行ってきましたウポポイ
2020年7月12日、北海道白老町に「ウポポイ」という施設が誕生しました。ウポポイ(英語: Upopoy)は、北海道白老郡白老町にある「民族共生象徴空間」の愛称。 主要施設として国立アイヌ民族博物館、国立民族共生公園、慰霊施設を整備しており、アイヌ文化の復興・創造・発展のための拠点となるナショナルセンターである。
ウポポイとは「大勢で歌うこと」を意味するアイヌ語。そんな言葉通り、アイヌ文化に触れて理解を深めるための場所なんです。
小学校でも社会の授業でアイヌ文化や琉球文化などの学習をしているので、習いたての子供達にはもってこいの施設。「本州とは全く異なる文化圏がある」、「言葉も違う人々だった」と言うことを知るだけでも、最近流行りの多様性を学ぶ上ではとても重要なことかと思います。
さてウポポイへはレンタカーで。当然駐車場に入れるわけですが、なんと駐車場に停めるのにお金が要るんですよ!1回500円。こんな田舎なのに駐車場代を取るなんて信じられません!
ウポポイは苫小牧と室蘭の間くらいのところにあります。新千歳空港から高速道路を使って40分程度です。
歩いて行くとここが入口。チケット売り場が先に登場せず、少し歩いて行きます。
チケット売り場まで「いざないの回廊」に誘われます。壁画が描かれ、迷路みたいでなかなか面白いですね。
途中景色が開ける場所もあり、入場する前から風景を楽しめます。
こちらが入場前の広場「歓迎の広場」です。
その向こう側画エントランス棟。左右にはお土産屋さんやレストランがあります。
こちらがレストランです。(後からメニューを紹介)
月曜日がお休みで平日が18時まで、土日祝が20時までとなっています。夏季や冬季は得業時間が違うようですが、イマイチどう読んでいいのか迷いますね。
入場料は大人1,200円、子供はなんと無料です(中学生以下)。
入場するとこんな風に湿地風の景色が迎えてくれました。
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見どころはやっぱり博物館だ
ウポポイはポロト湖を囲む広大な敷地の中に大きな博物館があり、奥の方にアイヌの家がありと屋内と屋外両方でアイヌ文化に触れられるという作りになっています。入口の前に建つ重厚な建物が「国立アイヌ民族博物館」。このガラス張りのデザインには度肝を抜かれました。
カネかけてますね!
そして2階のガラス張りのエリアに入るとそこからはポロト湖畔の大パノラマが広がっていました。巨大なスクリーンを見ているかのようですが本物の景色です。一番の見どころと言ってしまったら展示館の中身に申し訳ないですが、ホントそんな感じですので期待して下さい。
右奥にはウポポイの第二の見どころである家(チセ)の建つエリアがあります。
ちなみにウポポイ全体はこんな風になっています。
博物館を中心に左右に分かれており、右側がチセの建つエリア、左側が体験エリアになっています。(今回体験エリアには行っていません。)
それでは展示室の中に入って行きましょう。正直言って展示物をゆっくり見る時間がありませんでした。なので解説は少なめです。
こちらアイヌの伝統的な服。木の皮を織って作ったものです。
こちらアイヌ出身の色々な方々のメッセージや映像があるエリア。
これは織機ですかね?
熊さんもいます。
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最もわかりやすいアイヌ解説
展示室で僕が一番良かったと思うのがこちら。「カムイとくらす世界」というショートアニメ。10分くらいでアイヌの考え方が学べます。特に北海道でよく出てくる単語「カムイ」の意味や「カムイ」を中心とするアイヌ世界がよくわかります。このショートアニメだけでも見る価値があります。「カムイ」でググればもっとたくさんの情報が出てくると思いますが、「北海道でよく聞くカムイって何?」と思っていた僕には目から鱗のお話でした。
アニメと言っても「ゴールデンカムイ」ではありませんのでご注意下さい。(僕は「ゴールデンカムイ」すら知りませんでした。)
このアニメを見てから展示物を見ると色んなものが違って見えるんです。こちらは「イナウ」と呼ばれるもの。解説には、「カムイへの贈り物、祈り詞(ことば)を届ける使者、人間を見守るなど重要な役割を持っています」と書かれていました。
こちらは「イクパスィ」と呼ばれるもの。「アイヌ民族が儀式で使用する木製の祭具。カムイ・先祖に酒などの供物をささげる際、人間とカムイの仲立ちをする役割を果たすもの」です。
このアニメを先に見ておくと、展示物が「あ、これがさっき出てきたアレか」という風になり、理解が非常に進みます。なので入館してよくわからぬまま展示物を見るより「カムイとくらす世界」で「カムイ」と関連するアイテムを理解してから展示物を見ることを強くお勧めします。
ということで、色々とアイヌの文化的なことは学べるんですが、重要なこと、、、ほら、差別とかありましたよね?そういうことは一切触れられていない気がしました。(気付いてないだけかも知れません。)
