ったのが「無理の構造」です。

僕はコロナや現状社会そのものに苛立っているんですが、もっと根本的なこと、つまりこの状況を変えられないことに苛立っているんじゃないかと思ったんです。どうしようもない無力感、どう頑張ったところで今の世界を変えるのは「無理」。それがもどかしいから、怒りにも似た気持ちが湧いてくるんじゃないかと。

誰もがこのコロナ社会に疑問を抱いている。程度の差や微妙な考え方の差はあれど、このコロナ社会を終わらせたいと思うのは共通なんじゃないかと思うんですよ。でも終わらせることができない。

何故ならそれは「新型コロナウィルスがいるからだ」と考える人が多いかも知れませんが、僕は少し別の見方をしています。1年半も続くコロナの大混乱は「感染症」というよりも「社会現象」だと思うのです。社会構造の問題、もっとハッキリ言えば人間社会の宿命なんじゃないかと思うんですよ。

誰もが社会を元に戻したいと考えているはずなのに、何故「無理」なのか。そして僕の考え方を多数派にするのが何故「無理」なのか。それを理解したいと強く思い始めました。という経緯でこの本に辿り着いたのです。

スポンサードリンク


コロナに逆らうのは無駄な抵抗

では「無理の構造」の重要部分を引用し、何故今のコロナの状況が変えられないのかを考えたいと思います。

抵抗が無駄に終わる原因の一つは、「自然な流れや法則に逆らっている」ことにあります。つまりどこかに「無理」があるということなのでしょう。

そう、僕がやろうとしていることはまさに無駄な抵抗、「自然な流れや法則に逆らっている」ことなんでしょう。

理不尽なのは、『世の中』なのではなくて『私たちの頭の中』である」というのが本書のキーメッセージです。

ほほう。考え方次第だと言うことですかね?いや、そうでもないと思うんですが…。

理不尽の元凶は私たちが「本来同等でないものを同等だと思い込んでいること」(に気づいていないこと)から来ているというのが本書の根幹となる仮説です。

なるほど、「理不尽なのは『私たちの頭の中』」というのは「同等でないものを同等だと思い込んでいる」ことが悪いのだと。意味が分かりました。

スポンサードリンク


対称性の錯覚が無理の根源

ここからがこの本の最重要部分です。無理の構造は「対称性」の勘違いにあります。

人間は暗黙のうちに身の回りのものを(実際には非対称であるのに)対称であると勘違いしています。これが本書で取り上げる「根本的な勘違い」であり、無駄な努力の根本的な原因と考えます。

例えば、AからBに行くのと、BからAに行くのとでは同じだと思っているのに、実は「逆向きは簡単ではない」(あるいはその逆)というのは「変化方向」という点での「対称性の錯覚」です。

これはどういうことでしょうか?「無理の構造」には色々な例が載っていて、

・「悲観」と「楽観」……なぜか悲観論のほうが「賢そうに」見える
・「変える」と「変えない」……変えないのは楽で無難だが、変えるには膨大なエネルギーが必要
・「知っている」と「知らない」……一度知ったら知らない状態には戻れない

単に対称な概念だと思っていることが、全然違うってことですね。実に面白いです。例えば「寝る」と「起きる」は反対語ですが、「寝る」のは楽なのに「起きる」のは大変ってことですかね?

上記の非対称性は、コロナ社会にも大いに当てはまることです。楽観よりも悲観の方が賢く見えるので、専門家の悲観論ばかりが説得力を持ち恐怖感が醸造されます。一旦形成された社会通念を変えるのには膨大なエネルギーが要るのは誰もが感じるところでしょう。そして一旦、知ってしまったことは忘れられないので、飛沫がどこまで飛ぶのか、ウィルスが何時間空気中を漂うのかばかりが気になる。今まで気にしたこともなかったのに。平たく言えばそんな話です。

さらに注目すべきは「善と悪」の非対称性です。

良いことでニュースに出るのには何年もかかるが悪いことなら一瞬で出てしまう」ということや、「一つの善事で世の中はなかなか変わらないが一つの悪事で世の中は一瞬で変わる」(テロのあとのセキュリティ対策など)、といったことです。

