イケてる航空総合研究所

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こんなに違う夏スケジュールと冬スケジュールの所要時間【遅れる可能性まで予想できる航空ダイヤの眺め方】

向かい風が強すぎて30分ディレイ

だいぶ間が空いてしまいましたが、羽田から金浦へと向かったアシアナ航空OZ1075便での出来事です。金浦空港へ14時20分に到着する予定がこの日は15時10分着。ほぼ定刻に出発したのに30分も遅延が発生し、次の便への乗り継ぎが超タイトになってしまいました。

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この日は以前の記事でも紹介した通り、名古屋でも雪が積もった日で、非常に強い寒波が日本に入り込んだ日でした。

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つまり北西風が非常に強かったんです。


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地図を表示しっ放しにしていたのですが、なかなか前に進めないのが見ていてもよくわかりました。進むのがむちゃくちゃ遅いんですよ。ほら、次の画面に出ている速度を見て下さい。


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飛行速度は対地557km/h。無風状態で対地850km/h近く出るはずの旅客機ですので、300km/hくらいの向かい風が吹いていることになります。

knot(ノット)に直すと、約160knotくらい。フラップを下げたアプローチ形態にすれば後ろに進めるくらいの向かい風ですね。(向かい風160knotの状態で対気150knotで飛べば、地上からは10knotで後に進んでいるように見える。)


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到着予定時刻も最初から午後3時過ぎを示していました。(定刻14時20分)


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後からFR24のデータを見てみると、この日は特に風が強かったことがよくわかりました。早ければ2時間10分台で到着できる路線ですが、僕が乗った1月25日は2時間33分も掛かっていたんです。この日の前後は冬型の気圧配置が強まっていたため軒並み遅れが発生しているようでした。


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夏と冬で所要時間が違う

ここで、冬スケジュールと夏スケジュールの違いについてお話しましょう。航空業界では、夏と冬でスケジュールを変更します。夏スケジュールは3月最終週の日曜日から10月の最終週の土曜日まで、冬スケジュールは10月の最終週の日曜日から3月最終週の土曜日までです。

冬は偏西風が強まるため、西向きの路線は所要時間を多めに取ります。逆に東向きの路線は追い風が強くなるため所要時間を短くします。夏はその逆です。


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例えば、冬スケジュールのアシアナ航空、羽田=金浦線はご覧の通りです。時間帯によって2時間20分~2時間35分とバラつきがありますね。コードシェア便であるANA便も同時に表示されていますが、ANA便は余裕を持った時間設定にしてあります。僕の乗ったOZ1075便は、5便ある中でも最も短く設定してありました。そりゃあ、少しでも向かい風が強ければ遅れるわけです。


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一方の夏スケジュール(羽田=金浦)は冬スケジュールに比べて、所要時間が5分から10分短くなっています。ちなみに僕の乗ったOZ1075便は夏と冬で変更なし。OZ1075便は冬でも夏スケジュールのままやっている可能性が高いです。

OZ1075便は他の日を見ても統計的に遅れが多い便です。なぜ冬と夏とで所要時間を変えていないのかはかわかりませんが、他の便に比べて所要時間が短い便というのは遅延が発生する確率が高く要注意ですね。

ANAの羽田=福岡の例

国際線に限らず日本の国内線でも飛行方向が東西となる便では夏と冬で大きな違いが出ます。


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こちらが羽田=福岡の冬スケジュールです。西に向かって、つまり偏西風に逆行して飛行する便です。


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こちらが夏スケジュール。便によってバラつきがありますが、偏西風が弱まるため冬に比べて5分から15分所要時間が短くなります。2時間かからないくらいの便でも、夏と冬では5分~15分の差が生まれるんですね。偏西風の強弱の影響って大きいんです。

中緯度を飛行する便に影響大

せっかくなので別の例も示しておきたいと思います。

ANA ホノルル=羽田(西向き)
冬 9時間25分
夏 8時間30分

ホノルルから羽田に帰って来る便では、なんと冬は夏に比べて55分も余計にかかるんです。冬の帰り便はエコノミークラスに乗るとしんどいですね。

ANA 羽田=ホノルル(東向き)
冬 6時間50分
夏 7時間20分

一方の羽田からの往路便は、冬と夏で30分の差です。あれあれ?帰りの便よりも差が少ないのは何故でしょう?

続いてにホノルル便よりもうんと遠い、ニューヨーク便についても見てみたいと思います。

ニューヨーク=羽田(西向き)
冬 14時間15分
夏 14時間00分

ニューヨークから羽田に帰る便は冬と夏とで15分の差が現れています。

羽田=ニューヨーク(東向き)
冬 12時間40分
夏 12時間55分

羽田からニューヨークに向かう便でも差は15分です。経路が長いはずなのに、ホノルル線よりも差が出ないんですね。そして往路と復路の所要時間の差ですが、冬は1時間35分差、夏は1時間5分差です。

これは飛行する緯度の問題ですね。中緯度地方は偏西風が強く、高緯度に行くと弱くなります。もちろん蛇行している等で一概には言えませんが、一般的に偏西風は中緯度地方が強いと言われています。だから中緯度地方を飛行するホノルル線の所要時間が冬と夏、往路と復路で顕著に変わります。

まとめ

偏西風の影響で冬と夏とではダイヤが違うということがおわかり頂けましたでしょうか?2時間程度の羽田=金浦線や羽田=福岡線では冬と夏で5分~15分の差を付けています。ホノルル線ではなんと55分の差をつけているのは驚きです。しかし、14時間超えのニューヨーク線でも15分の差しかつけていないことにも驚きました。

また同じ路線でも所要時間がバラバラであることもわかりました。その時間の空港や航空路の混雑も考慮に入れての設定だと思われますが、夏と冬で差を付けない例(僕の乗ったOZ1075便)もあり、それは向かい風の強い冬場に「遅れの常態化」として現れてくるので要注意です。

このような知識を持っておけば、「自分の乗る便はどれくらい遅れる可能性があるか」という予想にも使えますので便利です。他の便より所要時間が短く設定されていたら遅れる可能性が大きくなります。乗る前に時刻表やフライトレーダーで同路線の他の便や毎日の運航状況をチェックしてみるのがよいでしょう。

金浦空港でタイトなコネクションになったため、便ごとの所要時間を調べ、夏と冬の差を考えたりしていたら、段々面白くなってきて止まらなくなってしまいました。地球大気のダイナミズムから自便が遅れる可能性まで、航空ダイヤは色々なことを僕らに教えてくれます。


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