ウポポイには「民族共生象徴空間」というサブタイトルが付いていますが、もしかしたら「少数民族を差別するなよ」とかそういう意味?とか考えちゃいます。
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第二の見どころはチセ(家)
続いて屋外展示の方に歩いて行きましょう。最高気温が30℃を超える北海道らしからぬ暑い日でしたが、ポロト湖まわりの水辺の風景を楽しみながら歩いて行くのはいいものです。アイヌ式の家は「チセ」と呼ばれています。
トゥレッぽんというキャラクターが可愛いです。これネギかな?ニンニクかな?と思っていたんですが、どうやら違うみたいですね。「トゥレプ」という「オオウバユリ」のことらしいです。後の「ッポン」は可愛いイメージで付けたっぽいです。
チセの中にも入れます。「外から見ると大したことないのに中に入ったら広い」というドラえもんの道具のような感じで驚きました。ただ、床が板張り。これじゃ「昔の古い家のイメージが台無しじゃん」って思っちゃいました。
チセの建設を示した説明書き。チセは一間である旨が書かれています。広さを感じるのは一間だからなのかも知れません。
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ご飯も期待できそう
ここからはお食事のインフォメーション。ウポポイで何が食べられるかです。(資料館の中にもお土産屋さんや食事ができるところがあります。)歓迎の広場付近にあるレストランのメニュー。そば、うどん、定食、ラーメン、カレーが大体1,000円程度で食べられます。白老牛カレーは2,000円しますけれども。
こちらは入口の迷路みたいな壁を抜けたところにあるカフェ「RIMSE」。
カフェのメニュー。「オハウ」という食べ物が特徴的です(何かよくわかりません)。カレーや鮭といくらの親子丼なんかは1,000円を超える設定です。その他はデザート類やファーストフード系が多いですね。
近くにはもう一つカフェがあります。
「ななかまど」というカフェ。クンネチュプというカップチーズケーキがウリとのことです。こちらは完全にカフェで、ガッツリご飯を食べるような場所ではないようです。ドリンクもレギュラーサイズなら150円~300円と比較的安めなのがいいですね。
というようにウポポイでは意外と結構いいご飯が食べられます。いわゆる博物館のご飯なんてあまり期待できるものではないですが、ウポポイは結構力を入れている感じですね。
ちなみに、お土産屋さんは博物館内とエントランス棟にあります。
こちらエントランス棟のお土産屋さん。コロナ禍とあってだいぶ商品数は絞られていると思われます。(博物館内はもっと文化的なものが売られていたような…。)
僕の好きな「蔵生(くらなま)」が売られていて感動!しかも「ウポポイ特別バージョン」ですね。
ということで、この辺まででウポポイの紹介を終わります。
まとめ
コロナ禍とあってとても空いている状態で見ることができました。ただ、これだけの施設を作りつつも客の入りがイマイチなのはちょっと残念な気がしました。交通の便も悪いですし、中国人旅行客もいませんし、まぁ仕方がないですかね。大体2時間程度滞在しましたが、展示室を見て外のチセ(家)も回ろうと思うと2時間じゃ足りませんでした。もう少しゆっくり勉強しながら見たかったというのが正直な感想です。3~4時間は確保したいところです。
北海道は変わった地名が多いということに昔から興味がありまして、つまり言語的な特徴からアイヌ文化に興味があったわけで、ウポポイができた時から「何だか行ってみたいなぁ」と思っていました。ただ、行ってみて言語の勉強ができたかと言うと、あまりアイヌ語の解説はなかったような気がします(アイヌ語は死ぬほど出てきますが)。解説文を読んで知ったシレトコ(地の先端)の意味くらいでしょうか?
あと、今は小学校でもチセ(家)やらなにやら習うらしいので、その点でも子供たちを連れて行きたかったというのもあります。と言ってはみるものの、実際何を学べたかは難しいところです。
あとひとつ、日本人(和人)の心情を逆なでしないようにという配慮なのかは知りませんが、(僕の見た範囲では)差別などの歴史については語られていなかった気がするので、もう少しその辺りの歴史について知りたかったというのは本音です。(あったらゴメンナサイ)
アイヌは少数民族、和人はその他大多数。現代ではアイヌ出身者はもっと少数、そんな中で差別の歴史なんかを前面に出したら博物館として成り立たないですよね。まぁそこは諦めないといけない部分なのかも知れません。
目的は何であれ「博物館は面白い」ので、行ってみると何かしら発見があると思います。特に上にも書きましたが「カムイ」のアニメはアイヌの考え方を知る上で基本的なことを教えてくれます。この博物館の目的はアイヌ文化の紹介、理解ですね。まぁそこまで気を張らず、「アイヌ文化ってこういうものなのか」と言うのがわかれば良いんじゃないかなと思いました。
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