これはまさにコロナに当てはまることですよね。一度感染者が出ると対策を取らざるを得ない。機内でのマスク着用義務はテロ後のセキュリティ強化と全く同じです。

はじめは少なかったルールや規則が、何らかの事件やトラブルのたびに増えていき、組織の前提が性善説から性悪説に流れていくのは不可逆的です。信号機も増えることはあっても減ることはありません。どこの家にも 鍵 がかかっていないのどかだった田舎が、人口の増大による都市化により性悪説がベースになって鍵が増えていくのも同じような構図と言えます。

善と悪の非対称性、つまり「悪」の影響の強さが、ルールや規則、規範にがんじがらめにされた社会を生みだすということなんですよ。

飲食店の営業時間の短縮から始まり、酒類の提供禁止、今に至ってはデパ地下の入場制限にまで制限が及んでいます。どんどんルールや規則、規範ができ、社会が窮屈になっていくのは、ある意味宿命だとも言えるのです。

この本はコロナ前に出版されたにも関わらず、これほどまでに書いてあることが今の社会を言い当てていると思えるのは、やはりコロナ社会を終えることが「無理の構造」にぴったり当てはまるからなのでしょう。

スポンサードリンク


増えたものは減らせない

「対称性の錯覚」の次に僕が「無理の構造」の根幹にあると思うのは「不可逆性」です。物理の世界では「エントロピー増大の法則」というものがありますが、まさにこれが人間社会にも当てはまるということが書かれています。難しい概念なので解説は省きますが、今の話題に即して言えば、「増えたものは減らせない」という「不可逆性」を意味すると思って下さい。

・会議 ・信号機 ・特急の停車駅 ・テレビのチャンネル ・リモコンのボタン ・電子機器の機能とマニュアルのページ ・スマホのアプリのアイコン

厳密には違うかも知れませんが、上記が「エントロピー増大の法則」の一例だと思うとわかりやすいですね。増えることはあっても減ることはないものはたくさんあります。

ルールや規則が良い例です。「善と悪」の非対称性で述べたように、何かトラブルがあると、再発防止のために必ずなんらかのルールができます。時間がたってさまざまな環境が変化したあとでそのルールが「ほとんど意味をなさない」ことがだれの目にも明らかな状況になっても、「ではなくせるか?」という話になると、「何かあったらどうするんだ」という話になって、だれもその責任を取りたくはないので、結局なかなか減らせないという構図です。

そして減らせない理由が上記で上手く言い表されています。「無意味」だとか「効果が薄い」と分かっていても「責任回避」から減らせないのです。

人間はよくも悪くも、一度法則化・ルール化してしまうと、そのパターンが変化しても、覚えた法則やルールを疑うことなくいつまでも使い続けるということです。

ここを読むと不安になります。感染者が減っても、ワクチン接種者が増えても、さらにはコロナが終息したとしても、今の社会は存続し続けるのではないかと思うわけです。この一説は僕にとって「絶望」に値するものでした。

もう一つ、

多数の人による民主化の流れは不可逆的です。一度民主化されれば、多数の人の論理が世の中を動かしますから、余計に(たとえそれが組織のために望ましいものであっても)少数意見が採用されることはなく、よくも悪くも多数派が支配する世の中になっていきます。

つまり僕のような少数派の意見はかき消される、と。さらに絶望しました。

厳しいものから楽なものへは自然に流れていくが、逆は相当の覚悟が必要 ・思考状態から思考停止へと流れやすい(考えないほうが楽なので知的に怠惰な方向へ流れていく)

とどめを刺すのが「考えない方が楽」だということ。現状社会に疑問を抱いても、時間が経つにつれて思考停止の人が増えるので、ますます何も変わらない世の中になっていくのです。「とやかく言われるから、とりあえずマスクを着けておけばいいんでしょ」というように。

スポンサードリンク


見えていな人とは理解し合えない

大体ここまでで僕がこの本から読み取った「コロナを終わらせるのが無理」な理由なんですが、もう一つ「その通りだ」と思う内容があったので紹介します。

「わかっている人」と「わかっていない人」
「見えている人」と「見えていない人」

この分類と、「見えている人」と「見えていない人」との分断です。


f:id:flyfromrjgg:20210829224901j:plain

この図をよく見て下さいね。

「見えている人」は「わかっている人」と「わかっていないことをわかっている人」を合わせたもの。反対に「見えていない人」は「わかっていないことがわかっていない人」と定義されます。

要するに「見えている人」は、わかっていない領域もあると認識しながら全体を眺められる人です。反対に「見えていない人」は全体がどこまでかすらわからず(その概念もなく)、見えている領域が「世界の全て」だと思っている人です。

「見えていない人」は最強です。「根拠のない自信」を持っており、「自分に見えている世界」が世界の中心であり、すべてそれが「正しい」という信念に揺るぎがありません。新しい概念や理解できない概念を提示されても真っ向から否定し、決して譲ることはありません。したがって、見えていない人にはあまり悩みはありません(たぶん)。

恐らく、世の中には「見えていない人」が多数を占めるんじゃないかと思います。「見えていない人」とは、報道に煽られて「過剰な恐怖心」や「強い規範意識」を素直に抱いてしまう人だと僕は考えます。

もう少し突っ込んで言えば、報道を100%鵜呑みにしてしまい、報道が発する価値観の通りに行動してしまう人です。多くの人達は報道が偏向していることに気付いていないため、偏向分の修正ができなくて中立位置を見失っているんですよ。

少しでも「ん?ちょっとおかしいんじゃないか?」と思える人は、「見えている人」なので救いがありますが、「見えていない人」=「わかっていないことをわかっていない人」は救いようがないんです。つまり、この観点からも多数派の意見を変えるのは「無理」なんですよね。

僕も圧倒的に強い信念を持っているように感じられると思いますが、「ブログ上の演出」があることをお忘れなく。それに気付かず「コイツはけしからん」と思う人はやはり「見えていない人」ですね(笑)。

見えている側からすれば、狭い世界に閉じこもり、その価値観だけで生きている人たちが歯がゆくて仕方がありません。広い世界を見てしまった頭の中は、もう狭い世界の価値観では窮屈で生きていくことはできません(「見えていない→見えている」は不可逆という意味でも非対称です)。

まさにその通り。広い視野、一つ上の視点があればコロナ社会の異常性に気付けるのに、何故気付かないんだろうと思います。ただ、この一説を読んで少しだけ「絶望」から救われた思いがしました。

社会がこんなことになっているのは「コロナが大変な感染症」だから「コロナ感染を抑え込むことが必要」なのではなく、「人々が過剰反応している」から「人々の過剰反応を抑え込むことが必要」なのだということですよ。前者の考え方をしてしまうのが見えていない人達だと僕は考えます。

どうせインフルエンザのような扱いになって行くのに、何故こんなに過剰反応をするのか。見えていない人に聞きたいです。どういう出口を考えているんですか?と。

きっと一生理解し合えないんでしょう。

心が楽になる一冊

「無理の構造」が理解できれば、「自分にはどうすることもできないのだ」と言うことがわかり、少し楽な気持ちにもなります。「コロナ社会に抵抗するのは無駄な努力」と思えれば、ポジティブな「諦め」が生れます。この本を読んで僕はだいぶ救われました。僕の無力感は「当然の帰結」だったのだと。

もう長くなったのでこの辺で終わりたいと思いますが、この社会に疑問を持ち、無力感で泣きたくなるという方は、一度「無理の構造」を読んでみると良いかと思います。本記事ではコロナに照準を合わせて解説をしていますが、その他この本には、会社生活で感じる理不尽さの理由や、他人とのコミュニケーションが上手く行かないか理由などがわかりやすく書かれています。

無力感の原因がわかれば少し解放された気持ちにもなりますよね。この本は様々な心のつかえが取れるという意味でとてもおススメの一冊です。僕がこれまで読んできた本の中でもトップ5に入る本だと思っています。今回の長い長い記事をここまで読んでくれた人にはきっと共感してもらえると思うので、是非読んでみて下さい。

おしまい。

スポンサードリンク


flyfromrjgg.hatenablog.com

flyfromrjgg.hatenablog.com

flyfromrjgg.hatenablog.com

flyfromrjgg.hatenablog.com

flyfromrjgg.hatenablog.com

flyfromrjgg.hatenablog.com

ブログの内容は個人としての発言であり所属する組織・団体とは一切関係がありません。